映画と周辺

レンタルDVD映画の勝手なインプレッション。車や音楽、その他もろもろ脱線予定。。。池袋の定点観測もする。

ショーシャンクの空に

2005-04-06 11:17:20 | 映画
この映画に関しては説明は不要かな?生涯ベスト1に挙げる人が多いベスト1だと思われます。ココでは2位になってます。観てないと世間的にはヤバそうです。

なぜ今さらこの映画か?
実を言うと原作を最近読んだばかりで、確認の意味で映画版をもう1回観直したわけで・・。
個人的な感想を率直に言うと、観てなくても全く問題は無いし、観ればまぁそれなりに面白い、といったとこか。
キングの原作にはかなりの部分で忠実。原作を膨らました部分としては、自殺してしまうブルックスのエピソードが大きい。このエピソードが実はこの映画の一番の軸といってもイイ。
そもそも原作はキングお得意の「昔々こんな話があったとさ」的な御伽噺みたいなもんで、リアリティからは若干距離を置いている。テーマ自体も不明瞭。
その点、映画化するにあたってダラボンが与えたテーマは明らかで、

「環境が人を変える」

ブルックスもレッドも所長も看守もシスターの連中(新入りいじめが生きがいの囚人たち)も皆、刑務所という特殊な環境の中でいろんな意味で我を失っていく。そんな環境に放り込まれたアンディがもがきながら希望を模索していく。環境の変化に押し潰されたブルックスのエピソードの余韻に浸る間もなく、物語は急展開を見せていく、と同時にどんどん話は退屈に、いや、退屈ではないか。話自体は面白いんだけど、ブルックスの死を境にテーマがどんどんぼやけていく。環境に潰されてしまったブルックスとの対比でアンディを描いていきたいところなのに、原作に縛られすぎたのか、アンディだけがその環境にお呼びでない存在に成り上がっている。と同時に所長の収賄にも手を貸しているわけで・・・。結果的にちょっとしたクライムムービー的な下世話な展開。ラストカットの美しさに騙されてはいけない。ちなみにこの遠景での海辺のカット、「ICO」というPS2のゲームが同じようにエンディングで引用してるのを発見。

もちろん、希望を持ちつづけることが大事、というメッセージは胸を打つし、もっともだと思うのだが、発する本人は詐欺師すれすれの脱走劇。

イイ映画なのは間違いないところだと思うし、キングにしてはどうでもいい部類の作品に入る(個人的には)この本を、ここまでの映画に仕立て上げたフランク・ダラボンは見事だと思う。
ブルックスのエピソードで心を打たれるのは自分も同様。でも後半の展開に矛盾を感じてしまい、どうしても映画に入り込めない。

なんか自分、ひねくれすぎ??素直に感動するのがたぶん常識人なのはわかってます。
皆が大絶賛する映画ってどうも斜めから観ちゃう悪い癖がある。でも自信を持ってこの作品は「可もなく不可もない」と言える。