貿易実務用語の知識体系

制度変更に記事のアメンドが追いついていない箇所もありますのでご留意ください。             

信用状なし荷為替手形

2010年11月24日 | 貿易実務
信用状なし荷為替手形決済 

荷為替手形とは:輸出代金決済のために、売主である輸出者が振り出す為替手形に船積書類が添付されたもの。
貿易取引においては、輸出者が商品を輸出しても輸入者が代金を支払わない可能性がある。このため、船積み後に船済書類と為替手形を取引銀行に買い取ってもらい、取引銀行が輸入者の国にある銀行を通じて代金を取り立てる。これが「荷為替手形」と呼ばれるものである。
お金を払うべき買手(輸入者)の方が手形を発行するのではなくて、代金を受け取るべき売手(輸出者)の方から、貨物代金を受け取るべき権利=債権証書を発行しそれを銀行に売るという、日本国内の取引では通常用いられない、貿易独特の決済方法である。

輸入者は代金を支払わない限り(あるいは「荷為替手形」を引き受けない限り)船会社から荷物を引取るためのB/L=Bill of Lading(船荷証券)を含む船済書類を入手できないので、代金の支払いが一応担保される。

信用状なし荷為替手形の買取
「荷為替手形」を利用した貿易取引決済は、信用状(L/C)を併用すれば最も確実になる。しかし、輸入者側の事情により信用状を利用できない場合は、手形支払書類渡し(D/P=Document against Payment)か、手形引受書類渡し(D/A=Document against Acceptance)が利用される。

D/Pでは、輸入者が銀行に輸入貨物代金を支払うことにより、船済書類を入手することができる。支払い渡し D/P Documents against Paymentの略。荷為替手形は一覧払い手形(At sight) が使用される。
D/Aでは、輸入者が手形を引き受ける(手形の期日支払いを確約する)ことにより、船済書類を入手することができる。この場合はユーザンス手形(期限付手形)が使用される。

D/P 方式の場合、輸入者が代金を支払わなければ銀行は書類を渡さないため、債権回収のリスクが小さいが、D/A 方式の場合、手形を引き受けた(Acceptance)時点で書類が引き渡されるため代金回収のリスクは高くなる。輸出側が貿易保険でリスクを軽減するという程度しかない。

ただし、輸出者の取引銀行(日本側)は回収リスクが高いのでD/Aはもちろん、D/Pでも通常買い取らない。買い取る場合は、書類が提示された時点で輸出代金が支払われる。しかし、輸出者の取引銀行が輸出者から書類を買い取ったが、結局輸入者側から代金を回収できなかった場合、通常は輸出者とその取引銀行は「外国向交わせたがた取引約定書」を結んでいるので、取引銀行は輸出者に対して、買戻し債務の負担を求めることとなる。
通常は、単に取立てに回され、輸入者側が支払いをきちんと行ったことが確認されるまで、銀行から輸入者に対して輸出代金が払われない。


荷為替手形(L/Cなし)の例:

BILL OF EXCHANGE(表題)(L/Cネゴと同じ用紙)

「Documents Against Payment」「Documents Against Acceptance」と手形面に記載。

・手形上にD/P D/Aの区別記載なし→D/Pとして扱う(1995取立統一規則 7条)

・取立統一規則の銀行の免責事項:銀行は書類の真正さ、法的効力はもとより、書類に記載された物品の数量、存在、運送人その他の者の作為、不作為についても義務も責任も負わない。

No.125手形番号

For US$60,000.00.-

AtXXXXXSight of this FIRST Bill of Exchange (Second being unpaid) Pay to 「取立てを依頼した輸出者の銀行名」or order the sum of Dollars One Hundred Thousand Only in US Currency(読みを綴る)」 Value Received and charge the same to account of (ofの後は記載しない)

To (輸入者名、住所)