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【国際情勢分析 矢板明夫の目】中国人権活動家に批判されるオバマ夫妻 ZAKZAK

2014-03-31 | 国際的なこと
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140331/frn1403310852001-n1.htm

 中国の人権活動家たちは最近、米国のオバマ政権に対する不満を高めている。歴代米政権と比べて、中国の人権や民主化問題への言及が少ないだけではなく、ミシェル・オバマ大統領夫人(50)が今月、中国を訪問した際、四川省成都市のチベットレストランで食事をしたことについて「チベット問題で中国の演出に協力した」とショックを受けた人が多い。シリア、ウクライナ問題の対応でリーダーシップが取れず「弱腰外交」と国際社会から批判されたオバマ政権だが、中国の人権問題への対応でも手厳しい評価を受けている。

 ■無意味な「人権報告書」

 北京の人権弁護士らが大きな不満を持っているのは、2月末に米国務省が発表した2013年の人権報告書だ。「中国がインターネットの規制や政治的不満を持つ人々に対する弾圧を強めている」との内容は盛り込まれたものの、「中国政府に対する批判は緩い」と受け止めた人が多い。「これまでに言ってきたことを繰り返しただけで、なんの意味もない」とは多くの関係者が読んだ感想だ。

 米国を拠点に活動する人権団体の統計によると、2002年から12年まで続いた胡錦濤政権では、国家政権転覆扇動罪などによって投獄された政治犯、思想犯は10年間で計66人いたのに対し、習近平政権では発足約1年で拘束者は200人を超えている。穏健派といわれる許(きょ)志(し)永(えい)氏(41)ら「新公民運動」の活動家ら10人以上が実刑判決を受けたことも、胡時代には考えられない厳しい対応だ。

 習近平政権が国内の知識人に対しこのようになりふり構わず弾圧できる背景には、「米国政府が中国の人権問題を強く批判しなくなったことがある」と見る人が多い。

■夫人外交にも波紋

 ミシェル夫人が3月19日から約1週間も中国を訪問し、習近平国家主席(60)夫人の彭(ほう)麗(れい)媛(えん)氏(51)とファーストレディ外交を展開したことも波紋を広げた。

 13年6月、習主席が訪米し、バラク・オバマ大統領(52)とカリフォルニア州のパームスプリングズで会談した際、夫人を帯同したにもかかわらず、ミシェル夫人は「子供と一緒に時間を過ごしたい」との理由で姿を見せなかった。当時、「中国は屈辱的な対応を受けた」と指摘する意見もあった。女性や子供など弱者の味方を演じなければならない役割の米国のファーストレディは「中国の人権状況に対する不満が原因で欠席したのではないか」との分析もあり、中国国内の人権活動家の間で、ミシェル夫人に拍手喝采を送った人が多かった。

 今回、ミシェル夫人が急きょ訪中することになったのは、クリミア問題で米露の対立が決定的となり、中国の支持を取り付けたい米国が対中政策を軟化させ、「前回、ファーストレディ同士が米国で会わなかったことの埋め合わせだ」と分析する人がある。

 ■「宣伝に協力」と落胆

 ミシェル夫人が北京に到着する5日前の14日、中国で社会的弱者への法的支援に取り組み、当局に拘束されていた著名な女性人権活動家、曹順利さん(52)が死亡した。

 陳情者の支援活動に携わった曹さんは13年9月、ジュネーブでの国連人権理事会のプログラムに参加しようとしたところ、北京の空港で拘束された。拘束中に体調が悪化したが、中国当局は治療の要求を拒否した。その後、意識不明の状態となり、搬送先の病院で死亡した。家族は遺体に青いあざを見つけ「政府が意図的に殺した」と主張している。

 中国国内の人権派弁護士や活動家らが曹さん死亡の真相究明を求める署名活動を全国で展開している。「ミシェル夫人は習主席夫妻との会談で、曹さんの例を挙げ、中国の人権問題に言及するのではないか」と期待する関係者もいたが、今のところ、会談でのそういった内容に触れた報道はない。

 ミシェル夫人は中国で、西安や成都など複数の地方都市をも訪れた。成都ではパンダ繁殖研究基地を視察し、ジャイアントパンダに餌のリンゴを与えるなどして楽しんだあと、成都市のチベット料理のレストランで昼食を取った。中国メディアはこの日程を大きく伝えた。

 「『中国でチベット文化が大事にされている』という中国側の宣伝に協力した」「もうアメリカのことを信用しない」といった落胆の声が知識人の間で広がっている。(やいた・あきお 中国総局)

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