久しぶりに会社のみんなで飲み会。
俺の大好きな上司が、雰囲気のいい店をセレクトしてくれて、
八時前から、ビールと肴で宴をかこんだ。
あ~、もうすげぇ幸せ。
だって、八時前からビールだもん。
今の会社の人、性別も年齢も考え方もばらばらだけれど、、
それぞれ良いところも悪いところも知りえた仲で、みんな嫌いじゃない。
そんな人たちと飲んでしゃべっている時間は、
決して派手ではないけれど、居心地が良くて楽しかった。
普段仕事の話ばっかしている先輩の違った一面も見えたりしながら、
この春からダンナになる俺の婿修行話に花をさかせてもらいながら、
グラスのビールがワインに変わって、
ワインがバーボンに変わって。1杯、2杯と、夜がふけてゆく。。。
弛緩し始めた頭でふと気がつけば、もうすぐ終電。
駅までの送迎バスの至れり尽くせりのサービスに
背中をおされるように店を出て、ふーーーっと、息を吐いた。
なんだか幸せだなぁ。
そして、今夜はなんだかちょっと、淋しくて。
弛緩し始めた頭に導かれるままに
もう一軒バーの扉を叩きたかったけれど、
今日はおとなしくおうちに帰ろうとを決めた。
なぜだろう。
なぜかそうした。
気心の知れた同僚と二人、電車に揺られながら、
胸の奥で小さく鳴っている淋しさがなんなのかわからなくて、
なんだか一人になりたくなくて、
そして、一人になりたいと願って。
最寄り駅にたどりついてから家までの5キロの道のり。
普段、酔っ払った夜はタクシーを拾うことがほとんどだけれど、
今日はなんだかタクシーを使う気にはならなくて、歩いた。
50分の道のりを、とぼとぼと歩いた。
途中のコンビニで273円のトリスウイスキーを買って、
ちびりちびりとやりながら、ぶらぶら、ぶらり。
その安っぽさを背負いながら、
ふと、同じような赤い顔をした相棒と、
自分の両手にもてあますほどの夢を膨らませて
語り明かしたい気持ちがこみ上げてきて。
その最中、
淋しさの在り処を知った気がして、
少し笑った。
18から25歳までの7年間。
何処にもたどりつけなくてもいい夜を数えながら、
酔っ払ったついでになんども温めなおした、
自分自身のロックンロール。
ダイヤモンドになりえない、
ガラス球ロックンロールの安っぽさと、
しょんべん臭いブルースを抱きながら。……愛しながら。
俺、この春から、2人で歩いていくことを決めた。
その決断をできた自分自身にも少しずつ慣れ、
きっとまた、いろいろなことが少しずつ変わっていくんだろう。
その変化に恐怖はない。
だけどこの7年間の、
何処にもたどりつけなくてもいい夜に消化不良をおこしばっかの想いたちを、
決してセピア色に閉じ込めたりはしたくなくて。
ここいらで一つ、
この先歩いていくための「杭」になるような作品を、
自分自身が求めている気がしている。