貿易実務用語の知識体系

制度変更に記事のアメンドが追いついていない箇所もありますのでご留意ください。             

貿易EDIほか、電子システム

2005年07月24日 | 貿易実務
【1】通関情報処理システム(NACCS)
(1)貨物の輸出入申告など税関に関連する手続。
コンピュータによるネットワークシステムで、税関、銀行及び税関業務に関連する会社で利用されている。Nippon Automated Cargo Clearance System
(2)Sea-NACCS:船により運搬される貨物を処理。
(3)Air-NACCS:航空機により運搬される貨物を処理。
(4)NACCSは、厚生省(食品衛生法 FAINS~厚生労働省への食品輸入届けの申請を電子化)と農林水産省(植物防疫法、家畜伝染病予防法)の電算機システムとインターフェイスされている。
(5) 2003年7月「シングルウィンドウ」サービスにより、港湾の入出港や船員の出入国の申請手続きがNACCSを介して行えるようになった。

【2】JETRAS
(Japan Electronic open network TRAde control System)
(1)輸出入許可・承認の申請から税関における輸出入許可・承認証の参照・確認に至るまで、外国為替及び外国貿易法に基づく輸出入手続を電子化。
(2)輸出入許可・承認の申請や輸出入許可・承認証の受取のために、経済産業省に出向くことなく、オフィスから直接インターネット等を介して申請、許可・承認通知を受け取ることができる。
(3)許可・承認証の税関への持参が不要
(4)輸出入許可・承認申請業務
・輸出業務における許可・承認申請の手続、及び、電子的な許可証・承認証の管理通関実績など)。
・輸入業務における承認・割当申請の手続、及び、電子的な承認証の管理(通関実績など)、割当残数管理
(5)通関業務
・通関裏書登録業務
・包括輸出ライセンス使用登録業務
・通関許可情報確認 等
(6) 利用は無料。

【3】CuPes
(1)税関関連の申請・届出等手続についての電子化。 平成15年3月10日より税関手続申請システム(Customs Procedure Entry System(CuPES カペス)が稼動。
(2)インボイスを発行または受領する本人は、通関時に要求される書類としてのインボイスその他を電子的に税関宛に送信できる。

【4】新しい物流の変化に対応するシステム
(1)海上運送状 Sea Way Billを利用した海上輸送の増加

(2) 1990年「海上運送に関するCMI統一条約」CMI:■■■■
答:万国海法会 Comite Maritime International)
(3)新しい物流の変化に対応するシステム→電子船荷証券
金融貿易EDIの取組みには、既存のサプライチェーン間での貿易取引をそのまま電子化してしまおうとするアプローチと、既存の貿易取引を簡素化、サプライチェーンを単純化したうえで、簡素化された部分のみ電子化しようとするアプローチの二通りがある。
①既存のサプライチェーン間での貿易取引をそのまま電子化してしまおうとするアプローチ:
(イ)会員組織(Bolero Association Ltd.:BAL)による電子船荷証券
BOLERO Bill Of Lading for EuROpe
EUが中心となって進められてきた貿易手続きに関する電子化プロジェクト。EDIにより、中央登録機関において登録等の手続きを行い、貿易業務の効率化を計る。
・サービスセンターであるBIL(Bolero International Limited)への出資は、Boleroの生みの親である金融共同組合S.W.I.F.T.(The Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)と、コンテナ業者や船会社などが加盟している相互保険共同組合であるTT Club(Through Transport Mutual Insurance Association Limited)の50対50の出資比率(後、ベンチャーキャピタル数社の増資有り)。
・ユーザ団体としてのBAL(Bolero Association Limited)によって、会員であるユーザが守るべき義務と権利および運用規約などの私法的なフレームワークを規定する「Boleroルールブック」について、継続的にその適合性を検討し、会員規約への反映作業が行われている。
(ロ)会員組織制はとらず、二者間で直接Agreementを締結して、電子船荷証券システムのサービスを利用して、船荷証券情報を電子交換するシステム:
TEDI Trade Electronic Data Interchange
書類の電子化による貿易手続きの生産性の向上により、貿易取引のさらなる進展を図るため、経済産業省が中心となって取組む「貿易金融システム」。 2001年運用開始。
TEDIで、船荷証券を電子化する場合も、海上運送状を電子化する場合も、「所有権の移転を代理占有者に指図する」手続きはほぼ同様。

②既存の貿易取引を簡素化、サプライチェーンを単純化したうえで、簡素化された部分のみ電子化しようとするアプローチ:米国発のTradeCard
・サービスセンターのみであり、ユーザ団体は存在しないが、ユーザ企業は当社のサービスを受けるにあたって、「TradeCardメンバーシップ合意書」「TradeCard申込兼同意書」のほか、買い手は「レーティング格付合意書」、売り手は「債券買取契約書」、またその他にも「支払代行機関契約書」を締結しなければならない。
・貿易実務簡素化の観点から電子貿易の業務検討を行い、貿易取引に利用されてきた船荷証券および信用状そのものの電子化ではなく、クレジットカードのエスクローサービスを企業間取引に応用するというアプローチをとっている。
・これまで遠隔地取引であるために採用されてきた、貨物の引渡しや代金回収の方法を簡素化させることで、ユーザ企業を売り手、買い手に絞りこみ、単純化されたサプライチェーン間での輸出入契約や決済、物流業者の受け渡しデータの照会等のネット処理をサービスとして実現した。
貿易取引には欠かせない運送会社や貨物検査業者、貨物保険会社、購入代理店および金融機関等はTradeCardのパートナーとしてサプライチェーンの脇を固める体制となっている。
中小貿易企業に負担となっていた貿易取引時の決済の合理化に踏み込んだ点が、既存取引の電子化を推進するBoleroやTEDIと大きく異なる点である。

【5】マルチペイメント
関税や消費税の納付がインターネットを通じたパソコン、携帯電話、ATMなどの各チャネルを利用して行えること。



P/L保険

2005年07月18日 | 貿易実務
【1】輸出P/L保険
(1)輸出P/L保険の対象となるもの
①損害賠償金
②裁判費用、示談解決のための費用

(2)輸出P/L保険の対象とならないもの
①契約転嫁責任(海外の販売店が製造物責任に問われて賠償請求された場合に、その責任を輸出者に転嫁する契約条件)→現実的には輸出P/L保険に海外の輸入者等を追加被保険者として加える。
②「懲罰的賠償責任」

(3)わが国の企業が輸出する際に付保する、米国の保険約款
①ISO (Insurance Service Office)に準じた輸出P/L保険では、保険期間は原則1年。
②この間の保険事故の発生を損害賠償請求ベースでとらえる
③アメリカに於ける製造物責任の根拠:製品の欠陥を要件とする「厳格責任」
④アメリカのP/L訴訟:殆ど陪審員による裁判

(4)輸出P/L保険の被保険者
①保険証券に記載された被保険者
②追加被保険者として、輸出者の現地法人、部品、原材料メーカー、輸出業者
③特約で、現地のディーラー、ディストリビューター、小売店等。
(5)相手国が自国保険主義を取っている場合には、現地の保険会社と契約しなければならない。

【2】国内P/L保険
(1)賠償責任保険普通保険約款+生産物特別約款+特別約款追加特約条項=製造物賠償責任保険
(2)P/L法の対象:製造物、加工物
(3)国内P/L保険は、P/L法の対象に限定されず:工業製品、農水産物、完成品、未加工品、部品、原材料なども対象。 機械の設置、据付作業等の仕事の結果に対する賠償責任も保険の対象となる。
○損害の拡大防止、軽減のために要した費用 ×事故を起こした製品自体の損害
(4)国内P/L法の時効:損害および損害賠償義務者を知って3年、引渡しから10年
 蓄積損害発生から10年