この頃の俺は、寒い朝に早朝ベッドを抜け出し
包まっている猫たちや娘を起こさぬようにドアを開け
外で街を少し走ってみている
朝は食事をせず、
出来のいい紅茶を、
習慣づけて飲んでみる
タバコをやめ
娘の前で極力飲酒を避け、
勉強を見てやっている振りもする
夕食を適度に摂り、早くにベッドに向かい娘と本を読み
また明くる日が来ると言う
健全であればあるほど、
余りある退屈な暮らしにおれは狂わないようにしているが、
正直ストローハットの濃いやつが欲しいと思う夜もある
そんな呪縛の中
少しの夢がどうやら今の救いとなっている
雪で真っ白な世界、
強烈に高く、険しくて人跡未踏の。
そんなで無くていい
山の頂に向かって、息も絶え絶えになるほど
登る夢
を糧にしている
それにその夢はどんな時でも、
それに年老いても、色あせる事の無い
巡礼のような道のりだ
娘を寝かしつけた後の妄想の靄のなかで
ほんの少しのテキーラを口にして
また眠りにつき、
また朝起きて、
それは少し微笑ましい