池田屋じゃあるまいし

　人との待ち合わせで渋谷に出向いた。ビルの駐車場に車を停めて、そのビルから出て右に歩き出すとＴ字路にぶつかる。目の前の道路は細い一方通行になっている。車が通り過ぎるのを待って、その道を渡った直後だ。正面のビルの階段を、「アタタタタタタタタ」と、まるでブルース・リーのような奇声を発して若者が降りてきた。

　正確には、その階段を尻餅を付きながら、滑り台を滑るように落ちてきたのである。そして、私の前の歩道のところにドスンと、尻から着地（？）したのである。私はビックリだ。するとその若者は、「いってぇ～～～っ、いてえ～よっ！」と言って、足をピーンと張って尻をおさえながらもんどりうっている。

　その後から、階段をドタドタと２人の若者が駆け降りてきた。そして、そのもんどりうって尻をおさえている若者に向かって、「おい、大丈夫か？」と声を揃えて言っている。だけどその２人の顔は…笑っている。お察しの通りだが、その尻をおさえて痛がっている若者は、階段の上で足を踏み外し下まで落ちてきたのである。

　最初は、ビックリはしたが、状況がわかれば、連れの若者２人と気持ちは一緒だ。私も笑い声こそ出さなかったが、顔だけ大笑いである。まだ、痛がって尻をおさえ泣きそうになっている若者の脇から、その階段を覗き上げてみたのだが、結構な勾配だ。ビルの入り口が直ぐに階段になっていて、どうやら２階が受付らしい。お店はカラオケ店だ。皆さんも行かれる時は階段に気を付けられたいい。店名は『ビ○○○○ー』だ。これ以上○の中をうめてしまうと、営業妨害にもなってしまいそうだから×だけど。それにしても見事な、階段落ちだった（笑）。