永江朗のオハヨー!日本語 ~広辞苑の中の花鳥風月

短期集中web連載! 手だれの文章家・永江朗が広辞苑を読んで見つけた自然を表す言葉の数々をエッセイに綴ります。

ろうおう【老鶯】

2013年10月26日 | ら行
春すぎて鳴くウグイス。晩鶯。残鶯。おいうぐいす。


 夏になっても鳴いているからといって、老いているとは限らない。若くて元気たっぷりだからいつまでも鳴いているのかもしれない。もちろん、老いても盛んなウグイスだっているだろうけど。

 百科事典などで調べてみた。

 ウグイスは、冬は平地ですごし、春先になるとオスが「ホーホケキョ」と鳴いてメスを求める。夏になると山のほうに移動して巣を作る。寒くなるとまた平地に戻ってくる。

 サントリーのサイトに「日本の鳥百科」というコーナーがある。そこのウグイスの項によると、「ホー」で息を吸って、「ホケキョ」で息を吐いているのだそうだ。平地で鳴くのは練習で、彼らにとっての本番は初夏になって山に移動してから。いい声で鳴いて、メスを魅了しなければならない。楽しそうに鳴いているようで、心の中では必死だ。老鶯は年をとって枯れているどころか、やる気まんまんで婚活中の若者なのである。どういう声にグッとくるのか、メスの意見を知りたい。

「日本の鳥百科」では鳴き声も聴ける。「ホーホケキョ」のさえずり、平地での地鳴き(ささ鳴き)、そして谷渡り。