あ～タバコが吸いたい！

　…と言っても、私は禁煙して既に４年目だ。もうすぐ５年目に入る。なのに、未だにタイトルのような、こんな有様だ。これから禁煙しようとしている人には、為にならない話になると思うので、読まない方がいいかもしれない（汗）。

　何故、禁煙しようなどと思ったのだろう？私は、『禁煙する時は死ぬ時だ』と言うほどの愛煙家だった。だから、その量も半端ではなかった。俗に、ヘビースモーカーの上のランクに、チェーンスモーカーという部類の人達がいるが、間違いなく私はその一派に属していた。何せ、タバコを買う時はカートン（１０箱）買いだ。それが、２日で無くなってしまうのだから、１日１００本吸う計算になる。

　ただ、やめる時には、これと言った理由があったわけではない。『やめたらどうなるんだろう？』くらいのものだった。…で、一日試してみたのである。これが、えらいきつい。一日経って、翌日の朝に早速吸おうかと思ったのだが、『昨日あんなに辛い思いをしたのに、ここで吸ってしまったら、昨日はなんだったの？ただの辛い日？バカバカしい。じゃあ今日も吸うのをやめた』これが続いて今日がある。『あの辛い日々はなんだったの？』というこれだけだ。だから、ここで１本でも吸ってしまれば、『この４年間はなんだったの？』と言うことになる。それが悔しい。

　その禁煙だが、やはり、二週間目あたりまでが特にきつかったのを覚えている。一週間経つと、身体の中からニコチンが排出されきってしまうので、そのニコチンに対する依存中毒がある。そのニコチン中毒期間を過ぎてもまだ苦しいのは、ノスタルジーショックと呼ばれる、『タバコって美味かった』という記憶・想い出だがあるからだ。これを払拭するのが難しいので、『禁煙は１～２年目までは辛い』と言われる所以らしい。

　それが、私の場合はしつこいのだろう？もう５年近くなるというのに、未だにあの美味さを忘れられないでいる。でも、『吸いたい』というのは、だいたい１５秒前後我慢すれば、もう直ぐに忘れてしまう。それが一日の内で数回ある程度だ。もちろん、ない日もある。

　では、どういう時に吸いたくなるのかというと、俗に『目覚めの一服』に『食後の一服』は美味いと言われているが、ノスタルジーショックの場合にはというか、私の場合には、それはない。一番吸いたくなるのは、映画の中で誰かが美味そうにタバコを吸っているシーンを見た時だ。あとは普段だと、やはりテンションが上がっている時とか、イライラしている時だ。

　実際に、タバコをやめて良かったと思ったことはあまりない。緊張しやすくなったし、イライラしやすくなった。確かにご飯は美味しくなるので、よく食べるようになる。だから、１年で１０キロも太ってしまった。急に太ったので肝機能障害になった。酒も飲めないのにだ。朝の目覚めも悪くなった。朝は吸わないとシャキとしないので、ベッドの中でいつまでもダラダラしてしまっている。
　
　だったら、良いことはひとつもないのか？…と言ったらそうでもない。まず、家族は喜んでくれた。そして、朝ゴルフ場に向かっている時に、『あれっ、タバコの火はちゃんと消してきたかな？』と思わないで済むことだ。ゴルフの日の朝は慌ただしく出ていく。寝ぼけ眼だが、タバコだけはしっかりと吸う。でも、寝ぼけたまま吸っているので、ちゃんと火の始末をしたかの確証がもてないのだ。それが心配で、何度か自宅に戻って確かめたこともあった。これがなくなったのは大きいかも知れない。大好きなゴルフを、安心して始められるからだ。これは、私と同じ時期にタバコをやめた、アリスのドラマー矢沢さんも同じ事を言っていた。この心配をしなくていいのが、タバコをやめて本当に良かったことだと。

　もちろん、マヌケな話も当然ながらある。タバコをやめた頃は、タバコを吸っている夢をよく見ていたのだが、親指がタバコのフィルター代わりになっているのだ。親指をチュウチュウと吸いながら目を覚ます。これはマヌケだった。赤ちゃんじゃないんだから…。