貿易実務用語の知識体系

制度変更に記事のアメンドが追いついていない箇所もありますのでご留意ください。             

【輸入】特殊関税

2006年03月12日 | 貿易実務
特殊関税
【1】 ■■■■(アンチ・ダンピング関税)
答:不当廉売関税
(1) 不当廉売関税(アンチ・ダンピング関税)の要件:
①ダンピングされた貨物の輸入の事実があること(ダンピング輸入の事実)
②ダンピングされた貨物と同種の貨物を生産している国内産業(国内生産高の相当な割合を占める者)に実質的損害等の事実があること(損害等の事実)
③実質的損害等がダンピングされた貨物の輸入によって引き起こされたという因果関係があること(因果関係)
④国内産業を保護する必要性があること(産業保護の必要性)
(2) 手続き
①政府が調査を実施して課税要件を充たしていることを確認
②原則として国内産業の利害関係者から財務大臣(提出先:財務省関税局関税課)に対し課税申請が行われれば、関係大臣(財務大臣、産業所管大臣及び経済産業大臣)の間で協議のうえ、政府として調査を開始するかどうかを決定する。
③ 日本の場合、製品・輸出者名または輸出国および「■■■■」の期間が指定され、通常の関税のほかに正常価格(輸出国の国内販売価格等)と不当廉売価格の差額相当額以下の関税を合わせたものが関税として課される。
答:5年以内

【2】緊急関税(セーフガード)
輸入貨物の課税価格と同種または類似の国内卸売価格から通常の関税額を控除した額以下の特殊関税を課す。
(1) 一般セーフガード (一般緊急関税、報復関税)
輸入品の急増で国内産業が大きな損害を受けることを回避するため、
①政府が関税を引き上げたり 
②輸入量を制限したりして、(cf特別セーフガードは関税引上げのみ)
一時的に輸入品の流入を抑える制度。
WTO(世界貿易機関)のセーフガード協定で世界各国に認められている。
(2) 予見し得ない事情による輸入の増加や重大な損害の発生、国民経済上の緊急の必要性などの条件を満たし、政府が必要だと判断した場合に発動できる。(これらの条件を満たさずに発動すると、WTOが取り消しを命じる場合もある)
(3) 対象:工業製品や農産物など、すべてのもの。
発動期間:原則4年(延長して8年まで)。
発動条件:日本ではまだ正式には発動した実績はない。
・発動条件を満たしているかどうかを、利害関係者(生産者、消費者、商社など)の意見を幅広く聴取し実態調査を行ったうえで、政府が客観的に判断しなければならない。
・措置を行う相手国に対して、同意を求めるための協議を行わなければならない。合意が不成立になった場合は、輸出国には対抗措置(報復措置)をとる権利がある。
2002年3月に発動された米国の鉄鋼セーフガードに対して我が国は対抗措置としての関税リストをWTOに通報していたが、11月WTO上級委員会は日本、EU等の主張を認め米国はWTO違反と決定し、米国はセーフガードを撤廃した。
・相手国と協議をする場合、その品目の輸出を中止してもらう代わりに別な品目を輸入するなどの、貿易上の補償を適切な形で与えなくてはいけない。
・輸入制限を行う場合には、過去3年間の輸入実績の平均を下回らないような措置を取る必要がある。
・発動期間中は、輸入制限の措置を徐々に和らげていかなければならない。

一般セーフガードと特別セーフガードの比較
一般セーフガード(SG)      特別セーフガード(SSG)
関税引上げ輸入数量制限    関税引上げのみ
対象品目全品目         農産物
4年(8年)          1年

・政令により、貨物を含め対象国を限定せずに無差別に行える。
・関税引き上げ または 輸入数量制限。
・全品目、国内産業に重大な損害。原則4年以内、最大8年以内。
・2001年4月、中国産3品目(ネギ、生しいたけ、畳表)について日本は暫定的セーフガード発動。これに対し中国は日本からの携帯電話、エアコン、自動車の輸入関税を100%に引き上げ対抗措置を講じた。GATT19条3項「対抗措置」では、緊急措置によって影響を受ける締約国は、対抗措置(対抗関税)をとる事が認められている。
・影響国に補償措置要。

(2) 特別セーフガード(特別緊急関税)
①WTO農業合意によって自由化(関税化)した農産物だけを対象にするもの。関税暫定措置法で規定。
②対象品目の輸入量が一定の量を超えた場合に、自動的に発動される。発動期間も1年足らずと短く、発動の条件も緩い。日本でも豚肉や生糸などで発動された実績がある。 日本:豚肉、生糸で発動あり。
③ 関税引上げのみ。

【3】 相殺関税
(1) 輸出国から国の■■■■を受けたある貨物が、補助金の分安く輸入され、日本の生産者が損害を受けた場合、その補助金の額を限度として課される特殊関税。
答:補助金
(2) 申請から2ヶ月以内に調査開始、1年以内に発動を決定
(3) 最大5年間発動可。
(4) 1983年2月にパキスタン綿糸について調査を開始したが、1984年2月にパキスタンが補助金制度を廃止したため、調査終了。

【4】差額関税
国内の生産コストなどから基準価格を設け、日本への輸入時点でこれより安い品にはその差額を関税としてかける制度。低価格のものほど高率の関税がかかるシステムになっている。(わが国の輸入豚肉など)

【5】季節関税(Seasonal Duty)
輸入される時期によって適用する税率を異にする関税。バナナ、オレンジなどに適用されている。


海外投資

2006年03月11日 | 貿易実務
海外投資
(1) 事後報告
経営参加等を目的として外国企業等に対し直接投資(10%以上の出資(株式等の取得)や1年を超える金銭の貸付及び、外国における支店・工場の設置等):日本銀行を経由して財務大臣に対し、原則として「事後報告」(一部事前届出)。
(2) 事後報告
資産運用を目的とした対外証券投資(10%以下の出資を含む)や貸付期間1年以内の金銭の貸付であっても、取引金額が1億円相当を超えるもの:日本銀行を経由して
 財務大臣に「事後報告」(イラク及びアンゴラの企業に対し海外直接投資を行う場合は、あらかじめ財務大臣の許可を得る必要あり)。
(3) 事前届出
投資先の業種が次の業種等に該当する場合は、当該投資を行う日前2月以内に所要の届出書を日本銀行を経由して財務大臣に提出する必要があり、原則として届出が受理された日から20日が経過するまでは投資を実行できない。
①漁業            ②皮革又は皮革製品の製造業
③武器の製造業     ④武器製造関連設備の製造業
⑤麻薬等の製造業
(4)  事後報告
上記の業種以外の業種に対し対外直接投資を行う場合:当該取引を行った日から20日以内に、所要の報告書を日本銀行を経由して財務大臣へ提出する。(但し、投資額が1件1億円相当額以下の場合は、事後報告不要)
(5) 中国企業に対して日本企業が原料が囲う資材を提供し、中国企業が完成品を日本企業に買い取ってもらう→来料加工
日本企業が中国に会社登記をして設備投資から生産までを行う→進料加工