vows column

SO! Reg a Do shit A. (o ̄∇ ̄o)♪

欲 ~完結~

2008-09-05 | 小説

 

前編はコチラ→

 

朝食は摂らないが牛乳は1リットル飲む。

 

そして、トイレで新聞を見ながら昨日のビールを出しまくる。(たまに目にしみる事うけあいだ)

 

 『んっ、・・ムラキ?』 新聞の事件欄に彼の記事が出ている。

 

何者かにナイフで背中と腹2箇所刺され、死んでいた・・・・

 

凶器のナイフはそのまま2本刺さったままの状態だったと・・・。    

 

「前と後ろから刺されたか・・・」 

 

ムラキから預かったスーツケースの中身が原因で起きた事件であることは間違いなさそうだ。

 

急いでウォシュレットのボタンを押し、トイレから出た。 

 

スーツケースは頑丈にロックされており中身をこの目で見るのに40分もかかってしまった。

 

開けてびっくり・・・プラスチックのプレートの山・・・なんじゃー? 

 

パチンコの景品・・・現金と交換する、あれである。

 

ケースの底にはこれを製造するためのものと思われる原版みたいのとCD-ROMが

 

しっかりガムテープで固定されていた。この原版・・・があればいくらでもコピー出来るって訳か・・・。

 

最近のムラキの景気の良さはこれだったのか。

 

よく考えたもんだと感心しながらソファーに腰を下ろしプラスチックのプレートをまじまじと眺めた。

 

確かに本物そっくりだ。ってゆうか、本物だ。本物だってどっかで人間がつくってるわけだし、

 

こんなプラスチックの板ぐらい簡単に作れるだろう。

 

まさか中に磁気センサーとかはいってるわけじゃあるまいし・・・。んーいいところに目を付けたな。

 

大体の筋書きは、ムラキの「独り占め欲出し作戦」がばれ、仲間割れによる殺害。

 

まーこれしかないだろう。仲間が探してるのはこの原版とフロッピーだ。  

 

しかし、なんかセコイ気がするなぁー。

 

ムラキが言っていたビッグになるっちゅうのはこういうことだったのか・・・。

 

あいつならこう言うだう、「手始め、手始めっ!」

 

手始めで死んじまったんじゃどうしようもないじゃんって感じだが、、、

 

まぁかなりのいい思いしたんだから本望かもな。

 

欲は出しすぎると痛い眼に合うっちゅうことを身にしみてわかっただろう、天国で・・・。(地獄かも)

 

さて、この景品、どうするかな・・・。 とりあえず、1日3万ずつの交換で勘弁してやるかぁー・・・。 

 

                                            -完ー

                                                    この物語はフィクションっぽい感じです。

 


『欲』

2008-09-04 | 小説
短編小説

 

   『欲』     作・佐々木和美  「ふいらぁ連載リバイバル版」

 

 

 「それよかったら あげるよ。」

 

お前そんな、気前いいやつだったっけ・・・と思わせるくらい、最近のムラキシゲルはすこぶる景気がいい。

 

この前は「タイ」の土産だと言って、なぜか時計。今回は、見るからに高そうではあるが、はっきり言って私の趣味ではない金色のライター。

 

「安物だから気にすんなって。」

 

別に気にはしてないがどこか尺に障ったので遠慮なく頂いたのだった。

 

ムラキとは、小学校から高校までずっと一緒だった。いつもつるんでいた訳ではない。

 

俺はバンドに明け暮れていたし、アイツはいはゆる不良グループと言われるやつらの部類で、女からモテル度数からいくと6:4で俺が勝っていたはずだ。

 

グループの中でも格がありムラキはかろうじてトップ3に入っていたと記憶にある。

 

あれから10年以上経ってるが、俺たちは腐れ縁的にたまにだがこうして会っている。というか、

 

ムラキの方から合いに来るのが9割である。少し図々しさはあるが、どこか憎めないところがあり退屈な時間をもてあましてる時はけっこう笑わしてくれる。

 

仕事を転々とし、定職に就かないのか就けないのか定かではないが、彼は常に,「ビッグになってやる!」が飲むと口癖の独身野郎31歳なのだ!

 

そんなヤツの最近の暮らしぶりは、はっきり言って変だし何処にそんな金があるんだ?と誰もが思うはずである。

 

そんなある日、ムラキからの電話。かなりあせっているらしく、早口でナニ言ってるのか理解できなかったがとにかく、頼まれることになった。

 

1時間後血相を変えたムラキがドアを壊す勢いで倒れ込んできた。、

 

ダッシュで階段を上って来たことが赤ら様に分かる息使いで

 

「これを預かってくれ。頼む」

 

と、ドデかいスーツケースをPタイルの剥げたコンクリの床の上に放った。

 

中でなにかジャラジャラとうるさい音がしてケースは動きを止めた。

 

「なんなんだ?何が入ってんだ」

 

鍵が二重に掛けられており、絶対中身は見せないぞ!という意思が丸出しのケースを指差しながら聞いてみた。

 

「たいしたものじゃないが、中身が何かは詮索しないでくれ。おまえに迷惑掛けたくないんだ。」

 

『だったらおれんとこに持ってくんなよ』とは言えなかったのは、お土産攻撃のせいもあったかもしれない。

 

「クスリ関係じゃないんだな?」と念を押し、「全然違う」と言ったと同時にヤツの携帯がなり、

 

「じゃ頼む、近いうち必ず取りに来るから」

 

といいながらムラキは、はやてのように去っていってしまった。・・・

 

スーツケースを部屋の隅に足で押しやり、ビデオの続きを観る為にリモコンの三角ボタンを親指で押した。

 

34インチの大画面が最近の仕事の、もやもやを少なからず消してくれてる感じはアル。

 

20坪の二等辺三角形のこの事務所兼住居。

 

ベッド・ノートパソコン・1人掛けソファ・事務用長いす・先週コジマから買った壁掛けTV。

 

ここに来て5年。最近やっと、探偵として食えるようになった。

 

そして、一週間後に事は起きた。                             続く・・・・

 


ペイフォワード

2008-03-25 | 小説

 

観てしまった。また観てしまった。

この映画好きだ。

 

この映画の結末が人類の希望と信じたいからだ。

人間は弱い。

弱いから寄り添って生きるんだ。

弱い自分をさらけ出してはじめて心がつながる。

 

「ママはアル中だけどあなたに助けてほしい」

懇願する母。

息子は母親を許し抱きしめるシーンがある。

自分自身を認めよう。

かっこ悪くてもいいから自分が認めてあげなきゃだめなんだ。

良いも悪いも自分は自分でしかないのだから。

 

提案1

「助けてって言っちゃいなよ。私を助けてって」

ダメでもともと。

ジタバタしてさ、そしたら少しずつ風が起きる。

風が起きたら何かが変わる。

 

変わらないような世界なら

人々が助け合わない世界なら

そんな世界終わっていい。

 

この映画の結末が人類の希望と信じたい。

 

 

「シックス・センス」でブルース・ウィリスと共演し、ウィリスを喰うほどの強烈な表現力・名演技でアカデミー賞にノミネートされたハーレイ・ジョエ ル・オスメント君、「ユージュアル・サスペクツ」や「交渉人」・・での名演、「アメリカン・ビューティー」ではついにアカデミー賞を受賞したケビン・ スペイシー、「恋愛小説家」で同じくアカデミー賞に輝いたヘレン・ハント、端役ではありますがなんとボン・ジョヴィまで起用した豪 華キャスト、監督は「ディー プ・インパクト」のミミ・レダーといったなんとも完璧な布陣で望んだ作品がこの「ペイ・フォワード/可能の王国」。

 

 


マリーの下のタカラモノ      作 佐々木和美

2007-12-06 | 小説

 

 

「生まれ変わりってしんじる?」

 

 禁酒五日目の山崎涼子は、ウーロン茶のジョッキを口に流し込む直前に横目半身こっちに向けて急に話題を変えた。

そうだなぁと、カウンター左隅三角コーナーに設置されたTVに映る『がきの使い』の笑っちゃだめシリーズを見ながら、もずく酢を一口入れて答えた。

涼子は都内某女子大に通う一年生。色白で、小柄、少し強めのパーマが肩の下まで動いている。

一見、女優の誰かに似てる雰囲気を持っていないことも無くまあまあモテルほうであることは自分でも言っている以上多分そうなのだろう。

ほとばしるほど明るい性格は多少疲れるが決して悪い気はしない。

あっけらかんとしているが勘が良く頭はかなり切れるやつだ。

医者になるはずだったらしいが、高2の夏になんかの影響で「探偵」になる決心をしたらしい。

学校帰り、週4日は事務所(山崎蓮次探偵事務所)に顔を出す。勝手にね。ま、実際暇だし、月に2~3件依頼があればいいほうだ。「探偵たるもの・・」について涼子の質問に答えるやら、珍事件の話やらで結構楽しくすごしている。 

私とは同じ名字だが、親戚でもなんでもないし、もちろん恋愛感情なんてのは微塵もありゃしない。

「卒業したらここに来てもいいわよ」と、

頼んでも無いのに勝手に決めてるみたいだ。

ナンカ腐れ縁的になってきている。

 「たまにはゴハンぐらいおごってくれてもいいいんじゃない?」 貸しがあるんだから・・・の目線がしこたま出ている。

半ば強制的にここ、「居酒屋ももたろう」のカウンターに連行されている。

 

「なんかの本で見たんだけど・・・」と涼子は話し始めた。 

 アフリカのどこかの貧しい町にとても仲良しの二人の男の子が住んでいた。

ジョージはアランの1つ年上ということで積極的に遊びの方法を教えていた。 

たまにいじめられるけどアランはジョージのことを本当の兄のように慕っていた。

ある日、「タイムカプセルごっこしよう!」ということで、二人は大切にしている綺麗な石や、変な形の木の実、なんかの角の破片、二人にはとっても価値のある宝を持ち寄って土の中に埋めた。  

「二人だけの秘密にしようね。」

アランはウィンクをしてジョージに微笑んだ。

 

それから何年か経ち二人は立派な青年に成長していた。

働き者の二人は人気者だった。

仕事の帰りは酒場で歌い、踊り、笑い、貧しいながらも楽しく暮らしていた。

相変わらずジョージはアランのことを本当の弟のようにかわいがっていることは仲間のみんな、知っていた。

 酒場の一人娘シェリーもそんな二人が大好きだった。

ジョージは考えていた。

アランはシェリーのことをどう思っているのだろう。

二人はお似合いだ。 

ジョージは二人の恋のキューピットになることを決心し、日増しに二人はお互いの存在を意識するようになっていた。

 「ジョージ・・俺、シェリーにすきだって言っちまった・・。どうしよう。」

 「やっと言いやがったな,この野郎!」「大丈夫、シェリーはお前のことが大好きなんだから・・。」  

ジョージはアランの首にヘッドロックしたまま心のそこからよかったなと何回も叫んでいた。 

その夜は世界で一番楽しく酒を飲み、結婚の前祝いは明け方まで続いた。

 「じゃなアラン。明日は休みだ、ゆっくり寝ろよ。」  

 「うん、ジョージもな・・」   

これが、アランとの最後の会話だった。

                     つづく・・。 と思ったけどやっぱり書きます。

アランの体は先天性の病気に蝕まれていたのだった。

次の日、眼を覚ますことなくアランは逝った。  

ジョージは病気に気付かなかった自分を責め立てていた。

来る日も来る日も酒を浴びるようになった。

仕事もほとんど休んでいた。

そんなジョージのそばにはいつも笑顔で慰めてるシェリーがいた。

シェリーの優しさはジョージを変える力を持っていた。 こんなことではだめだ。 アランに笑われる・・ 

シェリーとの間に男の子が生まれたのはそれから五年後のことだ。 

「アラン」と名付けた。 

ジョージは前にも増して働いた。働き者のジョージが帰ってきたと仲間は喜んだ。

みんな、シェリーのおかげだ。

一生大切にすると心に決め三年前にジョージから求婚したのだった。

 2歳になったアランは最近よくしゃべるになった。

そんなある日昼休みで家に帰ったジョージは耳を疑った。

 

 『タカラモーミタイ』・・・

 

 ジョージはアランの小さい肩を両手で握り締め、鋭い視線でアランにゆっくりと聞き返した。  

 

「今、ナンテ イッタ・・・」 

 

アランは天使のように微笑みながら、その言葉をはっきりと言った。 

次の瞬間ジョージは泣き崩れ「アラーーーーン」と叫び息子を強く抱きしめていた。

 

 ―『マリー ノ シタノ タカラモノ・・・』― 

 

子供の頃、二人はいつも小高い丘の大きな木の下で遊んでいた。

そして、二人は「タイムカプセルごっこ」で自慢の宝物をこの大きな木の下に埋めたのだった。

その大きな木を「マリー」と呼んでいたのは自分のほかにアランしかいない。 

 

二人で勝手に付けた名前なのだから・・・・   

 

 

「どう、いい話でしょう。これが生まれ変わりじゃなけりゃ何だというの?」

近年、いつごろころからか分からないが、戸籍や病院のカルテなどきちんと管理されてるワケだから誰がいつどこでなんで死んだかなんてかなりの確立で分かる時代だ。

小さい子供が突然ワケわかんないことを言い出したとしても誰も耳を貸すことは日常の中では難しいが、もしかしたら前世の記憶が少しだけ蘇える時期があるのかもしれないし、子供の体を通して何か、メッセージを送っているのかもしれない。

運命は偶然ではないのかもしれない。 

 

 ― 出会いの全てが・・・―    

 

「私と山崎さん結構気が合うと思いません?」

心の中を見透かすように涼子は唐揚をグサッとさしながら言った。

「結婚する運命かも。偶然二人とも『山崎』だし、ちょうどいいじゃん。」と、2%ぐらいマジな顔で言った。

6%ぐらいドキリとしたが「冗談よぉー」と思い切り肩をたたかれ、涼子の豪快な笑い声が店内に広がった。  

 

                   ―おわり―