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貿易実務用語の知識体系

制度変更に記事のアメンドが追いついていない箇所もありますのでご留意ください。             

輸出貿易管理

2009年01月18日 | 貿易実務
(1)原則→外国貿易は原則自由
(2)例外→いわゆる外為法(=「外国為替及び外国貿易法」)で規定。
詳細は政令で規制。
【I】 輸出規制の具体的な部分を定めた政令が、輸出貿易管理令
【II】輸入規制の具体的な部分を定めた政令が、輸入貿易管理令
【III】外国為替管理の具体的な部分を定めた政令が、外国為替令→たとえば海外で捻出した裏金を日本にハンドキャリーにより政令で定める額を超える現金を持ち込む際、税関への届け出を義務づけており(外国為替及び外国貿易法)、違反すると20万円以下の罰金か6カ月以下の懲役の罰則が科せられる。 外国為替令第8条の2ではそれを100万円としている。

1.輸出規制
【I】の輸出貿易管理令の枠組みとしては、大別して下記(ア)~ (オ) がある。
尚、(ア)~(オ) は説明の便宜上つけたもの。(ア)(イ)(ウ)(エ)は輸出貿易管理令別表第1で規制されている場合で、経済産業大臣の「許可」が必要、(オ)は輸出貿易管理令別表第2で規制されている場合で、経済産業大臣の輸出「承認」が必要。

①「リスト規制」と言われる
  (ア) 武器
  (イ) 大量破壊兵器等の関連資機材
  (ウ) 通常兵器等の関連汎用品 (by ワッセナーアレンジメント)
を輸出する場合は、経済産業大臣の「許可」が必要。 リストとは、輸出貿易管理令別表第1、の事。
②「日本版キャッチオール規制」と呼ばれる 
  (エ) 貨物が大量破壊兵器等の開発等のために用
     いられるおそれがある場合も、経済産業大
     臣の「許可」が必要。
→経済産業大臣の輸出許可の有効期限:原則として発給の日から6ケ月。

③国内需給調整物資、取引秩序維持物資、国際協定などの物資、輸出禁止物資----(オ)
を輸出する場合は、経済産業大臣の「承認」が必要。

2.リスト規制とは:

「リスト規制」と言われる(ア)武器 (イ)大量破壊兵器等の関連資機材 (ウ)通常兵器及び関連汎用品の輸出を規制する内容については、
(ア)武器そのもの
輸出貿易管理令別表第1:1項に、どんなものが該当するか列挙。
(イ)大量破壊兵器関連資機材(原子力Atomic 2項、化学Chemical・生物兵器Bio3項及びミサイルMissile4項 関連貨物)
輸出貿易管理令別表第1:2~4項に、どんなものが該当するか列挙。
(ウ) 通常兵器および関連汎用品・技術(ロシア等の旧東側諸国も参加するポストココムとして創設されたワッセナー協約(アレンジメント)*に基づく規制で、主として通常兵器の開発・製造に用いられる装置等の責任ある輸出管理を実施することにより、地域の安定を損なう恐れの有る通常兵器の過度の移転と蓄積を防止することを目的として成立) 輸出貿易管理令別表第1:5~15項(戦略物資ともなる汎用品)に、どんなものが該当するか列挙。
*旧共産圏諸国を規制対象としていたココム時代の輸出管理とは異なり、全地域が対象。
ワッセナーアレンジメントは、ココムのように規制対象国を予め特定するものではなく、全地域向けに規制を維持しつつ、参加国間で緊密な情報交換を行い、懸念の大きい地域への移転につき協調して規制を行う仕組み。先進諸国間では当面、イラン、イラク、リビア、北朝鮮のいわゆる懸念4ヶ国に対しては、厳格な規制を行うことが共通の認識となっている。

これら(ア)(イ)(ウ)の「リスト規制」の規制対象貨物・技術を規制対象地域(=全地域)へ輸出(提供)しようとする場合に経済産業大臣の許可が必要。

したがい、外国の企業等から引き合いのあった貨物(技術)が、輸出貿易管理令(輸出令)別表第1に該当するかどうか確認する必要がある。

3.キャッチオール規制
3-1キャッチオール規制の背景
上記の様に、(ア)武器 (イ)大量破壊兵器等の関連資機材と、(ウ) 通常兵器及び関連汎用品を対象とする場合は、輸出に当たって経済産業大臣の「許可」が必要だが、これ加えて (エ)「キャッチオール規制」と呼ばれる新しい「安全保障貿易管理」が、2002年4月1日からスタートした。
これまでの、輸出貿易管理令及び外国為替令の別表第1及び別表の1項から15項に掲げるリスト規制品目(つまり、本稿で便宜上呼ぶ(ア)~(ウ)の品目)については従前どおりの規制で、変更はない。
それに加えてキャッチオール規制は、従来の規制対象貨物・技術だけでなく、原則全ての貨物・技術(例外:非規制品=食料品、木材、衣料品、家具等)について、最終用途・最終需要者の確認を輸出企業に求めている。つまり、これまでは自由に輸出ができた貨物や技術であっても、規制対象になるかもしれない。この場合は、改めて輸出「許可」を受けなければならない。
3-2 キャッチオール規制の対象貨物
キャッチオール規制の対象貨物は、外為令別表の16の項にHSコードで掲げられており、原則全貨物が対象。 輸出貿易管理例別表1の1項から15項に掲げられていないHS分類第25~第40類、第54~第59類、第63類、第68~第93類、第95類に該当する貨物。

(注)HSコード:
・財務省所管の「関税定率法」に、「別表 関税定率表」があり、この別表に「○○○○・○○」という6桁の数字で示している番号がある。これを一般的に「HSコード」と言う。(上記6桁は世界共通コード。)国際貿易商品の名称及び分類を世界的に統一したシステム。
・「HS」 "Harmonized Commodity Description and Coding System"(商品の名称および分類についての統一システムに関する国際条約の付属書である「国際統一商品分類(HS)」に準拠。輸出統計品目表と輸入統計品目表とでは、HS条約の品目表の6桁までの番号区分は共通であるが、統計細分の体系は国ごとに異なっている。

3-3 規制の要件
キャッチオール規制においては、規制対象貨物の輸出・技術の提供であって次に掲げる要件に該当した場合に許可申請の対象となる。
①客観要件 ②インフォーム用件 ③相手国。

①客観要件(KNOW規制要件)(用途要件+需要者要件)
輸出取引の契約書や輸出者が当該輸出に関し入手した文書及び記録媒体又は当該輸入者や需要者若しくはこれらの代理人からの連絡により次の事実が明らかになった場合
a 輸出する貨物又は提供する技術が核兵器等の開発等及び経済産業省令「輸出貨物が核兵器の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令(おそれ省令)」別表及びおそれ告示に掲げる行為に用いられること(用途要件)
b 需要者が核兵器等の開発等を行っている又は過去に行っていたこと(需要者要件)
c 需要者が経済産業省が作成する外国ユーザーリスト等に掲載されていること(需要者要件)

キャッチオール規制では、まず、輸出者自身が、その貨物が大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれがあるか否かを判断する必要がある。従い、現地輸入者が代理店である場合は、代理店のみならず、代理店から先の最終エンドユーザーまでチェックが必要。
この判断を助けるための情報として、経済産業省で公表しているリスト:
 懸念貨物リスト
 ユーザーリスト
 
需要者がわからない海外代理店の在庫販売のケースは輸出する貨物が規制対象の場合は、客観要件のチェックを行う。ただし、需要者が確定していないので、需要者要件に該当はしない。例えば、汎用品の中には、ある特定の用途に専用で用いられる民生品もあることから、法令上、用途要件に該当することがあり得るので、用途要件のチェックが必要。

輸出者である国内販売店を経由する間接貿易の場合、外為法上の輸出者に当たる国内代理店が客観要件のチェックを行う。(但し、メーカーも、国内代理店に対して必要な協力を行うことが、輸出管理の実効性を高める意味で重要。)

②インフォーム要件(通知要件)
輸出される貨物・提供される技術が大量破壊兵器等の開発等に使用されるおそれがあるものとして、経済産業大臣から輸出許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき。

③規制対象地域:全地域。
ただし、我が国と同じように大量破壊兵器の不拡散政策をとり、厳しい輸出管理をしている、いわゆるホワイト国については、規制対象地域から外れる。次に掲げる26ヶ国を仕向地(輸出令別表第4の2に掲げる地域)とする場合:輸出令別表第4の2
アイルランド、アメリカ合衆国、アルゼンチン、イタリア、英国、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、大韓民国、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、ルクセンブルク

上記の判断手続きは、社内的に行う。当該制度は、各企業の自主性に任される部分が大きく、社内にCP(コンプライアンス・プログラム)を整備し、輸出管理を適切に実行する自主管理が強く求められている。 貿易比率の大きい会社では社内規定として「安全保障輸出管理内部基準」を策定し、各自のフォーム(雛形あり)にて輸出担当部門、管理部門が中心となって、輸出のつど、このフォームにしたがって、判定を行っている。

4. 非該当証明及び非該当判定書
上記(ア)(イ)(ウ)の「リスト規制」の規制対象貨物・技術を輸出する場合や、(エ)キャッチオール規制対象となる場合は経済産業大臣の輸出許可が必要。逆に言えばそれ以外は輸出許可不要→ただし、税関にて、該非判定を適切に行っているか問われる場合がある。輸出許可が不要なら不要で税関に許可不要であることを証明(非該当証明)しなければならない。 
①その証明方法の1つとして、通関業者から「パラメータシート」や「項目別対比表」が求められる場合がある。パラメーターシートや項目別対比表は、法令で定められた様式ではなく、CISTEC(財団法人 安全保障貿易情報センター)が該非判定用の書式として独自に作成し、販売しているものであるが、許可申請や税関申告時には一般的にこれが利用されている。 「パラメータシート」や「項目別対比表」は、税関で最終的に輸出許可の要否を判断するためにメーカーが作成し、輸出者へ提供する資料。CISTECのパラメータシートの様式を真似たものもあり、一般的には非該当判定書とよぶ。
・輸出者が商社の場合、当該貨物の該当非該当の判定を商社等が行なうことは一般に困難→通常、商社はメーカーに依頼し判定結果を入手する。商社はこれを基に非該当判定書を作成し、メーカーの判定結果を添付して税関に提出。
・輸出者がメーカー自身である場合:メーカー自らが「非該当判定書」を発行し、通関業者経由税関に提出。
② CISTEC(財団法人安全保障貿易情報センター)の公表リスト
現在通商産業省の関連団体である財団法人安全保障貿易センター(CISTEC) において、企業(メーカー等)が輸出令別表第1(16の項を除く。)に非該当であると判定し、CISTEC (財団法人安全保障貿易情報センター)の「自主判定公表規約」に基づき、CISTECに公表依頼を行なった貨物の「型及び銘柄」を詳しくリストアップして公表しており、これが税関側における非該当であることの判断材料の一つとなっている。 これをCISTEC「公表リスト」と言い、ここに公表済みであれば、個別のパラメータ・シート提出は不要。輸出通関時に、インボイスに公表年月を表示する。CISTEC「公表リスト」は、CISTECから購入する。

4.輸出「承認」が必要な場合----(オ)国際収支均衡維持ならびに外国貿易および国民経済の健全な発展。
(1)輸出貿易管理令別表2の貨物
①国内需給物資の確保:配合飼料、うなぎの稚魚など
②取引秩序維持:漁労施設を有する船舶など。
③国際協定:ワシントン条約の動植物(付属書I,II)、冷凍のアサリ等、特定有害廃棄物(バーゼル)、モントリオール
④輸出禁制品:麻薬、偽造貨幣、特許権等侵害物品等、風俗、国宝など

5.その他
・輸出について、原産地虚偽表示の規定は関税法には無い。(輸出入取引法に規定あり)輸入は関税法70条で税関長が許可しない。
・輸出貿易管理令 仮陸揚げ貨物でMade in Japanまたは類似の表示をした外国製貨物→経済産業大臣の承認要。
・輸出入取引法:「外国貿易の健全な発展」を図るため「不公正な■■■■」を禁止
輸出入取引法第2条
1.仕向け国の法令により保護される工業所有権または著作権を侵害する貨物の輸出禁止。
2.虚偽の原産地を法事した貨物の輸出禁止(同様の貨物の輸入取引について禁止の定め無し)
3.不公正な商慣習、、品質誤認表示した貨物の輸出
(答)輸出取引
相手国の工業所有権などを侵害すべき貨物や原産地を偽った貨物、契約要件など著しく公正さを欠く場合など。
経済産業大臣は1年以内の期間を限り、品目または仕向け地を定めて貨物の輸出停止を命ずることができる。
・日米政府間の協定で実施されていた我が国からの米国向け繊維製品のビザ制度はWTO繊維協定がGATTに統合した事から2005年1月1日より廃止された。
・FAO採択の木製梱包の規制ガイドライン(ISPM No.15)
EU 2005/3 米、カナダ 2005・9中国、台湾韓国 済み
 日本:未定