貿易実務用語の知識体系

制度変更に記事のアメンドが追いついていない箇所もありますのでご留意ください。             

輸出代金の決済方法

2010年01月03日 | 貿易実務
【1】支払い時期 
(1)前払い Payment in Advance
(2)後払い Deferred Payment
(3)同時払い Cash on Payment
(現実的には売掛期間が発生する)
(4)交互計算 Open Account ,ネッティング

【2】決済手段
(1)逆為替(輸出者が荷為替手形を→輸入者に振出。
     輸出者←代金←輸入者 で、流れが向き合う)
*荷為替手形:為替手形に船積書類を添付したもの。
①L/C付------買取
②L/Cなし----D/P D/A (原則取立て、信用あれば買取)
D/A:バイヤーはたとえ期日に支払える見込みが無くても、荷為替手形を引き受けてしまえば貨物を受け取ることはできる。
・DP,DA手形の買取で、買手の代金支払いが受けられない場合、買取銀行は輸出手形保険があればそれでカバーされた保険金額と買い取った手形金額の差額を輸出者に償還請求する。

L/C無しのD/P D/A手形の例
BILL OF EXCHANGE(表題)(L/Cネゴと同じ用紙)
「Documents Against Payment」「Documents Against Acceptance」と手形面に記載。
・手形上にD/P D/Aの区別記載なし→D/Pとして扱う(1995取立統一規則 7条)
・取立統一規則の銀行の免責事項:銀行は書類の真正さ、法的効力はもとより、書類に記載された物品の数量、存在、運送人その他の者の作為、不作為についても義務も責任も負わない。
No.123手形番号
For US$100,000.00.-
AtXXXXXSight of this FIRST Bill of Exchange (Second being unpaid) Pay to 「輸出者の銀行名(買い取った場合)」or order the sum of Dollars One Hundred Thousand Only in US Currency(読みを綴る)」 Value Received and charge the same to account of (ofの後は記載しない)
To (輸入者名、住所)

③為替手形:輸出代金請求のため、輸出者が輸入者(またはその取引銀行)宛てに振り出す。手形書類は付いていない。→船積書類などが添付されていない手形を「クリーンビル」と呼ぶ。
④ダイレクトコレクション:輸出地の銀行を経由せず、輸出者が取立銀行に直接船積み書類を送付。

(2)並為替(送ってもらう)
①銀行為替
(イ)電信送金T/T(通知払い、口座払い、請求払い)
(ロ)普通送金(Mail Transfer)
(ハ)送金小切手(Demand Draft):仕向け銀行が発行する送金小切手を、送金依頼人が受取人に送る。→受取人は被仕向け銀行で送金額を受け取る。

②郵便為替

【3】サイト
①at sight
②確定日後定期払い At 90days after (B/L) date
③一覧後定期払い At 90days after sight
④D/P at 30days after sight:航海日数の関係で、輸入貨物の到着まで日数がかかる場合などに利用される。船積書類が到着しても決済しない。一覧後30日(航海日数と書類の到着がほぼ同じ時期になるようにする)手形期日に決済を完了した場合にのみ船積書類が引き渡される。→D/Pである。輸入地の取立銀行には、一切の立替払いが発生していない:TTSレートが適用。


【4】ネッティング
(1) 新改正外為法
①従来は輸出資金と輸入資金を別々に為銀に持ち込み、グロス(総額)で決済していたため、輸出代金のドル売り手数料と、輸入代金のドル買い手数料を銀行に支払っていた。
②1998年4月、外国為替及び外国貿易法(新改正外為法)が施行。 海外子会社を含むグループ企業同士の「ネッティング取引」 解禁。わが国の外為法上、貨物の輸出入代金決済にネッティングを用いることに特段の問題は無い。相手国がネッティング決済を行えるかは当該国の為替管理によるので、都度確認が必要である。
③一定の期間内の取引によって生じる債権・債務を記帳しておき、一定の期間経過後に累積した取引の輸出資金と輸入資金を相殺してネット(差額)で決済するもの。(商法では「交互計算」、外為法では「貸借記」と言う)。
2者間での相殺をバイラテラル・ネッティング、3者間以上をマルチラテラル・ネッティングという。
④マルチラテラル・ネッティングは、企業にインハウス・バンク(企業内銀行)の機能を持たせ、 多国籍企業(本支店間)のような、グループ間での外貨決済を一箇所に集めて管理することにより、為替リスクと為替コストを削減させようとするもの。
(2) ネッティングのメリット
①取引に伴う為替リスクの低減
②外国為替手数料の削減
③決済資金の削減
④事務作業の軽減、資金管理の効率化


【5】国際ファクタリング
①フォーファィティング:貿易取引の荷為替手形決済において、万一手形が不渡りとなっても輸出者が手形の買戻し義務を負わない(いったん受領した手形代金は返却不要)形でファクタリング会社に手形を買い取ってもらうことにより、債権回収のリスク回避。但し、契約不履行など輸出者の責めに帰すべき事由による輸入者の不払い、戦争時の非常危険による代金回収不能は対象外。 
②輸出者はファクタリングの利用を輸入者の了解を得て行う。
③日本の代表的なファクタリング会社
 http://www.factors-chain.com/members/JPN