ネタバレありで感想を。
筆者こういうのネタバレなしで書けないので……
率直に言って今年を代表する邦画になるに違いないって断言できちゃうというか、この作品を超えられる今年の邦画があるなら教えてくれ観るから。とはいえどの監督も「俺の映画がナンバーワンだ」と思って撮ってるんだとは思うけど。
でもそう思ってしまうくらい素晴らしかった。
3時間あると言われていたから、最近ネットで得た知識「ポップコーン/お餅などを食べるとお手洗い行きたさが緩和される」を実践すべく買ったのに全然食べる隙がなくて終演後に必死こいて食べた。(筆者のような人達があちこちの映画館で散見されたらしいし)
むしろ「本当に3時間経ったの???」と言いたくなるくらいあっという間だった。
まずこの作品に関する予備知識が
・吉沢亮と横浜流星(敬称略)が歌舞伎役者を演じる
・3時間ある
・PG12
ってことくらいしかなかった。
けど実は数回程度だけど歌舞伎観に行ったことがあって……(中村屋ファミリーは個人的に贔屓したい)(なおくんのりちゃんがんば)(しかしまだ歌舞伎座に入ったことはない)
ちなみに歌舞伎だけじゃなくて能とか狂言とか文楽あたりも観たことがある。お囃子の音色というか太鼓のトントコトントコいうのを聴くとなんとなくわくわくする。なんだったら雅楽もなんとなくだけど好き。知識ほぼ皆無だけど。
ていうかここ何年かは大河ドラマ観たり観てなかったり(?)するからその辺の知識なら若干ある。
映画に「曽我兄弟」って台詞が出てきたけど『鎌倉殿の13人』観てたから「曽我兄弟といえば!!!」と思った。
でも原作は一切読まずに、どんな話かも知らずに観たから役名すらよくわかってなくて。
終わってからパンフレット見て「俊ぼんは『大垣俊介』って名前だったのか、てかあの家の苗字『大垣』だったのか〜」などと思う始末。うわすみませんすみません
それとPG12だよと言われてどんな感じなのかと思っていたけど、序盤のカチコミシーンとか喜久雄と俊介がバチバチ叩かれてるところで「これか」となって中盤二代目半二郎が血を吐くところで「あっこれのことか」となって終盤の喜久雄と彰子の(伏せますね)で「これのことだったのか……」ってなった……
なので軽々しく「日本人全員観て」とは言えないわけであり……終盤のあれさえなければ……いや序盤のも大概だな……(余談だけどこれ以上にモノ食べながら観ちゃいけないんじゃね系の映画を別の日に観たけどPG12も何もなかった、どうやって決めてるんだろあれ)
インティマシーコーディネーターが入っていることをスタッフロールで見つけてそれは心底ほっとした。
それに絡めて先に言うけど森七菜ちゃんあなたすごいよ……って思った、彼女に関しては「ファーストキス1ST KISS」で筆者個人的にびっくりしたのでそっちも観てほしい。彼女本人はうたコンに初めて出たときに3,000人の観客に緊張してめっちゃかわいかったので、それを考えると尚更すごい。あの役もうちょっと観たかったなと思うともったいない、原作だともう少し掘り下げてるのかな?もう少し話を広げたらもっと出番あったのかなって思うけど何時間必要になるんだそしたら。いやそれなら前編後編で分けたらいいのか。でもそれだと間伸びしちゃうのかな。いずれ円盤になるときディレクターズカット版がとてつもない長さになったりすんのかな。
あと想像以上に大河ドラマ民ホイホイというか大河ドラマ出演経験者が多数登場してて個人的に滾った。
だって吉沢さんと横浜さんは勿論、当然ながら渡辺謙様もだし、寺島しのぶさんも高畑充希ちゃんも三上愛ちゃんも(ここ「藤原定子さまと藤原彰子さまが同じ人と恋仲?になっちゃうの現代でも一緒じゃんか!!!」って思っちゃったよね)田中泯さんも三浦貴大さんも宮澤エマさんも……
筆者は全作品網羅して全話録画してるガチですって訳ではないんだけど、ここ何年かは割と観てるので「ワァあの人もこの人も(^q^)」ってなった。
やっぱり大河ドラマに出るくらいの人ってそれだけ安心して観てられるのが前提ってことだよなあ。
所謂悪役の人とかも説得力持たせないといけないからそういう意味での難しさもあると思うけど。
それにしても吉沢亮という人は本当に凄い役者だなと思った。今更すぎます?そのあたりは本当にすみません。
『青天を衝け』を観てた時に「この人すごいな」って漠然と思ってたけどそれ以上だった。
特に声。
近年はダンスがとっても上手な人が増えたなぁって印象。それはそれでよいこと。
なんだけど歌舞伎は振りだけができればそれで良いって訳ではないのでね。
特に、みんな言ってると思うけど曽根崎心中の稽古のとき。
(なんならその直前のシーンがTwitter(🙅♀️)で流れちゃってるけど)
自分を引っ叩いた直後の、目に涙を湛えた喜久雄。
お初が喜久雄に乗り移ったみたいだった。
そのあとの襲名披露の口上の時の声もすっっっっっばらしくて思わず「すげー!!!!!」って叫びそうになってしまった。映画館にいることをちょいちょい忘れてた。
本物なんですけど。って気持ち。(個人の感想ですよ)
もうね何度「丹波屋ァァァ!!!!!」って叫びたかったか……大向うやったことありませんけども。
映画国宝応援上映やれください(その際は素人というか老若男女の大向うも大目に見てください)
それと二代目半二郎の代役で今から本番って時にこの上なく緊張してる時の震え具合が半端じゃなかった。
ああ、程度の差はあるだろうけど大舞台ってやつに立つ人はこれほどまでに緊張するものなんだなあって思った。
で、喜久雄のライバルでもあり親友(って言っていいよね)俊介役の横浜流星氏もものすごかった。
まじで吉沢さんだけすごくても俊介の立ち位置に説得力がなかったら成立しないもんな。勿論下手にやる訳にはいかないし、かといって喜久雄を超えてしまったら意味がない。
そのへんめっちゃ難しかったと思うし絶妙なんだよなあ……
(ここだけの話『正体』も映画館で観たかったと思ってたのに筆者の余裕がなくて気付いたら終わってたっていう為体……)
『べらぼう』で所作が綺麗なのは空手世界チャンピオンだから(形で?それとも?)なのかなって思ってたけど。
で、俊介も俊介の良さがあるんだよ……喜久雄のお初がぞっとするほどの凄味で魅せたのに対して、俊介のお初は守ってあげたくなるような愛らしさ。そりゃ心中しなきゃだめだわってなる。独りで死なせる訳にはいかないもんあのお初。(文楽でのお初のイメージもこっちかも、愛らしい!徳さん独りにさせないであげて!的な……この辺は好みでもある、例えば沢山の歌い手に歌われる名曲ってあるけどその歌い手によって色が変わるみたいなかんじって言ったらわかりやすいかな)
俊介自身もそうだし……なんかほっとけない!って思っちゃうんだよね。
だからこそ春江は俊介と一緒について行ったんだろうな、って何の疑問も持たずに思えたし。
だってあのままだと俊介は本当にダメになっちゃいそうだったじゃん!!!っていう。
てかこの撮影とべらぼうの撮影は被らなかったのかな。そりゃそうなんだけど訛りというか言葉が全然違うから大変だっただろうなと。そう思ってべらぼうを観ると尚更この人すげえやってなる。
パンフレット読むとまじで謙虚だし。
まじで「正体」を映画館に観に行きそびれたのが悔やまれる……気付いたら終わってたんだよぉ……いや何かを通して観なきゃだめだこれは。べらぼうももっとちゃんと観なきゃだめだ。
それにつけても謙様の存在感ドデカすぎて(褒めてる)
いま『べらぼう』でも殿(しんがり)を務めていらっしゃるけれど。
まあ……役どころは……殴る蹴る怒鳴るのハラスメントってかもう虐待紛いの指導をしたうえに我が子を谷底へ突き落とすようなことして……
それで這い上がってほしかったんだろうな、本当は。
それまでも遠慮なしに指導してたけどついてきてたから、そこまでしてもいいと思っちゃったんだろうな。
だけどそんな父であり師匠でもある二代目半二郎の気持ちとは裏腹に、俊介は春江と行方をくらましてしまうという。
見えてなかったんだね、我が子のこと。
田中泯さんが演じた万菊丈も凄かったな、清濁なんて言葉では表しきれないものを併せ呑んできましたってオーラに説得力がありすぎる。手招きの動きだけで
二代目半二郎が喀血してぶっ倒れても全然動じないんだもんな(喜久雄も動いてなかったけどあれは衝撃やらなんやらで動けなかった、だからな)。
喜久雄と初めて会ったとき
「(綺麗な顔は)役者になるには邪魔も邪魔
自分の顔に食われちまいますからね」
みたいなこと言ってて、まじでそう…ってなった。
特に昨今はドラマや映画のメインキャストって物語よりキャスティング重視みたいなところがある気がして「話題性で選んでるんだろ!」みたいなことを思うことも正直言ってある。
吉沢さん自身も「顔で売れたくない」ってスイッチインタビューで言ってたし。
(即ちこれ書いてるのそのオンエアのあと😂)
三浦貴大氏演じる竹野も良かった。
終盤どうやって調べたのか、喜久雄の居所を見つけて「三代目」って声を掛けてくれたのがめっっっっっちゃ良かった。
どれだけ落ちぶれても本物の芸を身に付けた(って言い方で合ってるのかわからないけど)人間に対する敬意。
あと、ほんの僅かながら最初に見くびったことに対する後ろめたさもあるのかもしれないな、とも思った。
映画「BLUE GIANT」でやっぱり突然現れた若者(主人公)を下に見てたそれなりに大物?のおっちゃんが主人公たちの演奏聴いてぶちのめされるってシーンがあったけどそれ思い出した。
どっちもフィクションではあるけれど、いくらその業界に詳しくなっていても『若いから』ってだけで先入観で実力とかポテンシャルとかを決めつけちゃだめだよなあ……ってなった。
パンフレットの中で、寺島しのぶさんが「現実にはあり得ないこと」と念押ししてるのも印象的だったな。しのぶさん自身がどれだけ歌舞伎やりたくてもできなかった人だもんね……でも登場シーンで稽古つけてるところはもう虚実入り混じってるじゃん!って思った。
(実際は暴言暴力振るいながら指導とか花街で未成年者が酒飲むみたいなのは普通に犯罪だしやってないと思うけども……)
しのぶさんは「変化してもいいのではとも思う」とも仰っているので、血縁だけじゃなくて実力でも評価してもらいたいし、女性の歌舞伎役者とか……ただでさえ少子化やばいんだから。流石にいきなり主演やらせろなんて言わないから。少なくとも実力があるならお囃子の人が女性だっていいんじゃないのか。そもそも「女性だと風紀乱れるから」って何したってんだよって当時の人達に問い詰めたいんだけど。
まあ筆者としては上でもちょっと書いたけど女声の大向うを許可していただきたく……でもスポーツ実況とかでも男性メインだもんな、まあ女性の声って高いからそのぶん耳キンキンしがちなのかもしれないけど。
だからめちゃくちゃ練習して「これならいいよ」のバロメーターというかなんというか、を決めたらできたりしないかなあ……って誰がどう決めるんだそれ……()
そういえば、パンフレットには「何のために」って書いてあるんだけど。
筆者が最終盤の喜久雄にインタビューするなら
「一度梨園を半ば追い出されるようなことになったにもかかわらず、歌舞伎を続けられたのは何故ですか?」
って訊いてみたいな、と思って。
自分だったら、もう追い出された時点で「やーめよ」ってなっちゃうんじゃないかと思って。
喜久雄自身、もう生きる術はこれしかないと思っていたから辞めるっていう選択肢が出てこなかったのかな。
ここだけの話、終盤イキった輩どもにボコボコにされた時は踊りながらビルの屋上から落ちちゃうんじゃないかと思ってしまって踊り自体ちゃんと観れてなかったけれども。
でもスイッチインタビューで吉沢さんはあの場面気持ち良かったって言ってたからなあ……
とにかくこの作品がそのまま歌舞伎の世界のリアルって訳ではないけど、歌舞伎に対する愛に溢れたこの作品は沢山の人に届くといいなと願ってる。既に本当に大ヒットしてるけど。
そんな感じですかね。
というかもう一回観に行きたい。な。
筆者こういうのネタバレなしで書けないので……
率直に言って今年を代表する邦画になるに違いないって断言できちゃうというか、この作品を超えられる今年の邦画があるなら教えてくれ観るから。とはいえどの監督も「俺の映画がナンバーワンだ」と思って撮ってるんだとは思うけど。
でもそう思ってしまうくらい素晴らしかった。
3時間あると言われていたから、最近ネットで得た知識「ポップコーン/お餅などを食べるとお手洗い行きたさが緩和される」を実践すべく買ったのに全然食べる隙がなくて終演後に必死こいて食べた。(筆者のような人達があちこちの映画館で散見されたらしいし)
むしろ「本当に3時間経ったの???」と言いたくなるくらいあっという間だった。
まずこの作品に関する予備知識が
・吉沢亮と横浜流星(敬称略)が歌舞伎役者を演じる
・3時間ある
・PG12
ってことくらいしかなかった。
けど実は数回程度だけど歌舞伎観に行ったことがあって……(中村屋ファミリーは個人的に贔屓したい)(なおくんのりちゃんがんば)(しかしまだ歌舞伎座に入ったことはない)
ちなみに歌舞伎だけじゃなくて能とか狂言とか文楽あたりも観たことがある。お囃子の音色というか太鼓のトントコトントコいうのを聴くとなんとなくわくわくする。なんだったら雅楽もなんとなくだけど好き。知識ほぼ皆無だけど。
ていうかここ何年かは大河ドラマ観たり観てなかったり(?)するからその辺の知識なら若干ある。
映画に「曽我兄弟」って台詞が出てきたけど『鎌倉殿の13人』観てたから「曽我兄弟といえば!!!」と思った。
でも原作は一切読まずに、どんな話かも知らずに観たから役名すらよくわかってなくて。
終わってからパンフレット見て「俊ぼんは『大垣俊介』って名前だったのか、てかあの家の苗字『大垣』だったのか〜」などと思う始末。うわすみませんすみません
それとPG12だよと言われてどんな感じなのかと思っていたけど、序盤のカチコミシーンとか喜久雄と俊介がバチバチ叩かれてるところで「これか」となって中盤二代目半二郎が血を吐くところで「あっこれのことか」となって終盤の喜久雄と彰子の(伏せますね)で「これのことだったのか……」ってなった……
なので軽々しく「日本人全員観て」とは言えないわけであり……終盤のあれさえなければ……いや序盤のも大概だな……(余談だけどこれ以上にモノ食べながら観ちゃいけないんじゃね系の映画を別の日に観たけどPG12も何もなかった、どうやって決めてるんだろあれ)
インティマシーコーディネーターが入っていることをスタッフロールで見つけてそれは心底ほっとした。
それに絡めて先に言うけど森七菜ちゃんあなたすごいよ……って思った、彼女に関しては「ファーストキス1ST KISS」で筆者個人的にびっくりしたのでそっちも観てほしい。彼女本人はうたコンに初めて出たときに3,000人の観客に緊張してめっちゃかわいかったので、それを考えると尚更すごい。あの役もうちょっと観たかったなと思うともったいない、原作だともう少し掘り下げてるのかな?もう少し話を広げたらもっと出番あったのかなって思うけど何時間必要になるんだそしたら。いやそれなら前編後編で分けたらいいのか。でもそれだと間伸びしちゃうのかな。いずれ円盤になるときディレクターズカット版がとてつもない長さになったりすんのかな。
あと想像以上に大河ドラマ民ホイホイというか大河ドラマ出演経験者が多数登場してて個人的に滾った。
だって吉沢さんと横浜さんは勿論、当然ながら渡辺謙様もだし、寺島しのぶさんも高畑充希ちゃんも三上愛ちゃんも(ここ「藤原定子さまと藤原彰子さまが同じ人と恋仲?になっちゃうの現代でも一緒じゃんか!!!」って思っちゃったよね)田中泯さんも三浦貴大さんも宮澤エマさんも……
筆者は全作品網羅して全話録画してるガチですって訳ではないんだけど、ここ何年かは割と観てるので「ワァあの人もこの人も(^q^)」ってなった。
やっぱり大河ドラマに出るくらいの人ってそれだけ安心して観てられるのが前提ってことだよなあ。
所謂悪役の人とかも説得力持たせないといけないからそういう意味での難しさもあると思うけど。
それにしても吉沢亮という人は本当に凄い役者だなと思った。今更すぎます?そのあたりは本当にすみません。
『青天を衝け』を観てた時に「この人すごいな」って漠然と思ってたけどそれ以上だった。
特に声。
近年はダンスがとっても上手な人が増えたなぁって印象。それはそれでよいこと。
なんだけど歌舞伎は振りだけができればそれで良いって訳ではないのでね。
特に、みんな言ってると思うけど曽根崎心中の稽古のとき。
(なんならその直前のシーンがTwitter(🙅♀️)で流れちゃってるけど)
自分を引っ叩いた直後の、目に涙を湛えた喜久雄。
お初が喜久雄に乗り移ったみたいだった。
そのあとの襲名披露の口上の時の声もすっっっっっばらしくて思わず「すげー!!!!!」って叫びそうになってしまった。映画館にいることをちょいちょい忘れてた。
本物なんですけど。って気持ち。(個人の感想ですよ)
もうね何度「丹波屋ァァァ!!!!!」って叫びたかったか……大向うやったことありませんけども。
映画国宝応援上映やれください(その際は素人というか老若男女の大向うも大目に見てください)
それと二代目半二郎の代役で今から本番って時にこの上なく緊張してる時の震え具合が半端じゃなかった。
ああ、程度の差はあるだろうけど大舞台ってやつに立つ人はこれほどまでに緊張するものなんだなあって思った。
で、喜久雄のライバルでもあり親友(って言っていいよね)俊介役の横浜流星氏もものすごかった。
まじで吉沢さんだけすごくても俊介の立ち位置に説得力がなかったら成立しないもんな。勿論下手にやる訳にはいかないし、かといって喜久雄を超えてしまったら意味がない。
そのへんめっちゃ難しかったと思うし絶妙なんだよなあ……
(ここだけの話『正体』も映画館で観たかったと思ってたのに筆者の余裕がなくて気付いたら終わってたっていう為体……)
『べらぼう』で所作が綺麗なのは空手世界チャンピオンだから(形で?それとも?)なのかなって思ってたけど。
で、俊介も俊介の良さがあるんだよ……喜久雄のお初がぞっとするほどの凄味で魅せたのに対して、俊介のお初は守ってあげたくなるような愛らしさ。そりゃ心中しなきゃだめだわってなる。独りで死なせる訳にはいかないもんあのお初。(文楽でのお初のイメージもこっちかも、愛らしい!徳さん独りにさせないであげて!的な……この辺は好みでもある、例えば沢山の歌い手に歌われる名曲ってあるけどその歌い手によって色が変わるみたいなかんじって言ったらわかりやすいかな)
俊介自身もそうだし……なんかほっとけない!って思っちゃうんだよね。
だからこそ春江は俊介と一緒について行ったんだろうな、って何の疑問も持たずに思えたし。
だってあのままだと俊介は本当にダメになっちゃいそうだったじゃん!!!っていう。
てかこの撮影とべらぼうの撮影は被らなかったのかな。そりゃそうなんだけど訛りというか言葉が全然違うから大変だっただろうなと。そう思ってべらぼうを観ると尚更この人すげえやってなる。
パンフレット読むとまじで謙虚だし。
まじで「正体」を映画館に観に行きそびれたのが悔やまれる……気付いたら終わってたんだよぉ……いや何かを通して観なきゃだめだこれは。べらぼうももっとちゃんと観なきゃだめだ。
それにつけても謙様の存在感ドデカすぎて(褒めてる)
いま『べらぼう』でも殿(しんがり)を務めていらっしゃるけれど。
まあ……役どころは……殴る蹴る怒鳴るのハラスメントってかもう虐待紛いの指導をしたうえに我が子を谷底へ突き落とすようなことして……
それで這い上がってほしかったんだろうな、本当は。
それまでも遠慮なしに指導してたけどついてきてたから、そこまでしてもいいと思っちゃったんだろうな。
だけどそんな父であり師匠でもある二代目半二郎の気持ちとは裏腹に、俊介は春江と行方をくらましてしまうという。
見えてなかったんだね、我が子のこと。
田中泯さんが演じた万菊丈も凄かったな、清濁なんて言葉では表しきれないものを併せ呑んできましたってオーラに説得力がありすぎる。手招きの動きだけで
二代目半二郎が喀血してぶっ倒れても全然動じないんだもんな(喜久雄も動いてなかったけどあれは衝撃やらなんやらで動けなかった、だからな)。
喜久雄と初めて会ったとき
「(綺麗な顔は)役者になるには邪魔も邪魔
自分の顔に食われちまいますからね」
みたいなこと言ってて、まじでそう…ってなった。
特に昨今はドラマや映画のメインキャストって物語よりキャスティング重視みたいなところがある気がして「話題性で選んでるんだろ!」みたいなことを思うことも正直言ってある。
吉沢さん自身も「顔で売れたくない」ってスイッチインタビューで言ってたし。
(即ちこれ書いてるのそのオンエアのあと😂)
三浦貴大氏演じる竹野も良かった。
終盤どうやって調べたのか、喜久雄の居所を見つけて「三代目」って声を掛けてくれたのがめっっっっっちゃ良かった。
どれだけ落ちぶれても本物の芸を身に付けた(って言い方で合ってるのかわからないけど)人間に対する敬意。
あと、ほんの僅かながら最初に見くびったことに対する後ろめたさもあるのかもしれないな、とも思った。
映画「BLUE GIANT」でやっぱり突然現れた若者(主人公)を下に見てたそれなりに大物?のおっちゃんが主人公たちの演奏聴いてぶちのめされるってシーンがあったけどそれ思い出した。
どっちもフィクションではあるけれど、いくらその業界に詳しくなっていても『若いから』ってだけで先入観で実力とかポテンシャルとかを決めつけちゃだめだよなあ……ってなった。
パンフレットの中で、寺島しのぶさんが「現実にはあり得ないこと」と念押ししてるのも印象的だったな。しのぶさん自身がどれだけ歌舞伎やりたくてもできなかった人だもんね……でも登場シーンで稽古つけてるところはもう虚実入り混じってるじゃん!って思った。
(実際は暴言暴力振るいながら指導とか花街で未成年者が酒飲むみたいなのは普通に犯罪だしやってないと思うけども……)
しのぶさんは「変化してもいいのではとも思う」とも仰っているので、血縁だけじゃなくて実力でも評価してもらいたいし、女性の歌舞伎役者とか……ただでさえ少子化やばいんだから。流石にいきなり主演やらせろなんて言わないから。少なくとも実力があるならお囃子の人が女性だっていいんじゃないのか。そもそも「女性だと風紀乱れるから」って何したってんだよって当時の人達に問い詰めたいんだけど。
まあ筆者としては上でもちょっと書いたけど女声の大向うを許可していただきたく……でもスポーツ実況とかでも男性メインだもんな、まあ女性の声って高いからそのぶん耳キンキンしがちなのかもしれないけど。
だからめちゃくちゃ練習して「これならいいよ」のバロメーターというかなんというか、を決めたらできたりしないかなあ……って誰がどう決めるんだそれ……()
そういえば、パンフレットには「何のために」って書いてあるんだけど。
筆者が最終盤の喜久雄にインタビューするなら
「一度梨園を半ば追い出されるようなことになったにもかかわらず、歌舞伎を続けられたのは何故ですか?」
って訊いてみたいな、と思って。
自分だったら、もう追い出された時点で「やーめよ」ってなっちゃうんじゃないかと思って。
喜久雄自身、もう生きる術はこれしかないと思っていたから辞めるっていう選択肢が出てこなかったのかな。
ここだけの話、終盤イキった輩どもにボコボコにされた時は踊りながらビルの屋上から落ちちゃうんじゃないかと思ってしまって踊り自体ちゃんと観れてなかったけれども。
でもスイッチインタビューで吉沢さんはあの場面気持ち良かったって言ってたからなあ……
とにかくこの作品がそのまま歌舞伎の世界のリアルって訳ではないけど、歌舞伎に対する愛に溢れたこの作品は沢山の人に届くといいなと願ってる。既に本当に大ヒットしてるけど。
そんな感じですかね。
というかもう一回観に行きたい。な。