貿易実務用語の知識体系

制度変更に記事のアメンドが追いついていない箇所もありますのでご留意ください。             

【輸入】貨物引取り保証状(L/G)

2010年11月24日 | 貿易実務
【1】船荷証券の危機
①船積書類が届かないうちに、貨物だけが届いてしまい決済ができず、輸入者は引き取りたくても引き取れない。そこで、輸入者が輸入貨物を受け取るために船会社に保証状を差し入れて、貨物を引き取れるようにする必要がある。
②銀行が連帯保証人となり、銀行が保証する行為はL/Gと呼ばれる。
B/Kの保証料:L/Gへの連帯保証の日から船会社にB/Lを提出し、船会社からL/Gの返却を受け、その回収したL/GをB/Kに提出するまでの期間に応じて請求される。
③船荷証券の提出なしに貨物を受け取ることができる。
④L/Gの2つの側面
(i) 銀行の担保。荷物を輸入者に引渡す。
(ii)船会社に対し、B/Lもしくは輸入貨物の返還を保証する。
⑤信用状統一規則においては、信用状条件との不一致がある場合、書類の引き取り拒絶(=貨物の受取拒絶)ができるルールになっている。L/Gを船会社に差し入れた場合、書類なしで受け取れる反面、いったん貨物を受け取ってしまうと、中身が契約と違っていた場合も引き取り拒絶が出来なくなる。なぜなら船会社は輸出者またはその他の新所持人がB/Lを呈示しても、貨物は既に輸入者に引渡した後ゆえ、貨物引渡し義務を履行できず損害賠償し、その求償をしてくるからである。
⑥L/GにはB/Kの保証料がかかる その保証料を払わずに済むには、(i)Sea Way Bill (ii)直送B/L扱い
⑦後日B/Lが銀行に届く→輸入代金決済をするか、T/Rを差入れて輸入ユーザンスをつける→銀行から荷物の受取人がB/Lを受け取る→B/Lに裏書して船会社に提出すると、L/Gが返却される→用済みL/Gは銀行に返却する。

【2】L/Gの性質
(1)銀行にとっては輸入者に対する二重の与信行為
 ①輸入者に、担保となるべき貨物を渡してしまう。
 ②貨物を引き取った後に、万一B/Lをどこかで入手した第3者が船会社に対して貨物の引渡しを求めた場合、船会社はその物に貨物代金相当の損害賠償をするが、その保証を銀行がすることとなる可能性が残る。それは最終的には輸入者に求償するが、輸入者から取れないリスクもある。
・更に、L/Gによる貨物引取り後に輸出地の銀行から船積み書類と荷為替手形が届いたがディスクレがあって本当は支払い拒絶したいところ、既に貨物を引き取っており支払拒絶ができない。
(2)保証金額に限度が無い
 プロフォーマインボイスの金額は一定の目安だが、万一の場合船会社から請求される損害金がそれ以内という保証は無い。
(3)保証期限の無い保証状
 後日銀行経由のB/Lが届いたらこれを直ちに船会社に提出しL/Gを早急に解除する事が必要。→保証料もそれまでかかってくる。


【3】輸入者がB/Lなしで船会社に差し入れる保証状:銀行の連帯保証付き
L/G(LETTER OF GUARANTEE DELIVERY WITHOUT BILL OF LADING)
(This letter of guarantee requires the endorsement of the bank accepted by the company.)
Tokyo April 9, 2005 (船の到着予定日でなくても良い)

To the Manager of Tokyo OCEAN LINE Ltd. Tokyo
Dear Sirs,
In consideration of your granting us the delivery of the undermentioned cargo SKY HOPE Voy No.510 due to arrive (arrived) at YOKOHAMA from Los Angeles on or about (on) Apr 25, 2005 consigned to the undersigned, without presentation of Bill of Lading which has not yet been received by us, we hereby agree and undertake to surrender the said Bill of Lading duly endorsed immediately on obtaining, or at latest within one month after this date, and further guarantee to indemnify you against all consequences that may arise from your so granting us delivery, and to pay you on demand any freight and/or charges that may be due on the cargo.
We hereby certify that the Bill of Lading covering the above consignment is not hypothecated to any other bank or person. In the event of the Bill of Lading being hypthecated to any other bank or person, we further guarantee to hold you harmless from all consequences whatsoever arising therefrom.

Yours faithfully
Consignee Japan Boeki Co., Ltd.
(Signed)
Import Manager

We, the undersigned, hereby join the above indemnity and jointly or severally guarantee due performance of the above contact, and accept all the liabilities expressed therein.


The Hinode Bank, Ltd.
Tokyo Branch
Bankers, (signed)
Manager

No.of B/L 05-01/83 BC
Marks and Numbers

JAPAN BOEKI
YOKOHAMA
C/No. 1-10
MADE IN USA

Tonnage 1320Kls
Description of Cargo
420,000pcs of CTC
Shipper LAX Mfg Inc.

【4】上記L/Gに銀行の連帯保証をしてもらうために輸入者が銀行に「輸入荷為替付帯荷物引取保証証依頼書」とともに提出する約束手形。

PROMISSORY NOTE

①手形番号
②Drawn at L/G発行依頼日と同一 
Tokyo, June 1, 2005
③For US$ 27,000.00.-
We, the undersigned, promise to pay against this promissory note
④To L/G発行依頼先銀行 at***Branch
⑤The sum of U.S. Dollars Twenty Seven Thousand Only
⑥onの次はブランク
⑦JAPAN BOEKI
signed

【5】L/CベースのAIR Cargo引取り
①AWBは有価証券で無いので、当初から貨物の荷受人をL/C発行銀行としている。
②丙号T/R、約束手形(または担保)を銀行に差入れてL/C発行銀行から貨物を借り受ける形でRelease Orderを発行してもらう。銀行はRelease Orderの差入先である航空会社に保証債務を負わない。
③中身が契約と違っていた場合でも書類の引き取り拒絶は出来なくなる。
④輸入RELEASE ORDER
(イ)Date June 28, 2005
(ロ)Thai Air Line Co.,Ltd.
(ハ)RELEASE OF SHIPMENT UNDER AIRWAYBILL No.4567
(ニ)Gentlemen:
You are kindly requested to deliver the above mentioned shipment consigned to us to Messes.貨物引取乙仲名 or their designated custom house broker who arer authorized tp sign delivery receipt of the Air Way Bill on our behalf.
(ホ)Yours very truly
--------------------------
Signature
HINODE BANK Co.,Ltd.



【輸入】信用状開設依頼書

2010年11月24日 | 貿易実務
銀行が輸入者と交わす約定書類
1.銀行取引約定書(銀行が顧客と与信取引を行う際の基本約定書)
2.信用状取引約定書(銀行は輸入者の代金支払いを輸出者に確約から、そのつもりで、というもの)
3.輸入担保貨物保管に関する約定書(T/Rに関する約定)

以上の約定を予め整えた上で、個別の契約に対応して信用状開設依頼書を提出する。その記載事項は下記通りである。

(1)開設予定日
(2)輸入金融方法 (_)本邦ローン (_)アクセプタンス (_)L/G (_)その他
Application for Irrevocable Documentary Credit
(1)Date of application
(2)Application's ref. No.
(3)Expiry date→通常、船積期限の10日または15日後(銀行休業日のときは次の営業日へ UCP44条)
(4)Place for presentation→輸出者の都市、住所
(5)Applicant→信用状発行依頼人+住所
(6)Beneficially→輸出者+住所
(7)通知方法
(X)Full cable without Mail Confirmation (Letter Telegram / Ordinary / Urgent)→その電信がL/Cの原本。
(_)Airmail with brief advice by teletransmission (プレアド)→その電信はL/C原本でなく、別に原本が郵送される。
(_)Air Mail
(8)Amount→信用状金額 US$34,000.00.- Say US$ Thiry Four Thousand Only(読みも書く) ポンド STG 
(9)Advising Bank→L/C発行銀行のコルレス先銀行。通常、L/C発行銀行が自行のコルレス先を選定)
(10)Confirmed(_) Transferable(_)
(11)Partial Shipment (_)Allowed (X)Prohibited
(12)Trans Shipment (_)Allowed (X)Prohibited
(13)Shipment / Dispatch / Taking in charge
From 船積港 To 荷揚港
(14) Latest date for shipment(こちらは休日による延長措置は無い 通常L/C到着期間を約15日と見込み、それにL/C受領後船積までの輸出側の所要時間を加えて見込む。)
(15)Credit Available by Beneficiarry's Drafts
(X) At XXX sight とか At 60days after sight
(X) For full / ( )____% Invoice value
(16)Evidencing Shipment of 商品明細 10units of machine tool Model FB-59
(17)Trade Terms (_)FOB (_)CFR (X)CIF (_)__________ PLACE TOKYO

Requierd Documents as follows:
(18)Signed commercial Invoice in _5_copies indicating credit numberとか...
(19)Full set of Clean on Board Ocean Bill of lading made out to the order of shipper and blank endorsed marked (X)Freight Prepaid (_)Freight Collect Notify Aplicant indicating Credit Number.
(直送B/L: 2/3set of...)
①直送B/LをL/Cで認めるのは、輸入者に信用が有る場合。 to order of L/C発行銀行としておく→B/Lに信用状発行銀行の裏書がないと輸入者は貨物を引取れない→代金決済せずに貨物が引取られてしまう事を避ける。
②B/Lのconsigneeに直接L/C発行銀行を記載した記名式B/Lでは流通性を保つ事が出来ず、手形買取時に買取銀行にとって担保となりえないため、荷為替手形が取り組まれる事は無い。また、この記名式B/Lでは、L/C発行銀行が輸入者にB/Lを裏書譲渡することはできない。

(20)Air Way Bill consigned to The Hinode Bank Ltd. Marked(X)Freight Prepaid (_)Freight Collect Notify Applicant indicating Credit Number.
(21)Insurance Policy
(22)Packing List in_ copies
(23)Certificate of Origin in_copies
(24)Beneficiarry's certificate stating that....
(...that 1/3 of clean on Board Bill of Lading has been forwarded to buyer innediately after shipment.)
(25) Documents to be presented within _10_ days after the date of shipement but within the validity of this credit.
(26) All Banking Charges outside Japan are for the account of (_)Applicant (X)Beneficially

・取引銀行に信用状取引約定書を差し入れておく。荷主は銀行に対して償還義務を負う。
・L/C発行銀行は、輸出者の信用状態等の与信審査をし、信用状態が良好であればL/Cを発行する。
   ↓
・L/C発行銀行は自分とコルレス契約がある輸入地の銀行にL/Cを発行する。
・同時に、Reimbursement Bankに対し、償還授権書Reimbursement AuthorizationとL/Cの写しを送付し、決済の権限を委任する。

信用状なし荷為替手形

2010年11月24日 | 貿易実務
信用状なし荷為替手形決済 

荷為替手形とは:輸出代金決済のために、売主である輸出者が振り出す為替手形に船積書類が添付されたもの。
貿易取引においては、輸出者が商品を輸出しても輸入者が代金を支払わない可能性がある。このため、船積み後に船済書類と為替手形を取引銀行に買い取ってもらい、取引銀行が輸入者の国にある銀行を通じて代金を取り立てる。これが「荷為替手形」と呼ばれるものである。
お金を払うべき買手(輸入者)の方が手形を発行するのではなくて、代金を受け取るべき売手(輸出者)の方から、貨物代金を受け取るべき権利=債権証書を発行しそれを銀行に売るという、日本国内の取引では通常用いられない、貿易独特の決済方法である。

輸入者は代金を支払わない限り(あるいは「荷為替手形」を引き受けない限り)船会社から荷物を引取るためのB/L=Bill of Lading(船荷証券)を含む船済書類を入手できないので、代金の支払いが一応担保される。

信用状なし荷為替手形の買取
「荷為替手形」を利用した貿易取引決済は、信用状(L/C)を併用すれば最も確実になる。しかし、輸入者側の事情により信用状を利用できない場合は、手形支払書類渡し(D/P=Document against Payment)か、手形引受書類渡し(D/A=Document against Acceptance)が利用される。

D/Pでは、輸入者が銀行に輸入貨物代金を支払うことにより、船済書類を入手することができる。支払い渡し D/P Documents against Paymentの略。荷為替手形は一覧払い手形(At sight) が使用される。
D/Aでは、輸入者が手形を引き受ける(手形の期日支払いを確約する)ことにより、船済書類を入手することができる。この場合はユーザンス手形(期限付手形)が使用される。

D/P 方式の場合、輸入者が代金を支払わなければ銀行は書類を渡さないため、債権回収のリスクが小さいが、D/A 方式の場合、手形を引き受けた(Acceptance)時点で書類が引き渡されるため代金回収のリスクは高くなる。輸出側が貿易保険でリスクを軽減するという程度しかない。

ただし、輸出者の取引銀行(日本側)は回収リスクが高いのでD/Aはもちろん、D/Pでも通常買い取らない。買い取る場合は、書類が提示された時点で輸出代金が支払われる。しかし、輸出者の取引銀行が輸出者から書類を買い取ったが、結局輸入者側から代金を回収できなかった場合、通常は輸出者とその取引銀行は「外国向交わせたがた取引約定書」を結んでいるので、取引銀行は輸出者に対して、買戻し債務の負担を求めることとなる。
通常は、単に取立てに回され、輸入者側が支払いをきちんと行ったことが確認されるまで、銀行から輸入者に対して輸出代金が払われない。


荷為替手形(L/Cなし)の例:

BILL OF EXCHANGE(表題)(L/Cネゴと同じ用紙)

「Documents Against Payment」「Documents Against Acceptance」と手形面に記載。

・手形上にD/P D/Aの区別記載なし→D/Pとして扱う(1995取立統一規則 7条)

・取立統一規則の銀行の免責事項:銀行は書類の真正さ、法的効力はもとより、書類に記載された物品の数量、存在、運送人その他の者の作為、不作為についても義務も責任も負わない。

No.125手形番号

For US$60,000.00.-

AtXXXXXSight of this FIRST Bill of Exchange (Second being unpaid) Pay to 「取立てを依頼した輸出者の銀行名」or order the sum of Dollars One Hundred Thousand Only in US Currency(読みを綴る)」 Value Received and charge the same to account of (ofの後は記載しない)

To (輸入者名、住所)


インコタームズ2010

2010年11月15日 | 貿易実務
インコタームズ(Incoterms)は国際条約ではなく、国際商業会議所(International Chamber of Commerce : ICC) が取り決めた貿易のルールである。Incotermsという用語自体、ICCの登録商標となっている。また、Incoterns2010の本文も著作権で保護されており、むやみにNETには出せない。

古い世代には、FOB, C&F, CIFとして親しまれ、「危険負担は本船の手すりを越えた時点」で売主から買主に移転する、として貿易実務の講座では教えられてきた。
今日ではコンテナ船による物流が海上輸送の大半を占め、また、航空機の大型化により比較的大きな機械類も航空輸送が利用されている。ICCでは国際貿易の実情に合わせてインコタームズの見直しを行っているが、今般「インコタームズ2010」が制定され、貿易条件の数はこれまでの13,から11に整理され、「危険負担は本船の手すりを越えた時点」も改訂された。インコタームズ2010は、2011年1月1日から発効される。

EXW (EX WORKS)
運送形態に係らず使用可。
売主が、売主の敷地(あるいは指定倉庫など)において、貨物を地面に置いたまま(積み込まないで)、その引取りを買主に委ねる。そこまでは売主の費用と危険負担において準備する。「さあ、買主さん引き取ってください」、とした時点で、危険負担が買主に移転する。買主は集荷の車などを仕立ててそれを引きとりにゆく。通常、売主の敷地で引き渡すなら、積み込み設備などが有るから、売主が積み込みを行ってあげるのが通例だろうが、EXW条件ではそこまでの責任は売主に無い。(売主に集荷の車などに積み込ませたいのならFCA条件を使うほうが良い。)
売主にとって、もっとも負担が少ない条件である。売主は輸出通関を行う義務は無い。輸出通関は買主が行う必要があるが、買主が輸出通関できないのならEXW条件は使用しないほうが良い。
したがってEXW条件は国内取引向けであり、国際取引ではFCAを使ったほうが良い。

FCA (FREE CARRIER)
運送形態に係らず使用可。
FOBと似ている、といえば判りやすいだろう。
売主が、売主の敷地で貨物を運送業者に引き渡す場合は、買主が手配した運送業者の車に売主が積み込んだ時点で、危険負担が買主に移転する。
それ以外の場合(たとえば買主が指定した貨物ターミナルへ搬入する場合)は、売主が仕立てた車の上で荷卸しをしない状態で、買主に貨物の処分を委ねた時点で危険負担が買主に移転する。
FCAでは売主が輸出通関を行うが、運送の手配や保険の手配を行う義務は無い。仕向地での輸入通関の義務も無い。積み込む船の指定は買主が行う。もっとも、買主が売主に運送の手配を頼んだり、売主が運送手配を行うことが慣例となっている場合は売主は、買主の費用と危険負担のもとに運送手配を行う。
FOBは在来船に用いる。飛行機やコンテナ船の場合はFCAを使う。

CPT (CARRIGE PAID TO)
運送形態に係らず使用可。C&Fと似ている、といえば判りやすいだろう。
CPTでは危険負担の移転時点と、費用負担のカバー範囲が異なる。
売主自らが手配した運送業者に貨物を引き渡した時点で、危険負担が買主に移転する。売主は輸出通関も行い、目的地までの運送の手配、運賃の支払いを行う必要がある。運賃は売主が払うが、保険の手配の義務は無い。引渡し後の危険負担は買主が負うので、必要に応じて買主が保険をかける。仕向地での輸入通関は買主が行う。
同様の条件にCFR(今はC&FよりもCFRと表現する)があるが、CFRは在来船向け。飛行機やコンテナ船ではこのCPTを用いる。

CIP (CARRIAGE AND INSURANCE PAID TO)
運送形態に係らず使用可。CIFと似ている、といえば判りやすいだろう。
売主は輸出通関を行い、また、目的地までの運送、保険の手配・支払いを行う。仕向地での輸入通関の義務は無い。
CIPでは危険負担の移転時点と、費用負担のカバー範囲が異なる。売主自らが手配した運送業者に貨物を引き渡した時点で、危険負担が買主に移転する。一方、 引渡し後の危険負担は買主が負う。なるほど、売主が保険をかけているが、それは最低限の保険であるので、必要に応じて買主が追加で保険をかける。
同様の条件にCIFがあるが、CIRは在来船向け。飛行機やコンテナ船ではこのCIPを用いる。

DAT (DELIVERY AT TERMINAL)
運送形態に係らず使用可。
埠頭、倉庫、コンテナヤード、貨物ターミナルなど、屋根の有無に係らず、仕向地の「ターミナル」において、船やトラック等の運送手段から売主が荷物を降ろして地面に置いて(つまり荷卸費用は売主負担)、買主の処分に委ねたときに、危険負担が買主に移転する。
売主は輸出通関を行い、更に目的地までの運送、保険の手配・支払いを行う。しかし、仕向地での輸入通関の義務は無い。

DAP (DELIVERED AT PLACE)
運送形態に係らず使用可。
売主は仕向地の指定場所において、車上渡しで(荷卸をしないで)買主にその処分を委ねた時点で危険負担が買主に移転する。売主は輸出通関を行い、仕向地の引渡し場所までの運送・保険を手配する。しかし、売主は仕向地での輸入通関や輸入税の支払いを行う義務はない。 それまで売主が行うならDDP条件を使用する。

DDP (DELIVERED DUTY PAID)
運送形態に係らず使用可。
売主は仕向地の指定場所において、車上で(荷卸をしないで)買主にその処分を委ねた時点で危険負担が買主に移転する。売主は輸出通関を行い、仕向地の引渡し場所までの運送・保険を手配する。更に売主は仕向地での輸入通関や輸入税の支払いを行う。売主にとって一番負担の大きい条件である。


FAS (FREE ALONGSIDE SHIP)
船による運送時に使用。売主が、埠頭やはしけによって、買主が指定した本船に貨物を横付けした時点で危険負担が売主から買主に移転する。
FAS条件では売主が通関手続きを行う必要があるが、船や保険の手配、輸入通関の義務は負わない。
貨物がコンテナに入っている場合は、ターミナルでの引渡しが通常であるから、FCA条件によるべきである。

FOB (FREE ON BOARD)
船による運送時に使用。
売主が、買主が指定した本船の甲板に貨物を置いた時点で危険負担が売主から買主に移転する。
FOB条件では売主が通関手続きを行う必要があるが、船や保険の手配、輸入通関の義務は負わない。
貨物がコンテナに入っている場合は、ターミナルでの引渡しが通常であるから、FCA条件によるべきである。

CFR (COST AND FREIGHT)
船による運送時に使用。
いわゆるC&FだがインコタームズではCFRと呼んでいる。
売主が、売主が自ら手配た本船の甲板に貨物を置いた時点で危険負担が売主から買主に移転する。
CFRでは危険負担の移転時点と、費用負担のカバー範囲が異なる。
売主が売主自らが手配した本船の甲板に貨物を置いた時点で、危険負担が買主に移転する。一方、売主は輸出通関を行い、更に目的地までの運送の手配、運賃の支払いを行う必要がある。運賃は売主が払うが、保険の手配の義務は無い。仕向地での輸入通関の義務も無い。引渡し後の危険負担は買主が負うので、必要に応じて買主が保険をかける。
貨物がコンテナに入っている場合は、ターミナルでの引渡しが通常であるから、CPT条件によるべきである。

CIF (COST INSURANCE AND FREIGHT)
船による運送時に使用。
売主は輸出通関を行い、更に目的地までの運送、保険の手配・支払いを行う。仕向地での輸入通関の義務は無い。
CIFでは危険負担の移転時点と、費用負担のカバー範囲が異なる。売主が売主自らが手配した本船の甲板に貨物を置いた時点で、危険負担が買主に移転する。一方、 引渡し後の危険負担は買主が負う。なるほど、売主が保険をかけているが、それは最低限の保険であるので、必要に応じて買主が追加で保険をかける。貨物がコンテナに入っている場合は、ターミナルでの引渡しが通常であるから、CPT条件によるべきである。