Everyday I have the BLUES

10代の頃はハードロックに夢中だったのに、最近はブルースが心地いい。。。

白木屋ブルース

2005-03-28 00:18:26 | Weblog
街をぶらいついていると、
偶然、学生時代の友人にあった。

1年ぶりぐらいの再開で、
お互いの近況でも肴に酒を飲もうと、白木屋へ。


話を聞いてみると、
今は新聞社で校正のアルバイトをしているという。
3年間限定のアルバイト期間のうちに試験に受かれば
社員になれるらしくて、勉強中らしい。

「試験めちゃムズくてさぁ」
と笑う友人の顔に、疲労と自信とを見て、

みんなそれぞれやってんだなぁと
胸を熱くしながら、酒を飲んだ。

テーブルの上には、
軟骨の唐揚げや、だし巻き卵、
和風オムレツ、一口餃子などなど。

どれも一品300円そこらの
品物なのだけど、これがなかなかいける。

「めっちゃうまいなぁ。幸せやわぁ」
としきりに口にしながら食べていたら、
友人に、半ばあきれ顔で、
「お前、安い奴っちゃなぁ」
と言われてしまった。

まいっちまうな…と
ぽりぽり額を掻きながらも、
本当に旨いんだから仕方ない。

高い奴になるのはもっともっと先でいいやと呟きながら、
軟骨をポリポリとやった。

…どんどん安くなりそうだけど。。。

プラットホームブルース

2005-03-25 01:34:04 | Weblog
プラットホームってすげぇ危ない。

今日も昨日もほんの1mほど目の前を、
鉄の塊が、ためらいもなく、駆け抜けていく。

何気なくやりすごしているそいつに、
ちょびっとでも触れちまったら、
瞬く間にお釈迦になっちまうこと間違いなしで。

もちろん、まだまだ天に召されるのは
ごめんだという気持ちでいてるけど、
万が一、無意識のやつが目をむいて
事を急いだらたまらねぇから、
俺は 線路とは反対の手すりにぎゅうっと摑まって、
「意識」を強くして、電車をやり過ごす。


ウォークマンのイヤホンから流れる、
サニーボーイの『Nine Below Zero』に耳をくすぐられながら、
生死の狭間ではとたんに
“生”にしがみついてしまう自分に、ほっとする。

マイロックンロールブルース2

2005-03-20 13:36:29 | Weblog
先週の日曜日に出演したライブはよかった。

10バンドが集まってのイベントってこともあり、
お客さんも200人ぐらい入ってくれて、終始ほぼ満員。

緊張で膝をがくがくさせながらも、
バンドメンバーやお客さんの熱気に便乗させてもらって、
やや非日常なエネルギーを存分に楽しんだ。

もともと酒と音楽が充満した空間ってのは大好きで。
しかもそこに、自分の演奏が許されているんだからありがてぇ。

まず自分がどっぷり気持ちよくて、
そして目の前のお客さんの笑顔があって。

…自己満足が、
自分の内側から外側のちょっと先まで
歩いていってくれた夜だった。

そんな夜に出逢えることは滅多にないから、
ライブ終わりに、
バンドやお客さんやスタッフやいろんな人に感謝しながら、
心の底から「音楽やっててよかった」ってかみ締めた。

そして、その日の一日前は、
「なんで音楽なんてやってんだろう」って
悩んでいたことを思い出して、笑った。


日々、ギリギリのバランスの中で、
あっちに転んだりこっちに転んだりと忙しい。

大きな穴に落っこちて
殻にとじこもっちまう瞬間も多々あるけれど、
生きていれば景色の移ろいがあることぐらいは
実感としてわかる年齢になっていて。
またそのサジ加減が結構ナイーブなことも知った。

臆病な自分をもう一歩奮い立たせて、
その先の扉を叩いて生きたい。

ロックをころころ転がしながら。

マイロックンロールブルース

2005-03-13 00:14:03 | Weblog
15歳の夜にギターに手を出してから
いつの間にやらもうすぐ9年。

途中、ベースを弾いたり、ドラムを叩いたり、
煮詰まらないように行ったりきたりしながら、
なんだかんだ、音楽と一緒に歩いてる。

明日は久しぶりのちょっと大きなハコでのライブで、
今日は4時間も、そのリハーサルに費やした。

リハーサルを終えて、
バンドのメンバーと酒を飲んで、
そして一人別れた、その帰り道。

ちょっと酔っ払った頭で、
「俺にとっての音楽って何だろう。。。」
そんな問いかけを引っ張り出してしまった。

「趣味です」
と言い切るには、まだまだ年季が足りなくて、
かと言って、やや大げさに、
“表現の手段の一つだ”と言い切るには、
プレイのほうが全くもって、ついてこない。

暇つぶしでやっているのかと言えば、
そうなのかもしれないけど、
それだけじゃないとも思う。


好きだから。
楽しいから。


って、それだけでもう充分なんだけど、
ときどき、それだけじゃあ済まされなくなって、
問いのプールに体をうずめてしまう。

…と、ここまで書いて、
俺がこの瞬間悩んでいるそれは、
音楽どうのこうのとはちょっと違うなという気がしてきた。

俺が答えを欲しているのは、
「俺にとっての音楽ってなんだろう」じゃなく、
もっとストレートな問いかけ。

「俺ってなんだろう」。


ある空間では、
“お前は勢いがあっておしゃべりでギタリストタイプだな”っと言われ、
ある空間では、
“お前は性格的にベーシストタイプだな”と言われる。

また別の空間では、
作家崩れの文章書きの俺がいて、
その隣の空間では、
大阪芸大で在学中に知り合った作家仲間たちから
「書く」ことに対しては一線を置かえた俺がいてる。


俺ってなんだ?
俺ってどこにいる?


10代の頃に幾度も積み重ね、
その度に“全部が自分なんだ”という答えにしか
たどり着かない永遠の問いかけに、
ここになってまた足を引かれている。
生きているだけでほんと充分で、
五体満足でありがてぇと思いながらも、
ときどき袋小路に迷い込んでしまって。

笑っちまうけど、
憂いのタバコをふかしながら、
どこにも属しきれない半端な自分に唾を吐く。


・・・ステレオからは、
スティービーレイボーンの『Ten Pan Allay』が鳴っていて、
泣いてしまいそうなるけど、ぐっとこらえて、
バーボンをちびりとやる。

自分自身の現状に対して、
苛々しなくなったらおしまいだなと自制しながらも、
その心のうねりの、
もう半歩手前で戦っていたい自分に憧れながら、
『Ten Pan Allay』を、『House is Rock'in』に切り替えた。


腹なんてくくれるはずもないけれど、
くくったふりなら一瞬はできる。 と信じて。

コピーライターブルース2

2005-03-06 01:56:59 | Weblog
ブルースの流れるバーで、
フォアローゼスを舐めながら、
大江健三郎の『個人的な体験』を読んでいた。

BGM(と言うには贅沢すぎるけど)は、
マディ・ウォーターズ。

隣にいた女が、
「何を読んでいるの?」と言った。

俺は、
「大江。」と口ベタに答えた。

女はオレンジ色のカクテルを持て余しながら、
「おもしろい?」と聞いてきた。

俺は、
「おもしろくない。でも、これは文学だと思う」と答えた。

「へぇ、そういうの、好きなんだ?」
と言うから、
俺は一瞬口ごもり、
「いや、俺が好きなのは、ワンフレーズ50円の広告コピーだよ」
と言って、自嘲気味に笑った。

その瞬間、マディの『Forty days and forty night』が流れていて、
ハーモニカの音色が、目の前の琥珀色に溶け込んでいくような気がした。

俺は、笑った後で、
幾千の言葉を使って、自分で今吐いた言葉の真実を
塗り固めようかと思ったけれど、

そうするなら、そこではじめて、
いくらか「嘘」が混じってしまう気がして、やめた。


できるだけ、嘘は少ないほうがいい。
もう大人なんだから。

…と言いながら嘘をつき続けて、俺生きている。
(↑こんなフレーズ、剛っさんの曲でありましたね)