むかしむかしおじいさんとおばあさんと犬のポチが住んでいました。
何処に住んでいたかというとそんなことはどうでもいいのです。(だったらふるなよ!)
最近ポチはともだちになった土佐犬とトイプードルの混血のシゲルと遊んでいます。土佐ぷーシゲルは(土佐ぷーって)なんにつけ準備万端野郎で常に食料や携帯の充電器、勝負パンツ、印鑑など、こないだ数えたら36アイテムを常時身につけて付けていないと不安が付きまとってしまう野郎でした。
おかげで見た目イタリア旅行へ向かうリムジンバス内的要素丸出しです。
シゲルの夢は安定した暮らしが一番だと常々言ってます。老後のために貯金をしているそうです。ちょっとついてけない感を感じていたポチですが他に友達もいないので時間つぶし的に遊んでました。
今日は山へピクニックです。ポチはピクニックが大好きです。響きが幸せを助長させてくれるんです。スキップもします。シゲルは荷物が重いためスキップできません。やれやれ。
そうこうしているうちに目的地に着きました。2分で。(どんな近さなんだ)
そこには先客がいました。村の悪ガキ軍団【紅の洋なし】達です。軍団と言ってますが4人です。一応旗を立ててます。その旗を見るたびにぽちは笑うのを目いっぱい我慢します。腹筋が鍛えられたのは旗のおかげだということに若干感謝さえしています。
軍団総長のカオル(マジ土佐犬血統書付き)はシゲルを見つけ
「おう!シゲルぅ~今日も荷物多いなぁ~食料よこせやぁ~」とニヤニヤしながら近寄って来ました。
シゲルは躊躇することもなく「はいっ!」って持ってる非常食を全部渡して身の安全を確保してました。
奴らは満足げに笑いながら山を降りていきました。
そのあとシゲルは悔し涙を流していました。ポチはかける言葉も無く二人で座って素晴らしい景色を見ていました。
シゲルの家は貧しくていっぱい苦労したそうです。だから、何があるかわからないこの世の中、困ったことが起きた時のために常に準備しているシゲルの気持ちはなんとなくわかります。
「ぽちはさぁ、夢ってあるのかい?」
ぼそっと聞かれました。
「夢かぁ、あるよ! 人間になりたい!」
シゲルは涙目のまま大笑いしました。「犬がなれるわけないじゃん」
「シゲルさぁ、先のことなんかどうだっていいんじゃね?」
「どうでもよくないよ、不安になりたくないもん。困った時のためにさぁ~・・・」
いつものシゲルの不安病に思わずポチは言ってしまいました。
↓
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「困った時に困れよっ!!!!」
シゲルはびっくりしてぽちを凝視しました。そして、ゆっくりと荷物をおろしぽちの方にポンと手を置いてこう言いました。
「そん時は助けてね。」
「あたりまえじゃん!友達だろ!」親指を立ててウィンクして見せたポチでした。その後小声で「金以外なら」と付け足しました。
シゲルにその声は届いてないような感じでしたが「まっいっかぁ~」と思いながらすこぶるスキップが気持ちいいポチでした。 つづく。
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