* 北海道では電車は「汽車」と言う

もう１０年近くも前になるのでしょうか、
私と親友が北海道にハマリ始めたのは。

その頃からずっと気になっていたのだけれど、
北海道の人は東京で言う「電車」のことを、「汽車」と言います。

汽車？！

首都圏育ちの私の頭の中には、「汽車」と聞くと
観光用の黒い煙をモクモク吐いて走るＳＬ列車とか、
昭和初期の白黒邦画の中の台詞とか、
その時代をストーリーにした高倉健さんが出てくる様な邦画が
思い浮かんできます。
急に頭の中がノスタルジックな風景に変わってしまう。

父が時々「国鉄」と口走って恥ずかしそうにするけれど、
私には「汽車」の方が国鉄よりもはるかにずっと古い言葉に感じるのです。

その時はたぶん、札幌の仲間達のうちの誰かが何気なく普通に
「汽車」と言ったのだと思うのだけれど、

その言葉に私と親友があまりにも敏感に反応して、

「今どき、キシャーぁ？　いつの時代よぉー！」
「あーははははー！　キシャ？　電車でしょー？」

と、大爆笑したので、
それから皆は気を使って「ＪＲ」と言葉を選んで使う様になりました。

「ＪＲで空港まで行くんでしょ？」
「それなら雪でも大丈夫だと思う、バスだと道路が雪で通行止めかもしれない」

ってな具合に。
「ＪＲ」なら、違和感ありません。

でも、札幌の仲間達の中では「汽車」という言葉は
本当に、別に何ともない、全くおかしくない言葉だったんだと
近頃改めて知りました。

今年のお正月、人が集う賑やかで楽しい一時に
「ダーのお嫁さん」として初めてお邪魔させて頂いた折、

「それじゃ、私はそろそろ汽車の時間があるので」
「そろそろ、失礼させて頂きます、汽車の時間がー」
「楽しくて時間を忘れちゃうわ、汽車の時間がー」
「え、もう、失礼させて頂かないと汽車の時間が・・・」

汽車、汽車、汽車が、と連呼しながら
名残惜しい挨拶をして回る女性（ヒト）の言葉を聞いて、

「あぁー、北海道はやっぱり電車じゃなくて　汽車　って言うんだー」　と、

変な所でまた密かに一人で感動した私なのでした。

今年は東京でも数年ぶりに大雪だった様。
東京で大雪が降ると、そりゃもう本当に大変です。
電車が止まって、首都圏の交通がマヒ状態で大混乱。
私は家に帰れなかった事もある。
それは、「電車」だから、なのかな？（笑）

今、函館で毎日雪に覆われる生活からしてみると、
たったあれっぽっちの雪で家に帰れなかった事が情けないぐらいですが・・・
雪が１０センチも積もれば、首都圏の交通はパニック状態でした。

北海道は、雪の中もズンズン突き進む頑丈な力強い車両です。
冬になれば毎日雪に閉ざされる中を走るのだから、
雪ぐらいで泣き言を言いません。頼もしい限りです。
音も、東京でも聞く様な軽快な「カタンカタン」という走行音とは違って、
重たい大きな走行音。
だから、やっぱり北海道は「汽車」で合っているのかも。

その代わり、北海道では夏の時期に暑さでレールが曲がって、
ＪＲが止まる事が度々あるらしい。
どっちもどっち？（笑）

「電車男」ならぬ「汽車男」っていうのはどうでしょう？
なんだか、より一層ヲタな香りがしそう・・・？