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鉄道と郵政、民営化の相違は何か?

2017-07-31 15:11:00 | 郵政民営化
国鉄民営化を検証するblogですが、今回はあえて郵便局の民営化を振り返って、郵政の民営化と国鉄の民営化の異なる点を考えてみたいと思います。


郵便局の民営化は誰が得したのか?
郵便局の民営化は誰が一番得したのでしょうか。
少なくとも、国民はあまり恩恵を受けていない、むしろ下がったように思います。
郵貯の手数料・・・時間外手数料無制限だったのが制限掛かるようになった。
郵便集配・・・ポスト収集の回数が減少したうえ、信書に関しては送達日数が昔より大幅に長くなり、ちょっとしたものでも速達で送るかヤマト運輸などの他の送達手段を使うしかなくなった。
そして、郵便事業は赤字だということで値上げしたら更に利用者が減ったという悪循環です。
郵便事業と郵貯・簡保は別の扱いに
さらに、郵便局の場合う郵便はユニバーサルサービスを義務付けられているので、過疎地であっても配達を行う義務を要するのに対し、郵便貯金(民営化以降はゆうちょ銀行)並びに簡易保険(かんぽ生命)は、ユニバーサルサービスの義務から解放されました。

郵便貯金法には

第一条
(この法律の目的) この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。

となっていますが、ゆうちょ銀行は、郵政民営化法第98条で銀行法に基づく銀行と看做す(みなす)と記述されています。

郵政民営化法
(平成十七年十月二十一日法律第九十七号)

 第二節 承継に関する銀行法 等の特例等

(銀行業の免許の付与)
第九十八条  郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、銀行法第四条第一項 の免許を受けたものとみなす。
2  前項の免許は、次に掲げる条件が付されたものとする。
一  第百十条第一項各号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならないこと。

ちなみに、銀行法第4条第1項は
(営業の免許)
第四条  銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない。

といいうもので、明確にゆうちょ銀行は、一般銀行と看做すと明記しているわけです。
ということで、ゆうちょ銀行は直営の店舗以外に郵便局に委託している形となっています。(小さな郵便局の場合、郵便貯金を扱っているのではなくてゆうちょ銀行の代理店として手数料を受け取る形になっています。
二  次節の規定の適用を受ける間、業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる銀行代理業者(銀行法第二条第十五項 に規定する銀行代理業者をいう。以下同じ。)への継続的な業務の委託がされていること。
3  前項の条件は、銀行法第四条第四項 の規定により付された条件とみなす。

郵便事業は基本的にはユニバーサルサービスとして認められていた
改めて郵政民営化法を参照してみますと、郵便事業に関しては、一定の業務、郵政省時代から社会政策補助として認められてきた盲人用点字郵便物や低料第3種郵便などは最初から収支相次ぎませんのでそれらに対しては交付金を払うと明記されています。

当初の郵便事業株式会社法では

  第一章 総則

 (会社の目的)

第一条 郵便事業株式会社(以下「会社」という。)は、郵便の業務及び印紙の売りさばきの業務を営むことを目的とする株式会社とする。

とされており、会社自体は事業会社のような位置づけにも読めます。
ただし、社会貢献業務計画として、困難を伴う業務に関しては社会貢献資金と言う名目の補助金を求めることができるとされています。

(社会貢献業務計画)

第四条 会社は、総務省令で定めるところにより、三事業年度ごとに、三事業年度を一期とする社会貢献業務の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を定め、当該実施計画に係る期間の開始前に、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の「社会貢献業務」とは、会社が営む次に掲げる業務であって、日本郵政株式会社法(平成十七年法律第九十八号)第六条第一項の規定による社会貢献資金の交付を受けなければ、当該業務に係る役務の水準を著しく低下させることなく当該業務を実施すること(第五号に掲げる業務にあっては、当該業務を実施すること)が困難であると認められるものをいう。

 一 郵便法第十八条の規定により無償で交付する郵便葉書及び郵便書簡に係る郵便物に係る業務

 二 郵便法第十八条及び第十九条の規定により料金(特殊取扱の料金を含む。)を免除する郵便物に係る業務

 三 郵便法第二十二条第一項に規定する第三種郵便物に係る業務のうち、社会福祉の増進に寄与するものであって、総務省令で定めるもの

 四 郵便法第二十七条第二号及び第三号に掲げる郵便物に係る業務

五 前条第三項に規定する業務のうち、天災その他非常の災害の被災者の救援又は社会福祉の増進に寄与するものであって、会社以外の者による実施が困難なもの

実際には、郵便事業は単独では立ちいかなくなり、平成十七年十月二十一日法律第百号で日本郵便株式会社法として、新たに設立され、郵便事業会社を郵便局会社が吸収する形で再編成されることとなりました。
これにより、郵政民営化法の第6章(郵便事業会社関連)が一斉に削除されています。

これにより、郵便会社が日本郵便株式会社としてユニバーサルサービスを引継ぐ形となり、

日本郵便株式会社法では、下記の通り「地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社」として承継することとなり局の設置に際しても一定の縛りをかけられたように思われます。

(会社の目的)
第一条  日本郵便株式会社(以下「会社」という。)は、郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務並びに郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とする。

郵政民営化で公務員の数は減少したが・・・

小泉改革の中で公務員の削減が謳われ、郵政省を民営化すれば公務員の数を大きく削減できると言いました。
実は、大阪地下鉄の民営化もそうですが、公務員の数は減っても、元々が独立採算制による郵政特別会計で賄われていますから、税金の投入は無いわけです。
敢えて言えば、郵便局の庁舎などは国有資産なので固定資産税などの賦課が無かったわけで、民営化すると当然のことながら固定資産税等の対象になりますので、国としては税収が入ってくることになります。
逆に、郵便局会社などは、税金の支払い分を効率化もしくは経費節減で行わなくてはならず、さらに積極的な合理化などが進められることとなりました。
それが、最初に書いたように、集配度数の減少や、郵便物送達日数の延長や、郵便配達員の非正規化であり、国民はだれ一人得していない状況に置かれていると考えられます。

結論としては
ユニバーサルサービスと呼ばれるものをいたずらに民営化すべきではないということ、仮に民営化するとしてもそのスキームをしっかり考えて、収支相償わないところに関しては地域ごとで算出した適切な欠損補助を行い、いたずらに内部留保を減らす様な政策は取るべきではないのかと考えるのですが・・・皆様はどう思われますか。

そして、この考え方はJRで未上場の北海道・四国・貨物会社についても言えると思うのですが・・・いかがでしょうか。
なお、その辺りは改めて書かせていただこうと思います。

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