秋田にいた小学生時代,学校の図書館にあったドリトル先生シリーズ(ヒュー・ロフティング著,井伏鱒二訳)が大好きで,繰り返し読んでいた。
ハードカバーの市松模様の単行本だった。
イラストも味があって,さまざまな鳥や動物、また,おしつおされつ,とか,楽しい名前の動物も登場して大好きだった。
このころの世界は,今よりも,不思議だらけ,謎だらけで,果てしなかった。
この本の中に,声がきれいな鳥として「カワラヒワ」が登場していて,当時子どもだった私は,カワラヒワって,どんな声で鳴くのだろう,と,憧れの鳥になっていた。
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長じて,カワラヒワのことをよく知るようになるのだが,さえずりは「ビーン」だけ。
キリリ,コロロという地鳴きの方がきれいと思うほど。
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カワラヒワは全然悪くない。
でも,ちょっと,しょんぼり。
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そのカワラヒワが,この日,目線の高さで,しかも,私から近い場所で,ビーン,ビーンと,繰り返し,繰り返し,さえずってくれた。
そんなわけはないのだけれど,「ボクのさえずりもきれいでしょ。」と,いうように。
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感謝。
おかげさまで,子供の頃の読書体験や,世界が不思議に満ちて,永遠に続いて,果てしないと思っていた頃の心の感触,そして,残念な気持ちになったことなど,思い出させてくれた。
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ところで,この子,冬鳥のオオカワラヒワだった。
北に帰ったときのために,なわばり宣言の練習をしていたのかな。
(2024/03/03 カワラヒワ)
(2024/03/03 カワラヒワ)