酒馬鹿三兄弟、次男の岸壁はしご酒

酒は飲んだら飲まれましょう、しかし仲良く。拙い酒と乱暴ポエトリ月夜の酩酊ランデブー

JASMINE 2

2020-03-25 12:49:10 | 

 

 

 

 

 

 

 

 

その身のこなし
グラスの傾け方

両の手の指、目のうるみ
  そして心中の唄


世の中をハードに過ごすうち
時には
街で
こういった女が現れる


16才の

タバコの煙に瞼一つ瞬かせず

ワインを飲み続けるふやけたアル中仕立ての
おやじの前で

静かにグラスに口づけするジャスミン
                    16才の

世界は  葦の原で静かに獲物を見つめる
虎の様な女を作り上げたわけだ

 

ジャスミンは
泥の沼から生まれる蓮の花の様に

 

”もう少し、ワインが飲みたい
 じゃなきゃ、ウーゾか、パスティスが良いよ”
と言う

”そうかい、心配しない方なんだが
  君は若い、ペースを乱すなよ”

そう言って家を出た


戻ると彼女は窓の月に照らされながら
愛用のギターを弾いていた

静かな曲だった


それが好きなのか
この家に住んでいる彼女の黒い猫が
ジャスミンの側で目を瞑っている

ジャスミンは シーと呼ぶ
その腰を撫でる

”食べ物を忘れたよ、
何か食べたいなら、もう一度出るかい?”


俺はそう言ったが
ジャスミンは静かなギターを弾いたまま
静かに


”食べ物はいいから
   食べ物はいいから
 名前を呼んでよ

 

そう言った


”ジャスミン、は、
 本当の名前じゃないんだろ”


”うん、唄を歌って小銭を稼ぐ
 私の通り名”


”どっちがいいんだい、ジャスミンって呼ぶのと
  本当の名前を呼ぶのと”

”本当の名前をあんたに呼んでもらうのはまだまだ早いよ
 気が向いたら、いつか”

 

彼女は言い終えると
最後の残りのワインを飲み干し


ウイキョウの香りのボトルを開けて

2つのグラスに、綺麗に注いだ

 

その身のこなし
両の手の指、目のうるみ


完璧だった

 

 

 

 

 

 

 

 



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