貿易実務用語の知識体系

制度変更に記事のアメンドが追いついていない箇所もありますのでご留意ください。             

輸出金融

2011年02月26日 | 貿易実務
(1) 船積み前金融
①E勘定(エクスポートアカウント):当座貸越勘定の一種。ここから小切手を振出して必要な支払いをし、輸出すればその買取代金を入金する。
②つなぎ融資→売買契約成立前の見込み生産などに。
③輸出前貸→売買契約後に、輸出者が受注品の材料を国内仕入れ等するために、輸出者が約束手形を銀行に差し入れて貸付を受ける。国内単名手形貸付と変りない。

(2) 船積後金融
①L/C付き輸出荷為替手形の買取
②L/Cなし荷為替手形の買取
 -D/P 一般的に atsight手形。
-D/A 一般的に Documents against Acceptanceの手形

(3) 貨物の輸出にあたりL/Cを輸入者に開いて貰う場合は、輸出者側も取引銀行に話をつけておかなければダメ。 要は、L/Cをもとに船積したあと、船荷証券と荷為替手形、インボイスその他をいきなり取引銀行に持って行っても換金してくれない。
まず、事前にL/Cの発行銀行が優良であること、この銀行のL/CならOKと、自社の取引銀行に確認してもらうこと、また、取引銀行とL/C発行銀行とがコルレス契約あるかも、相談すること。

銀行がL/C付き荷為替手形を買い取ってもらったとしても、万一それが決済されずに、銀行が「回収しそびれた」場合、取引銀行は輸出者に「回収しそびれたから、一旦買い取ったお金を返してください」と行ってくる。 「L/Cがあるのに何故!」と思うが、銀行は抜け目ない。 企業が銀行と外為取引を行う場合は、前もって「外国向為替手形取引約定書」という契約書を交わすことを求められる。その中に「輸出者は、外国向荷為替手形の買取を受けた後、支払義務者による支払・引受・債務の確認が拒絶された場合には、銀行の請求によって手形面記載の金額の買戻債務を負担し、直ちに弁済する」という項目がしっかり入っている。 

したがって、万一L/C付き荷為替手形が決済されなかったら、銀行は輸出者であるあなたに「払い戻しせよ」と行ってくる。その時、輸出者であるあなたに、銀行に返済するだけの資力がなければ、銀行が損をする。つまり、銀行はL/C付き荷為替手形を買い取る際には、実は輸出者であるあなたに与信行為を行っていることになる。


(4) 国際協力銀行
① 国内融資(サプライヤーズ・クレジット=S/C)
日本の輸出者(サプライヤー)に対して、日本国内で生産された設備等の輸出または日本からの技術の提供に必要な資金を融資。
②外国直接融資(バイヤーズ・クレジット=B/C、バンクローン=B/L)
・バイヤーズ・クレジット:外国の輸入者に対して、日本からの設備等の輸入、技術の受入れに必要な資金を直接融資。
・バンクローン:外国の金融機関に対して、日本からの設備等の輸入、技術の受入れに必要な資金を直接融資。


輸入金融

2011年02月26日 | 貿易実務
【1】(輸入)シッパーズユーザンス
①輸出者が輸入者に対して支払い猶予する。 輸出地で荷為替手形の買取が行われず、輸出者が直接輸入者に代金決済の猶予を与える。
②L/Cの有無は問わない。

【2】(輸入)バンクユーザンス
(1)本邦ローン(自行ユーザンス)
①輸出者が振出した■■■■荷為替手形の対外決済を日本の外国為替銀行が自行のリスクで立替払い→銀行は輸入者に請求しないで、支払いを猶予する。
「at sight」
②本邦ローンの始期:日本の外国為替銀行が海外の銀行に立て替え支払いしたとき。
③終期:ユーザンス期日
④L/C取引、L/Cなし取引を問わないが、at sight
⑤本邦ローンは輸入貨物代金の支払いだけでなく、輸入にかかわる運賃、保険料の支払いにも利用される。
⑥輸入者は本邦ローンを受けるため以下を銀行に差し入れる:
(イ) 貨物貸渡依頼書
(ロ)外貨表示の期限付き約束手形 Promissory Note 
No NM-1234
Drawn at TOKYO JAPAN on MAY 24, 2005
For US$34,000.00.-
We, the undersigned, promise to pay against this promissory note to The Hinode Bank Ltd. the sum of US Dollars Thirty Four Thousand Only on 記載しない
(ハ)輸入担保貨物保管証(T/R)
貨物貸渡し(T/R=Trust Receipt)
T/R差入れ→船積書類借り受け→貨物を引取り→市場で売却→その売却代金を輸入決済に充当。貨物は決済するまでは銀行の担保になっており、所有権自体はあくまでも銀行。銀行はこれを■■■■として扱う。
動産質または譲渡担保 
(a)甲号T/R 貨物の引き取りから売却まで認める。
(b)乙号T/R 貨物の引き取りから蔵入れまで認めるが、売却を認めない。実際にはほとんどない。
(c)丙号T/R 丙号は航空貨物に利用される。航空貨物の場合はどうしても書類よりも貨物が先に到着するので、貨物の引き取りから売却までを認める。

(2)外銀アクセプタンス(外銀ユーザンス)
信用状に基づき輸出者が輸出地のコルレス契約先を名宛人として振り出した■■■■を輸出地の買取銀行で通常通り買取られる。
(答)期限付き為替手形

輸出地の買取銀行で買取→貿易取引に見合う手形を買取銀行が振出し→信用状に定められた引受人(外国の銀行)が引受け輸出地の買取銀行に支払い→期日まで支払いの猶予が行われる。
つまり、輸入地の信用状発行銀行が、コルレス契約のある輸出地の銀行に対して、輸出者が信用状に基づいて振り出す期限付き荷為替手形の引き受け銀行になってもらうことをあらかじめ引き受けてもらい、手形期日まで外国の銀行が輸入者に支払い猶予を与える

(3) BCディスカウント
買取が行われ、手形期日までに輸出地の買取銀行が支払い猶予を与える。

(4)はね返り融資
■■■■などの■■■■を受けた輸入者が、ユーザンス期間をこえても尚金融が必要な場合:銀行から■■■■による金融を受けること。
答:本邦ローン、外貨金融、円貨
①ハネ商手:輸入貨物の販売先からの代金回収条件が商業手形(通常の商売で発行された手形)により行われ輸入ユーザンス手形期日にその商業手形の満期日が未到来などの場合、代金回収ができるまでの間、■■■■が行われ、その円貨を対価にして外貨に換え輸入ユーザンス決済を行うこと。
答:「商業手形の割引」
②ハネ単名 単名手形(金融機関宛に発行した、借り入れ目的の手形)による貸付の形で融資。
③直ハネ  対外決済の為に輸入ユーザンスを供与せず、決済代金を直接 円で融資を行う。

(5) リファィナンス(再融資)
輸出者はL/Cに基づいて一覧払い手形を振出す→輸入者も期限付き手形(リファィナンス手形)を振出し、それを割り引いて一覧払い手形の決済に充てる。


外国為替

2011年02月25日 | 貿易実務
【1】為替とは
現金を直接扱わない。金融機関を介して振り込みの指図や小切手等により資金を移動させる事。
①仕向為替:為替取引を手続きの出発点から見た場合。送金する側→仕向け送金為替。
②被仕向為替:為替取引きを反対の終着点から見た場合。送金の受取側→被仕向送金為替。

【2】売相場・買相場
①売相場:銀行から見て外貨を顧客に売る。
②買相場:銀行が外貨を顧客から買う。
③自国通貨建: 1US$=110円
④外貨通貨建: 1円=US$0.9

【3】いろいろなレート
* Cash Selling Rate
* Acceptance Rate:
輸入L/C at sightの手形決済に使用される相場
TTSにメール期間金利を加えたもの。L/C付輸入手形決済(外貨建):L/C発行銀行の海外コルレス先預け金勘定から、輸入手形金額が引き落とされる時~自行の顧客(輸入者)より決済を受ける時までの間、L/C発行銀行は 立替払をしていることになり、この期間を12日としてメール期間金利が適用される。
 ↑
* TTS:1$=101(外貨建て輸入の本邦ローンで期日に行われる決済では、為替予約が無いなら当日のTTSが適用される。 ユーザンス金利は別途銀行に支払う。)
 ↑
********* 対顧客仲値:1$=100 ***********
午前10時頃のインターバンク市場を参考にして、その日の顧客向け固定相場の基準としてそれぞれの銀行が決定して店頭に公示する相場。
 ↓
* TTB:1$=99(B/C扱いの場合、為替予約が無いなら代金が輸出者に支払われる日のTTBが適用される。)
L/Cで輸出者から外貨建て手形を買い取った買取銀行がL/C発行銀行とのコルレス契約にもとづいて直ちに発行銀行の預かり勘定からその買取代金を回収できる場合、買取銀行には何の資金負担も生じないので、手形買取はTTB
 ↓
* At Sight Rateとか、Credit at Sight Buying Rate
輸出L/C at sight の買取相場 
輸出L/C at sight の手形を銀行に持ち込むと銀行はこのレートで手形を買取る。買い取った銀行は自分が立て替えて輸出者に支払っているので、この立替代金を回収するために12日間かかったとして12日分の金利(手形の郵送日数を12日としている。郵送期間分の金利として、メール金利という)を織り込んで買い取っている。
TTBで予約しても実際の決済はTTB予約レートからその日のメール金利を引いたat sight rateとなる。
 ↓
* Usance Bill Buying Rateとか、Time Bill Buying Rate
輸出期限付手形買取相場
TTB-Mail金利-手形金利
Mail金利:L/C買取銀行が輸出者の手形を買い取るに際し、立替払いしてから、L/C発行銀行からその資金を決済されるまでの金利。

*Without Credit at Sight Buying Rate
L/Cなし一覧払輸出手形を買い取るときの決済レート 輸入国の銀行による支払い保証が無いため、危険負担料として一定の金額が信用リスク料としてTTBレートから差し引かれる。 また、取立てに要するメール金利も引かれる。

【4】為替リスク回避策
(1)マリー:外貨債権と外貨債務をバランスさせる。

(2)リーズアンドラグス:外国通貨によって代金決済する場合、その決済時期を早くしたり遅くしたりして為替リスクを小さくしようとする方法。

(3)先物相場(実需原則は廃止された)
売りは先物のTTS, 買いは先物のTTBで、すべて電信相場
①順月確定日渡:将来の10月10日という特定日
②暦 月 渡 :10月渡し、という特定の月
③順 月 渡 :9月15日~10月14日
④特定期間渡 :10月1日から10月10日の特定期間
今$1=110円 3ヶ月後$1=109.6は先物ディスカウントと言う。市場金利の高い通貨は先物ディスカウントとなる。
Exchange Contract Slip (輸出の場合)
NO MARGIN ALLOWED (必ず実行)
BOUGHT FROM 銀行は買主、Japan Boeki Co.,Ltd
Sold to 売主は顧客、そこから見て売り先はHinode Bank Ltd.
AMOUNT US$10,000.00.-
TERM TTB (銀行から見て買い)
RATE @Yen予約レート
DELIVERY 順月オプション渡 July10-Aug09
Buyer Hinode Bank Ltd.

(4) オプション
ゼロコスト・オプション:コールオプションの買いで支払うオプション料とプットオプションの売りで受け取るオプション料が同額であれば相殺されて、実質オプション料の支払いは不要となる。

(5) 外国為替証拠金取引におけるスワップ取引:
直物の売り(買い)と先物の買い(売り)を同時に同額で行う取引、もしくは、その逆の取引 スワップコストは、取引を行う2つの通貨の金利差から計算される。

(6) 金融取引によるヘッジ
① 輸出:輸出契約書を元に、輸出代金相当額を円貨、外貨で借入れ金利差を利用して運用。
ドルならインパクトローン、コール市場から借入れる。
② 輸入:円シフトによるヘッジ 円を借りてドルに変え運用し、このドルで輸入代金決済。

(7)通貨の選択
輸出業者の母国通貨に比べて強い通貨で輸出代金の請求を行い、輸入については母国通貨に比べて弱い通貨建にすると、為替変動に強い体質を作る事が出来る。

【5】日本版ビッグバン (1998)
(1) Free(市場原理が働く自由で競争力のある市場)、Fair (ディスクロージャーの充実と徹底、市場の透明化) 、Global(国際的で時代を先取りするロンドン並みの市場) の3原則
(2) 外国為替および外国貿易法←「管理」の文字を取った。
(3) 外国為替公認銀行制度を廃止
(4) 居住者間外貨建て取引の自由化(1998)
(5) 海外預金開設の自由化(1998)
・その利子はその国の源泉所得、その国で課税。
・相手国と日本で租税条約あり→税率低減可能性、日本で外国税額控除制度を利用して海外で支払った源泉税を取り戻すことも可。
・ 海外預金月末残高:1億超→居住者報告義務。
(6) 直接投資の制限業種(漁業、皮革、武器、麻薬)は、事前審査付き届出が必要とした。

【6】インパクトローン(外貨貸付)
(1)資金の使い道、通貨の種類、融資金額、金利などについての制限なし。(外為法上「資本取引」の1つと規定されており、当該法の規制を受ける。)
(2)貸付通貨:銀行が調達可能な主要通貨であれば、どんな通貨でも利用可能。
(3)金利:LIBOR(ライボー・ロンドン銀行間金利)などの外貨調達コストに、銀行の利ざや(スプレッド)を上乗せして決められる。
(4)銀行からインパクトローンを受けることによるメリット
①輸出債権などの為替リスク回避。
②利息後払い。
③資金調達の多様化。
(5)邦銀や在日外銀がインパクトローンの原資を調達する場合、その大部分をユーロマネー市場などからの借り入れに頼っているため、インパクトローンの金利体系などの貸し付け条件は、ユーロマネー市場の取引慣行を反映している。

【7】スタンバイクレジット
(1)日本企業の海外支店などが、現地(外国)銀行から融資を受ける場合、日本の本社の依頼により、その取引銀行が現地の融資銀行に対して発行する信用状形式の保証状。
(2)借り入れに対する返済を発行銀行が保証する信用状。商品代金の支払いを保証する一般の保証状とは違う。
(3)資金の借主が返済期日に支払わないとき、融資銀行(受益者)が信用状発行銀行に対して手形を振り出して求償できる旨記載されている。

【8】買持、売持
(1) 買持:外貨債権>外貨債務 その通貨が値下がり→為替差損
(2) 売持:外貨債権<外貨債務 その外貨が値上がり→為替差損

【9】「支払又は支払の受領に関する報告書」
対外取引の実態を把握するとともに、国際収支統計の基礎資料として使用するため、外為法第55条の規定に基づき提出が義務付けられている。
(1) ①本邦から海外へ向けた支払や、海外から本邦へ向けた支払の受領、または、②居住者が非居住者との間で行った支払や支払の受領が、3千万円相当額を超える場合、当該支払又は支払の受領を行った居住者は原則として「支払又は支払の受領に関する報告書」を提出する必要がある。
(2) 銀行等を経由しない支払又は支払の受領:
支払又は支払の受領を行った日の属する月の翌月20日までに直接日本銀行に送付/(本邦にある銀行等を利用しない場合とは、主に、(i)債権債務の相殺(現物による決済も含む)、(ii)海外預金口座を通じての支払又は支払の受領、(iii)非居住者との決済に際して、当該非居住者の指示によって他の居住者との間で行われた支払又は支払の受領、など)
(3) 銀行等を経由する支払又は支払の受領
支払又は支払の受領を行った日から10日以内に、当該支払又は支払の受領を行った銀行等に提出。

【10】現金の取扱い
100万円を超える現金、小切手、約束手形、有価証券、純度90%以上の重量が1Kgを超える金の海外への持ち出し、持込:税関長に「支払い手段の携帯輸出輸入届出書」2通を提出。

【11】2004年外国為替および外国貿易法の改正
我が国の平和および安全の維持のために必要であると■■■■→支払い、資本取引、役務取引等について許可を受ける義務を課すことができる。
答:閣議決定

【12】SDR
①IMFの特別引出権、またはその価値の単位。バスケット方式により価値が算出される。
②US$,日本円、英ポンド、ユーロを一定のウエイトをつけてバスケットに入れる。
SDRの価値はバスケットに入れられた通貨のUS$に対するロンドン市場の正午のレートで計算された価値の合計額として毎日算出される。SDR1=US$1.34567のように表示される。