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郵政省とユニバーサルサービス

2019-07-29 00:11:00 | 郵政民営化
郵便局という名称でいまも親しまれている、組織が有ります。
郵便の集配業務を行いつつ、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の代理店として、郵便貯金やかんぽ生命の保険並びに、郵便貯金口座および、簡易生命保険の業務を引き続き扱う株式会社ですが、その性格上、完全民営化はされずユニバーサルサービスを行う会社として、義務づけられていることは、ご存じの方も多いかと思います。

日本郵便株式会社は、民営化当初は存在しなかった会社?
郵政省、正確には郵便事業庁を経て、日本郵政公社から、民営化されたわけですが、日本郵政公社から民営会社になったときは下記のように4つの会社に分かれていました。

当初は、四つの会社【郵便事業会社・郵便局会社・ゆうちょ銀行・かんぽ生命】であり、郵便局の中にパーテーションが林立し、いままで同じフロアで移動できたのが不可となり、風通しは一気に悪くなりました。
郵便局の窓口も同様で、ゆうちょ銀行と郵便の窓口の間にも壁で仕切られるなど違和感のある状況となりました。
もっとも、特定郵便局と言われていた、小さな郵便局は郵便局会社に分類されたため、郵便局の赤色から、オレンジ色に変わったことと、制服が替わったこと以外は大きな変化はありませんでした。
郵便事業会社消滅へ
民営化当初は、四つの会社が一気に誕生したわけで、単純に計算すれば一気に局長ポストが四つに増えることになりました。
それまでは、3事業+総務課から1人が局長に選出されていたわけですから、一気に局長ポストが小粒になりました。言い換えればいままで課長だった人がいきなり局長になる訳ですから。
しかし、郵便事業会社は、ユニバーサルサービスを義務づけられている上、郵便局会社の収益構造が、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、郵便事業会社からの手数料で成り立つ構造であることから、郵便事業会社を郵便局会社が吸収する形で新たに、日本郵便会社が誕生しました。

新生日本郵便は、郵便事業を行う会社と窓口を管理する会社として、ユニバーサルサービスを負うこととなり、ここに郵便局窓口に関して少なくとも担保が図られたと言えそうです。


郵政民営化と国鉄民営化、その違いを改めて検証

2017-08-09 20:31:00 | 郵政民営化
日本郵政とは?
日本郵政は、ご存じのとおり郵政省が民営化して誕生した会社です。
正確に言えば、郵政省→総務省郵政事業庁→郵政公社→日本郵政という流れになるのだが、ここでは一般の人に解りやすいように、郵政省(郵政公社)→日本郵政という形で話を進めていこうと思います。
郵政省時代(公社時代を含め)は郵政3事業ということで、郵便を最重要事業と位置づけそれに付随する形で郵便貯金・簡易生命保険という位置づけになっていました。
実際、郵政省時代は建制順では、郵務局>貯金局>簡易保険局(大臣官房等の内局は考慮しない場合)であり、地方郵政局でも、秘書課や総務課は別格とすれば、事業部では、郵務部>貯金部>保険部の順番でありこの建制順は変わることはありませんでした。
それほど、郵便は郵政省に在っては要だったのです。
民営化当初は5つの会社だった

郵政民営化では、国鉄の様に地域単位での分割は行われず、事業単位での分割となりました。
すなわち、日本郵政株式会社という持ち株会社の下に、郵便局会社・郵便事業株式会社・株式会社ゆうちょ銀行・株式会社かんぽ生命保険会社が誕生したのです。
株式会社ゆうちょ銀行・株式会社かんぽ生命保険会社はいずれも、収益会社(NTTではDocomoやNTTDATA等と同じ)として、収益を上げることで持ち株会社である日本郵政を支える役割が期待され、郵便事業株式会社は純粋に郵便事業を行う会社とされたのですが、時代は信書配達から物流中心にシフトしてきており、メール便などとの競争もあって郵政の収益は下がってきていたのでした。
また、郵便局会社というのは、特定郵便局(現在は郵便局に統一)の帰属をめぐって追加されたような会社であり、郵便・貯金・保険の事業を受託してその手数料で運営するという枠組みでした。
郵政事業は、郵政省の頃から特定郵便局では、事業ごとの分計基準が定まっており、特定局では概ね郵便貯金に占める割合が70%~80% 郵便10~20% 簡易保険は10%以下という割合でしたでしょうか。
実際、特定郵便局では簡易保険の目標は貯金と比べると少なかったのですが、窓販の特性上募集手当は普通郵便局の外務員よりもはるかに大きかったそうです。(私は残念ながら、お局さんが居たので、特定局で勤務した2年間全く貯金も簡易保険も募集することはありませんでした。)
ということで、郵政は当初は事業ごとの会社だったのが、特定郵便局の局長の地位保全もあって、4つの会社が生まれるという事態となりました。
特に普通局では、貯金・保険事業は全く別会社と言うことで郵便局内で仕切りが設けられたリ、郵政支社(旧郵政局)も事業ごとに部署が別れてしまい、むしろ風通しが悪くなったと思ったものです。
時代遅れだった郵便事業の民営化

さらに、問題は郵便事業がインターネットの普及によりメールなどでのやり取りが一般化し、信書として手紙を出す機会が減ってしまったことでした。
私自身は、昭和63年頃、郵政省も民営化した方が良いのではないかと思った時期がありました、インターネットも解禁となっておらず、通信会社などにも参入すれば郵便事業は電気通信と郵便の2枚看板で行けるのではないかと思ったのでした。(まぁ、若者の浅知恵ですけどね。苦笑)
実際に事業論文に郵便局も民営化すべきだ・・・みたいなことを書いて総スカンを食らいました
ゆうちょ銀行も。かんぽ生命も収益会社は優等生
ゆうちょ銀行やかんぽ生命が、実質的に政府保証を受けたままの形で、特にかんぽ生命は、基本的には簡易保険時代の商品を看板だけ挿げ替えたような商品でその後も販売したり、貯金も同様に募集を行って利益を稼ぎ出す反面、郵便事業は平成20年(2008年)以降は赤字決算続きとなってしまいました。
郵便局会社は、上記の様に各事務取扱量によって手数料という形で郵便局会社に支払う形となっています。
結果的には、この4社体制はまず最初に、土性骨である郵便事業が早々と脱落し、郵便局会社が郵便事業株式会社を救済のため吸収合併する形で平成24年(2012年)10月1日に再編成が行われ、名称も「日本郵便株式会社」と変更し現在に至っているのはご存じのとおりです。
かんぽ生命は、一足早く郵便局から離脱
なお、現在も旧普通局などでは、ゆうちょ銀行は局内に設けていますが、かんぽ生命に関しては、旧普通局の局舎からでて、別の貸しビルなどに入居しており、完全に郵便局とは距離をおいた形を取っています。
なお、郵便局内のかんぽ生命の窓口は日本郵政の職員がかんぽ生命の委託を受けて仕事をしているようです


民営化10年を経て上場も果たした郵政事業ですが、郵政省末期から非正規を増やし始めており、現在では集配職員の半数近くが非正規とも聞きます。
さらに、前回書きましたが集配頻度の低下により送達日数(郵便物を郵便局が引き受けて受取人に到達するまでの日数)も遅延傾向にあり、郵政所時代は、島しょ部などを除き、翌日配達を目指すと言われたりしたものですが、最近では大阪から九州に郵便物を送付しても下手したら3日かかることもあるなど、サービスは大きく低下しています。
郵便事業は再度公有(国有)化されるのか?
今後も郵便に関してはユニバーサルサービスの維持ということが義務付けられていることを考えれば、日本郵便に関しては再度法令を改正して郵政公社もしくは、それに準じるような外局に戻していく必要もあるのではないだろうかと改めて思ってしまいます。



民営化は、大規模都市などで競争原理が働くところは有効ですが。そうでない地域に関してはブロック単位(旧郵政局単位)で収支を計算し、採算困難地域には、費用補填などの必要もあるのではないでしょうか。

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鉄道と郵政、民営化の相違は何か?

2017-07-31 15:11:00 | 郵政民営化
国鉄民営化を検証するblogですが、今回はあえて郵便局の民営化を振り返って、郵政の民営化と国鉄の民営化の異なる点を考えてみたいと思います。


郵便局の民営化は誰が得したのか?
郵便局の民営化は誰が一番得したのでしょうか。
少なくとも、国民はあまり恩恵を受けていない、むしろ下がったように思います。
郵貯の手数料・・・時間外手数料無制限だったのが制限掛かるようになった。
郵便集配・・・ポスト収集の回数が減少したうえ、信書に関しては送達日数が昔より大幅に長くなり、ちょっとしたものでも速達で送るかヤマト運輸などの他の送達手段を使うしかなくなった。
そして、郵便事業は赤字だということで値上げしたら更に利用者が減ったという悪循環です。
郵便事業と郵貯・簡保は別の扱いに
さらに、郵便局の場合う郵便はユニバーサルサービスを義務付けられているので、過疎地であっても配達を行う義務を要するのに対し、郵便貯金(民営化以降はゆうちょ銀行)並びに簡易保険(かんぽ生命)は、ユニバーサルサービスの義務から解放されました。

郵便貯金法には

第一条
(この法律の目的) この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。

となっていますが、ゆうちょ銀行は、郵政民営化法第98条で銀行法に基づく銀行と看做す(みなす)と記述されています。

郵政民営化法
(平成十七年十月二十一日法律第九十七号)

 第二節 承継に関する銀行法 等の特例等

(銀行業の免許の付与)
第九十八条  郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、銀行法第四条第一項 の免許を受けたものとみなす。
2  前項の免許は、次に掲げる条件が付されたものとする。
一  第百十条第一項各号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならないこと。

ちなみに、銀行法第4条第1項は
(営業の免許)
第四条  銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない。

といいうもので、明確にゆうちょ銀行は、一般銀行と看做すと明記しているわけです。
ということで、ゆうちょ銀行は直営の店舗以外に郵便局に委託している形となっています。(小さな郵便局の場合、郵便貯金を扱っているのではなくてゆうちょ銀行の代理店として手数料を受け取る形になっています。
二  次節の規定の適用を受ける間、業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる銀行代理業者(銀行法第二条第十五項 に規定する銀行代理業者をいう。以下同じ。)への継続的な業務の委託がされていること。
3  前項の条件は、銀行法第四条第四項 の規定により付された条件とみなす。

郵便事業は基本的にはユニバーサルサービスとして認められていた
改めて郵政民営化法を参照してみますと、郵便事業に関しては、一定の業務、郵政省時代から社会政策補助として認められてきた盲人用点字郵便物や低料第3種郵便などは最初から収支相次ぎませんのでそれらに対しては交付金を払うと明記されています。

当初の郵便事業株式会社法では

  第一章 総則

 (会社の目的)

第一条 郵便事業株式会社(以下「会社」という。)は、郵便の業務及び印紙の売りさばきの業務を営むことを目的とする株式会社とする。

とされており、会社自体は事業会社のような位置づけにも読めます。
ただし、社会貢献業務計画として、困難を伴う業務に関しては社会貢献資金と言う名目の補助金を求めることができるとされています。

(社会貢献業務計画)

第四条 会社は、総務省令で定めるところにより、三事業年度ごとに、三事業年度を一期とする社会貢献業務の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を定め、当該実施計画に係る期間の開始前に、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の「社会貢献業務」とは、会社が営む次に掲げる業務であって、日本郵政株式会社法(平成十七年法律第九十八号)第六条第一項の規定による社会貢献資金の交付を受けなければ、当該業務に係る役務の水準を著しく低下させることなく当該業務を実施すること(第五号に掲げる業務にあっては、当該業務を実施すること)が困難であると認められるものをいう。

 一 郵便法第十八条の規定により無償で交付する郵便葉書及び郵便書簡に係る郵便物に係る業務

 二 郵便法第十八条及び第十九条の規定により料金(特殊取扱の料金を含む。)を免除する郵便物に係る業務

 三 郵便法第二十二条第一項に規定する第三種郵便物に係る業務のうち、社会福祉の増進に寄与するものであって、総務省令で定めるもの

 四 郵便法第二十七条第二号及び第三号に掲げる郵便物に係る業務

五 前条第三項に規定する業務のうち、天災その他非常の災害の被災者の救援又は社会福祉の増進に寄与するものであって、会社以外の者による実施が困難なもの

実際には、郵便事業は単独では立ちいかなくなり、平成十七年十月二十一日法律第百号で日本郵便株式会社法として、新たに設立され、郵便事業会社を郵便局会社が吸収する形で再編成されることとなりました。
これにより、郵政民営化法の第6章(郵便事業会社関連)が一斉に削除されています。

これにより、郵便会社が日本郵便株式会社としてユニバーサルサービスを引継ぐ形となり、

日本郵便株式会社法では、下記の通り「地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社」として承継することとなり局の設置に際しても一定の縛りをかけられたように思われます。

(会社の目的)
第一条  日本郵便株式会社(以下「会社」という。)は、郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務並びに郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とする。

郵政民営化で公務員の数は減少したが・・・

小泉改革の中で公務員の削減が謳われ、郵政省を民営化すれば公務員の数を大きく削減できると言いました。
実は、大阪地下鉄の民営化もそうですが、公務員の数は減っても、元々が独立採算制による郵政特別会計で賄われていますから、税金の投入は無いわけです。
敢えて言えば、郵便局の庁舎などは国有資産なので固定資産税などの賦課が無かったわけで、民営化すると当然のことながら固定資産税等の対象になりますので、国としては税収が入ってくることになります。
逆に、郵便局会社などは、税金の支払い分を効率化もしくは経費節減で行わなくてはならず、さらに積極的な合理化などが進められることとなりました。
それが、最初に書いたように、集配度数の減少や、郵便物送達日数の延長や、郵便配達員の非正規化であり、国民はだれ一人得していない状況に置かれていると考えられます。

結論としては
ユニバーサルサービスと呼ばれるものをいたずらに民営化すべきではないということ、仮に民営化するとしてもそのスキームをしっかり考えて、収支相償わないところに関しては地域ごとで算出した適切な欠損補助を行い、いたずらに内部留保を減らす様な政策は取るべきではないのかと考えるのですが・・・皆様はどう思われますか。

そして、この考え方はJRで未上場の北海道・四国・貨物会社についても言えると思うのですが・・・いかがでしょうか。
なお、その辺りは改めて書かせていただこうと思います。

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民営化がもたらす未来

2007-10-28 12:11:22 | 郵政民営化
郵便局が民営化されて、あらゆる問題が噴出してきた。
先日も、配達証明などの郵便物を取扱う認証士がその取扱を誤り、一部が無効になったと言うものだが、他にもゆうちょ銀行での接続トラブル、などなど。

問題は山積、下記のサイトでは、郵便現場における問題を告発しているが、民営化後現金符合した日がない?なんて、お金を扱う職場としてはありえないことではないでしょうか?

これが全てとは言いませんが、あまりにもお粗末。
郵便局の未来は、きっと赤い赤い夕日のような黄昏色なんでしょうね。

しかし、もっともっと気をつけなくてはいけないのが。国鉄の民営化の際もそうでしたが、都市1等地になる郵便局の局舎です。
そのうち都市部の郵便局は全て商業ビルに建て替えられ、不在配達郵便物の受け取りなどは、山の中にある集配郵便局に受取りになんてことになりそうですからね、十分監視されることとをお勧めしますね。
 既に、郵政は歯止めの壊れたトロッコのようなものですから。