夢のような…夢

　私は、ほとんど夢を見ることがない。夢をみない人間などいないわけだから、正確には夢を覚えていないということになるのだが、それほどいつも、泥睡状態にあるということなのだろう。それでも、たまに夢を覚えていることがある。そのほとんどはゴルフの夢だ。

　私の唯一の趣味はゴルフである。だから、ゴルフの夢が多いのだろうが、余り楽しい夢ではない。夢の中でも、ショットに苦しんでいる。たった今、そのゴルフの夢で目が覚めた。

　その夢の内容なのだが、何と私は、今をときめく女子ゴルフ界の人気者３人娘と、一緒にラウンドをしているのだ。宮里藍に横峯さくら、そして諸見里しのぶの、３人とである。夢のような組み合わせだ。まぁ～確かに夢なのだが…。「どうだ、羨ましいだろう？」と誇りたい気分なのに、ギャラリーが全くいない。私は、『この豪華メンバーで、何故にギャラリーが一人もいなんだ？』とふて腐れている。

　まぁ～いたらいたで、「何なんだ、あいつは？」とか思われ、例え夢の中であっても、ビクビクもののラウンドになってしまうのだろうから。

　ところで夢の続きなのだが、ラウンドの方は順調に進んでいる。ところが、何ホール目かで池のあるホールにやってきた。するとその池の中から大きな山椒魚が、何匹もフェアウエイに這い上がってきているのだ。私は福島県の田舎育ちだが、こうした両生類や爬虫類の類が大の苦手だ。それは夢の中でも同じである。山椒魚なだけに『ギョッ』として立ち竦んでしまっている（コホン、ゴメンナサイ）。

　すると、こともあろうに、その３人娘がクラブを投げ捨て、その山椒魚を両手で掴まえ、私の方に持って来ようとするのである。しかも、３人揃ってだ。それこそ、私の方がクラブを投げ捨て逃げ回っている。「やめろ～っ、やめてくれ～っ」と叫びながらなだ。

　逃げ回りながら…目が覚めた。何故か私の顔は…笑っている。苦手なものを持って追いかけ回されるより、どうも、今をときめくゴルフ界の３人娘達に、追いかけ回されている方が嬉しかったようである。
　
　ベッドの上でムクッと起き上がり、『絶対、あり得ないよな』と心の中で呟いた。そして、夢であることを自覚しながら…頭を掻いた。それにしても、いい歳こいて…マヌケな夢だ。それでも、『夢のような…夢』ではあったのだが…。