二夜連続で『バタフライ・エフェクト』

2006-06-21 15:43:31 | シネマーノ
『バタフライ・エフェクト』 には以前私が観た劇場版とはエンディングが異なる別バージョンがあります。DVDには収録されていますが、そのためだけに買うのももったいないのでずっと気になったままでした。だから某局で劇場版とディレクターズカットを二夜連続で放映すると聞いたときは飛び上がって喜びましたよ。

でもよくここまで考えつくなぁというほどつらく悲しい映画なので両方観るのはムリ。ディレクターズカットだけにしておこうと、二日目の晩にビールとおつまみを準備してテレビの前に座りました。わくわくしながらスイッチON! あちこち演出がちがうのかと思ったらほとんど同じだなぁ・・ あれれ終わっちゃったよ・・

というわけで放送日をまちがえて劇場版をもう一度観てしまいました。結局翌日も観るはめになり、気分はマリアナ海溝の底で深海魚とお散歩中。こりゃしばらく立ちなおれませんな。私の中では「大好きだけど二度と観たくない映画」という不思議な分類になってます。

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ストーリーは、うまくいかなかったことを過去に戻ってやりなおせる超能力を与えられた青年の悲劇です。彼は大好きだった幼なじみの女の子を最悪の家庭環境から救い出すためにその力を使おうとします。ところが何度トライしてもどこかで歴史に歪みが生じ、誰かが不幸になる結末が待っているのです。すべてがうまくいくことはあり得ない。何かひとつをあきらめない限り彼女を救うことはできない。それが自分の運命だと悟った青年は、悩み抜いた末に彼女への愛情自体を押しつぶすことを選んでしまうのです。ディレクターズカットのエンディングではその手段が別の究極の方法に差し替えられていました。つらさ三倍。

父親から遺伝した脳の異常が原因で、主人公は「世界を解釈する方法」が普通の人間とはちがっている。そのことが過去へ戻って別の人生を選びなおせる超能力をもたらしたのではないか。そう示唆されていたように思います。たとえどんなにつらかろうが、現在の自分を取り巻く状況は、たくさんある可能性の中から自分自身が選び取ったものなんだということでしょうね。トラウマになること必至なのでこの映画は誰にもおすすめしません。