映画と周辺

レンタルDVD映画の勝手なインプレッション。車や音楽、その他もろもろ脱線予定。。。池袋の定点観測もする。

6年

2005-04-23 14:29:10 | 雑文
もう12年ぐらい前になるが、仕事から帰宅すると、その当時住んでいたマンションの入り口の前に1匹の猫が座っていた。シャム系の雑種のようだ。野良のはずもなく、「どうした?捨てられたか?」と話しかけると、かすれた声で
「にゃぁ~」
とひと鳴き。ひとしきりなでくりまわした後、そろそろ家に入ろうと思い、階段を上ってると、ついてくるではないか。その人なつっこさに邪険にもできず、そのままにしてると、結局4階まで上がってきてしまった。
「う~ん、どうしたもんか・・・」と、しばらく悩んだあげく、それ以前に飼っていた猫のことも思い出したりして、結局ウチに上げてしまった。
お腹空いてるみたいだし、ご飯だけ食べさせて帰そう、と思い、コンビニに走り一番安い猫缶を買ってきた。皿に盛ると、あっという間に平らげた。


出会いはそんな感じ。

その日は、ご飯をあげたあと外に出したが、それからというもの、家に戻ると必ずマンションの前で待ってる。部屋のドアの前で待ってないのは感心感心、と思い(もちろんペット禁止なわけで)、猫缶は常備するようになっていく。
2~3ヶ月はそんな調子だったかなぁ。


ある日のこと、仕事から戻ってきても、いつもいるはずの場所にいない。近くをひととおり見回って、舌を鳴らしたりしても(これ4階のベランダからやっても階段駆け上がってくる)、姿が見えない。
自分みたいな猫好きの人に拾われていったかなぁ、とちょっと寂しさも味わいつつ、その日はそれですんだ。翌日になっても、その次の日も・・・、結局1週間ぐらいは姿を見せなかった。(元気で居てくれてるといいけど)と思いながら、朝、駅に向かって歩いてると、電柱に何やらいつもは見かけない貼り紙がしてある。
「猫、預かってます」
!!
シャム猫のようだ。間違いない。車にはねられて、道端でうずくまってるところを病院に運んでくれたようだ。
すぐ連絡しなきゃと思ったが、でもよく考えたら、自分って別に飼い主じゃないよなぁ。
結局その朝は連絡しなかった。このまま、その親切な人にまかせたほうが幸せに決まってる。自分はというと、夜にご飯あげるために家に上げるだけ、という始末。

でも・・・、

事故ったんだよなぁ。どんな具合なんだろう。それにその人、飼い主でもないのに病院まで連れてってくれたりして。ペットって保険きかないから高い、というのは以前飼ってた猫で経験済み。

結局、夜になって連絡して引き取りにいってしまった。忘れるはずもない、中村さん。猫3匹に犬1匹が迎えてくれた。
正直に今までの経緯を話した。実は正式に飼ってるとはいえないんですよー的な。すると、一度奥に引っ込んだかと思うと、「これ使ってください」と優しい笑顔で猫用トイレを手渡してくれた。「うちのコ、このトイレ使ってくれないんですよー」「中にエサとトイレ砂もいれてありますから」

自分の今までの中途半端さが恥ずかしかった。その中途半端が事故を招いたわけでもあるし。
重ね重ね、お礼を言い、拒む病院代を無理やり受け取ってもらい、中村さん宅を後にする、自分と1匹のシャム猫。

(よく考えたら、名前もつけてなかったなぁ)




つけた名前は「ミー」。安易だけど呼びやすい。
その後、数年の間、相棒として(ちなみにメスです)同居することとなった。
たまに外に連れ出すと、車の音に異常に反応するようになっていた。
また、4階のベランダから落下!したりもしたが、生命力の強さを見せつけられた。


しかし、
高齢と腎臓病には勝てなかった。入院したまま逝ってしまうのが可哀想だと考え退院させたが、しばらくは相変わらずの生命力の強さを見せた。
でも、ご飯を全く食べなくなり、ベッドの下にこもるようになり始めた。

そして、
胸騒ぎのした日の朝、会社に仮病の連絡をし、今日は1日一緒に過ごそう、と思ったまさにその日の昼、自分のひざの上で息を引き取った。
最後にまたかすれた声で「にゃぁ~」とひと鳴きして・・・。


4月22日のこと。あれからもう6年になる。


ベランダに写真出してみた。あの頃とは違うベランダだけどね。