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永江朗のオハヨー!日本語 ~広辞苑の中の花鳥風月

短期集中web連載! 手だれの文章家・永江朗が広辞苑を読んで見つけた自然を表す言葉の数々をエッセイに綴ります。

だぼはぜ【だぼ鯊】

2013年08月02日 | た行
一般に淡水に算する小形のハゼ類。多くは食用にならないところからの蔑称だが、佃煮の材料には使われる。


「ハゼ科のチチブ・ヨシノボリなどの俗称。ゴリ」なのだそうだ。

「雑魚(ざこ)」にも通じるものがある。

 蔑称というけれども、佃煮の材料になるのだから立派だ。カルシウムたっぷりでからだによさそうだし。

 ぼくは「ブヨブヨと太って、身の締まってない、だらしないハゼみたいな男」のことだと思っていた。「だぼ」の語感から、「(衣類の)だぼだぼ」を連想したのである。ところが小さすぎて食べられないハゼだったとは。

 こうなると気になるのは「だぼ」の意味である。『広辞苑』では「木材や石材を継ぐとき、両方の材にまたがってはめこみ、ずれを防ぐ小片」とある。棚板を受ける部分につける木や金属のポッチも「だぼ」という。「棚板を受ける金具みたいに小さなハゼ」? なんだかわかりにくいなあ。

 関西の一部では悪口として「ダボ!」が使われる。『広辞苑』には載っていない。「アホ」の最上級、「ドアホ」が訛ったものともいわれるけれど、「すごくアホなハゼ」というんじゃあんまりだ。


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