Everyday I have the BLUES

10代の頃はハードロックに夢中だったのに、最近はブルースが心地いい。。。

コピーライターブルース2

2005-03-06 01:56:59 | Weblog
ブルースの流れるバーで、
フォアローゼスを舐めながら、
大江健三郎の『個人的な体験』を読んでいた。

BGM(と言うには贅沢すぎるけど)は、
マディ・ウォーターズ。

隣にいた女が、
「何を読んでいるの?」と言った。

俺は、
「大江。」と口ベタに答えた。

女はオレンジ色のカクテルを持て余しながら、
「おもしろい?」と聞いてきた。

俺は、
「おもしろくない。でも、これは文学だと思う」と答えた。

「へぇ、そういうの、好きなんだ?」
と言うから、
俺は一瞬口ごもり、
「いや、俺が好きなのは、ワンフレーズ50円の広告コピーだよ」
と言って、自嘲気味に笑った。

その瞬間、マディの『Forty days and forty night』が流れていて、
ハーモニカの音色が、目の前の琥珀色に溶け込んでいくような気がした。

俺は、笑った後で、
幾千の言葉を使って、自分で今吐いた言葉の真実を
塗り固めようかと思ったけれど、

そうするなら、そこではじめて、
いくらか「嘘」が混じってしまう気がして、やめた。


できるだけ、嘘は少ないほうがいい。
もう大人なんだから。

…と言いながら嘘をつき続けて、俺生きている。
(↑こんなフレーズ、剛っさんの曲でありましたね)