デジカメ ぶらり旅

カメラを片手に 美しい自然が与えてくれる絶景を求めて旅に出ようと思います。

『剱岳』山頂へ・・・・・「剱岳 点の記」に魅せらた70代男の単独登攀の記録  

2009年08月27日 18時37分09秒 | 日本百名山を登る
 
北アルプス最難関のコースと言われている岩と雪の殿堂「剱岳」。

新田次郎氏の「剱岳 点の記」に出会い、どうしてもあの「剱岳」と対峙したい、そして頂上を極めたい。
そんな想いが片時も頭を離れず、鬱陶しいをこの夏を恨んでいました。
映画「剱岳 点の記」も気を駆り立てます

盆が過ぎ 天気が安定してきた8月20日、念願の目的を果たすことができました。

長い人生を生きてきましたが、最近何となくいろいろ自分の至らなさが気になってきたので、しばらく本当の自然と一人対峙し、自分自身を見つめてみたいと思う気持になっていました。
そんな時出会ったのが名著「剱岳 点の記」でした。

この歳、単独で、この岩壁を踏破するには、それなりの訓練をするしかない。
この日まで、近郊の山をできるだけ長い距離を歩き、トレーニング機器などを使って自分なりに鍛えました。

毎日ネットで 立山地方の気象を調べ登山出発の日を待ちました。
やっと 8月20日の天気を確認し、8月18日(火)22時に夜間勤務を終えたあとすぐに準備を始め、4時間後の19日(木)深夜の2時、軽井沢の自宅を車で出発し「扇沢」に向かいました。

「扇沢」到着は朝4時50分でした。
車中でうとうととして眠れぬまま5時過ぎに夜が明けてきました。

始発の7時30分のトロリーバスで室堂を目指しました。
トロリーバス、ケーブル、ゴンドラ、立山トンネルトロリーバスを乗り継いで標高2450mの「室堂」へ。

前夜は一睡もできませんでしたが休憩はせず、そのまま出発することにしました。

室堂ターミナルから遊歩道をたどり雷鳥平へ、浄土沢を渡ると別山乗越まで標高差500mの急登が始まります。

あえぎながら2時間の登りが続きました。
別山乗越に立つと「剱岳」が姿を現し、直下に剱沢の雪渓、南方面には別山、立山連峰が連なり、この雄大な眺めが疲れを吹き飛ばしてくれました。

ここ別山乗越に建つ「剱御前小舎」の近くには「トウヤクリンドウ」「タテヤマリンドウ」などの高山植物も私たちを迎えてくれました。

ここから、今夜の宿「剣山荘」を目指します。
約1時間半のコースです。

「剱御前」の東側斜面を巻くこのルートは高山植物が豊富で、カメラのシャッターを切っていると足がはかどりません。

小振りで可愛い「タテヤマリンドウ」黄色の「トウヤクリンドウ」を始め「ハクサンフウロ」「オンタデ」「白髪のチングルマ」「ミヤマトリカブト」などなど、下界ではお目にかかれない花が沢山咲いていました。




別山乗越から剣山荘への道から眺めた明日の目的地「剱岳」
左に赤い屋根の剣山荘が見える(登頂前日8月19日撮影)



「一服剱」の前で朝焼けが(正面は鹿島槍ヶ岳)
2日目 剣山荘を早朝5時10分出発。
歩き始めて間もなく鎖場が続き お花畑の急登が始まる。




「一服剱」を過ぎて、「前剱」へは足元の不安定な、急な岩壁やガレ場を鎖に導かれて越えて行く。



「前剱」のピークから切れ落ちた断崖絶壁の長い鎖場の核心部が始まります



慎重に鎖に導かれてトラバースして行く。もう引き返しはできません。



岩峰帯の通過



「剱岳本峰」
平蔵のコルからこのルートの最難所「カニのタテバイ」だ(右よりの暗い部分)





こんな感じの垂直な登りが続きます



頂上直下をトラバースする登山者達



難所の「カニのタテバイ」を越えると、鶏舎の落ちたガレ場の登りとなり、「剱岳」山頂は間近だ



午前9時10分待望の「剱岳」山頂に。
山小屋で同室だった二人と山頂で再会し記念撮影。



さすが山頂は若い人ばかり、同年兵クラスは見あたらない



岩陵状の頂上からは「立山連峰(中央の黒い峰群)」右奥の形の良いのは「薬師岳」遠くに霞むのはきた「槍・穂高」などアルプス南部の山々



今回の登山ルート図

岩陵が連なる別山の尾根のルート図