酒馬鹿三兄弟、次男の岸壁はしご酒

酒は飲んだら飲まれましょう、しかし仲良く。拙い酒と乱暴ポエトリ月夜の酩酊ランデブー

never ending fool

2012-11-28 15:32:26 | 









なんという愚かさだろう
精肉工場で働く俺たちは
朝4時のバスに揺られて品川に向かう。

猫の治療費と慰謝料の支払いに追われて
胡散臭いセンター長に、夜8時までの延長勤務を申し出る

それから、
たった一杯でいい、ビールが飲みたいと思い
バーに行く。
女もそうで、一杯で帰ると言う。

ところが女は
一杯の次に一杯を延々と頼み続け、
正直に言えば俺もまたまんざらでも無く、
猫の待つ家に急ぐ気が薄れていく。

淡い、青い煙草の煙に巻かれながら
日々も俺たちを煙に巻いてiく。
とりわけ夜に

次の朝も同じように赤い目で、
ろくな仕事も出来ない俺たちは

朝4時のバスに揺られている、

この世の金全て、
他人の懐と、安酒に消えていく

fly like a needle

2012-11-08 17:56:51 | 




俺の女と言うほどの付き合いでも無い女だがしかし
俺がそいつの部屋に置いておいた安ワインは、
"昨日飲んじゃった。"らしく
その顔はまだ酔い冷めやらぬ表情だった。

情けない気持ちだったし、
安酒は惜しくもないが、
人の酒を盗み飲んでそれ告げる赤ら顔の女と、
酔っている者の不埒さというか、あまりに制御のきかない様に
なんとも言い難い感情がほどなく沸いた。



男に捨てられた女の悲しみ、
もう一人の男の酒だけは残り、その男さえも
夜の間を埋めてくれない孤独、
そして酒を飲み、
朝は酔っている。

これは堕ちた場所にはよく転がっている話かもしれない、
新小岩のスナックには、時たまそんな女がいるだろう、
それはそれで俺の領分だとわきまえる

が、
その女は、美しく、信じられないほど大きな会社で働いている
幾ら愛に身を窶したとはいえ、
その危うさと、夜を耐えられない脆さは、
部屋に残された安価なワインでかろうじて救われ、そしてより一層惨めになる。


が、しかし、
ワイン一本おいておいただけで
こっちにはさして差し伸べるつもりの愛情がない、
ので

きっと平均台で不安定に揺れる体操の姿のようなそれを、
俺は下から眺めているだろう。


つまりは俺の方がもっと低い場所に居る訳だ