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条例解説書への意見(2011年12月)

2011年12月15日 | Weblog
条例解説書への意見(2011年12月)


p、4「定義」
○【趣旨】
障害の捉え方の転換を明確に示す必要がある。「機能障害」と「障害」の違い、平等な権利の主体として障害者を捉えなおしたことを明示してもらいたい。

○【解説】第1項関係
・(2番目の○) 「断続的、周期的なものも含まれる」の説明を分かりやすくしてもらいたい。例えば、慢性疾患の方が午前は調子がいいが、午後になると調子が悪くなる場合など、といった例示を加えてもらいたい。
・障害者手帳を持っていることが、障害者の要件ではないことを明示してもらいたい。
・「相当な」の解説も加えてもらいたい。その制限の程度によって対象を排除しようとするものではないことを明示してもらいたい。


p、10「不利益取扱いの禁止」
○【解説】
本条各号に共通する考え方として、次の解説を加えてもらいたい。
・「直接差別」「間接差別」「合理的配慮の欠如」の差別の3類型の解説。
・不利益取扱いは一般との異なる結果の問題であること。特に間接差別について分かりやすく解説されること。それに基づき、必ずしも「障害を“理由に”」しなくても、中立的な取り扱いにより不利益取扱いは発生することになり、それも本条例の対象であること。
・例外とされる「合理的な理由」とは一方的なものではなく、話し合いにより検討された上でなお理由となるものであること。また思い込みや想像によるものではなく、客観的、科学的なものでなくてはならないこと。
・「合理的な理由」は個々の障害特性や社会的状況に合わせて個別に検討されなくてはならいないこと。
・「合理的な理由」は話し合いの対等性を確保するために、相手方がその理由についての説明する責任があること。
・仮に「合理的な理由」がある場合であっても、その社会的障壁の除去のための措置が講じられないか最大限検討されなければならないこと。



p、12「福祉サービス」
○【趣旨】第2号関係
 誤解を生まぬよう、条文で規定された施設の利用そのものを不利益取扱いとしているのではないことを明示してもらいたい。
○【解説】第2号関係
・(1番目の○) 相談支援の質も様々であるので、案に示されたような支援が十分にあった上で、本人の意思決定が行われた場合を、条文で規定された相談支援が行われた場合と解説してもらいたい。単に関わっただけでは相談支援が行われたと解釈をしないでもらいたい。
・既に入所中の場合についても、退所の希望がある場合はそれに対して必要な支援が行われなければ入所の強制にあたることを解説してもらいたい。


p、15「医療」
○【解説】ア関係
既に入院中の場合についても、退院の希望がある場合はそれに対して必要な支援が行われなければ入院の強制にあたることを解説してもらいたい。


p、18「商品販売、サービス提供」
○【解説】
・(3番目の○) 「サービスの質が著しく損なわれるおそれがあると認められる場合」について、社会的障壁の除去のための合理的な配慮を最大限実施した結果として、それでも認められるという解説を加えてもらいたい。そうでなければ、その責任を「障害の特性」に求めるものになってしまう。
・(3番目の○) 「おそれがある」ということを事実として認定するには、障害を一律に捉えるのではなく個別的かつ客観的・科学的な慎重な検討が必要であるという解説を加えてもらいたい。


p、21「労働者の雇用」
○【解説】第5号、6号関係
・(それぞれ1番目の○) 「従事させようとする業務」の範囲について、一般的に業務の中には複数のものが含まれる。その一部ができないだけで「業務ができない」とされることは、障害者にとってあまりに不利である。本条例における業務の範囲は、「他に変えうることのできない中心的な業務(=業務の本質的部分)」と解説をしてもらいたい。
・(それぞれ1番目の○) 「適切に遂行できない」について、労働分野における障害者は、個人の能力のみでは業務を完全に遂行できない部分があるからこそ障害者なのである。社会的障壁の除去のための合理的な配慮を最大限なされた上で、遂行できないかどうかが判断されるよう解説してもらいたい。
○【解説】第5号
 法定雇用率を満たしていても、採用を拒否することは本条例に抵触することを加えてもらいたい。


p、22,23「教育」
○【解説】ア関係
・「個別の教育支援計画等に基づいた指導や支援を行わないこと」だけでは不十分である。本条例は不利益取扱いという結果を問題としているので、個別の教育支援計画に基づいていたかという過程の問題ではない。「必要な指導又は支援」とは一人一人の障害の特性と本人・家族の意向に基づき、障害のない者と平等な教育を受けるために必要な指導又は支援と解説してもらいたい。
・授業中の付き添いを家族に求めるなど過重な負担を求めることも、必要な支援をしていないことと解説してもらいたい。
・教育の対象範囲は、高校や大学、専門学校などの高等教育も含まれると加えてもらいたい。
○【解説】イ関係
案に示されたのは現制度の説明のみなので、それに本条例としての解説を加えるべき。「意見聴取及び必要な説明」とは、本人、家族の意向に基づいた社会的障壁の除去のための合理的な配慮についての最大限の検討が行われることと解説してもらいたい。


p、24「建物等・公共交通機関」
○【解説】
・(2番目の○) バリアフリー法の特別特定建築物の範囲は狭い。特定建築物の範囲まで拡大して解説をしてもらいたい。また建物の対象規模はバリアフリー法の適用規模よりも小規模なものも含むと解説してもらいたい。
・(4番目の○) そのままでは利用できないが、微調整で利用可能となることは多く予想される。社会的障壁の除去のための合理的な配慮についての最大限の検討が行われた上、構造上やむを得ないかが判断されるよう解説してもらいたい。


p、26「不動産の取引」
○【解説】
・(1番目の○) そのままでは利用できないが、微調整で利用可能となることは多く予想される。社会的障壁の除去のための合理的な配慮についての最大限の検討が行われた上、構造上やむを得ないかが判断されるよう解説してもらいたい。
・(2番目の○) 知的障害や精神障害の方が入居を拒否される状況があることを例示してもらいたい。
・(2番目の○) 障害者の利用する施設の建設等を拒否される事例もあることから、「障害者又は障害者と同居する者」の範囲には障害者の利用する施設を開始しようとする者も含まれる解説をしてもらいたい。


p、27「情報の提供」
○【趣旨】
 改正障害者基本法に言語に手話が含まれることが規定されたことを説明してもらいたい。
○【解説】第10、11号関係
 例外として「合理的な理由」がある場合においても、社会的障壁の除去のための合理的な配慮についての最大限の検討をされなければならない解説をしてもらいたい。


p、29「社会的障壁の除去のための合理的な配慮」
○【趣旨】
・障害者権利条約において、合理的配慮の欠如は差別と規定されたこと、改正障害者基本法でも「第4条 差別の禁止」として社会的障壁の除去のための合理的な配慮が規定されたことを説明してもらいたい。
○【解説】
・(3番目の○) 過重な負担にあたるかどうかは、相手方が客観的、具体的な説明をする必要があることを解説してもらいたい。
・(3番目の○) 事業者等の立場として、公的機関は特に合理的配慮についての責任が重いことを追加してもらいたい。


p、30-32「各分野における合理的配慮の具体例」
○難病や慢性疾患、高次脳機能障害など外見からは分かりにくい機能障害のケースの事例をできるだけたくさん例示してもらいたい。周知がされていない部分なので、積極的に紹介していくことが必要である。


p、34「特定相談」
○【解説】
 聴覚障害や視覚障害などコミュニケーションに支援を必要とする方々の相談を適切に受け付けられるように、手話などができる相談員を配置するなど、相談体制における情報保障に十分配慮しなければならないといった解説をしてもらいたい。


p、48「調整委員会」
○【解説】
・(2番目の○) 「障害者の権利擁護のための施策に関する重要事項」の調査審議について、社会的な課題を解決していくために、知事に意見を述べたり、その他法令に基づく会議等(障害者施策推進協議会等)と連携したり、部会を設置して検討をしたりなど、その審議の方法も例示し、積極的に取り組んでいくという解説をしてもらいたい。

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