現在発売中の女性誌『Precuous』、「京都在住者が勧める冬の京都」にコメントと
おすすめスポットが載っています。私の写真はありませんので、念のため。
よろしければごらんくださいね。
おすすめスポットが載っています。私の写真はありませんので、念のため。
よろしければごらんくださいね。
きなこがチェックしているのは、今年初めて購入した「フランスお総菜おせち」
です。バスケットに入っているのですが、かなり重い。中身は某ビストロ特製の
ポタージュ、テリーヌ、パテ、サラダ、マリネ、グラタンなどがぎっしりです。
きなこには別にササミを用意してあるのですが、このバスケットにも積極的に
関与したがります。
ちょっと味見するため、台所に運んで行くと、きなこもついてきました。男子
厨房に入らず、なんてのは昔の話。しかし、きなこの場合は自分が調理するので
はなく、私がきなこのために用意するごはんを待つためなのでした。しかも、彼
はササミを私の手からしか食べません。それも、食べさせ方が悪いとすぐすねる。
でも、今年一年間、きなこには寂しい思いをさせてきたので、ちょっとくらい
のわがままはきいてあげたいと思います。来年４月から、私は国内研修で一年
間本部校を留守にして別の大学へ通います。きなこといっしょの時間も増える
はず。期待してくれていいよ、きなこ。
本当に沢山の大変なことがあった一年ですが、来年は厄も祓って出直したい
ものです。こんなふうに、年末にリセットした気分になれるのは、日本人の
文化でも案外いいところかも知れません。大祓に由来するのでしょうか。
台所では、明日お雑煮の代わりにいただくための蕪とバラ肉のスープが
煮えています。ブルーのシャンパンも冷えています。
きなこと二人だけのお正月です。
です。バスケットに入っているのですが、かなり重い。中身は某ビストロ特製の
ポタージュ、テリーヌ、パテ、サラダ、マリネ、グラタンなどがぎっしりです。
きなこには別にササミを用意してあるのですが、このバスケットにも積極的に
関与したがります。
ちょっと味見するため、台所に運んで行くと、きなこもついてきました。男子
厨房に入らず、なんてのは昔の話。しかし、きなこの場合は自分が調理するので
はなく、私がきなこのために用意するごはんを待つためなのでした。しかも、彼
はササミを私の手からしか食べません。それも、食べさせ方が悪いとすぐすねる。
でも、今年一年間、きなこには寂しい思いをさせてきたので、ちょっとくらい
のわがままはきいてあげたいと思います。来年４月から、私は国内研修で一年
間本部校を留守にして別の大学へ通います。きなこといっしょの時間も増える
はず。期待してくれていいよ、きなこ。
本当に沢山の大変なことがあった一年ですが、来年は厄も祓って出直したい
ものです。こんなふうに、年末にリセットした気分になれるのは、日本人の
文化でも案外いいところかも知れません。大祓に由来するのでしょうか。
台所では、明日お雑煮の代わりにいただくための蕪とバラ肉のスープが
煮えています。ブルーのシャンパンも冷えています。
きなこと二人だけのお正月です。
ゲラ直しの最中、ちょっと調べ物をするとき、Ipadが役に立っています。メイン
マシンの横に置いて検索したり、音楽を流しながら作業したりもできます。
ところが、買ってから今まで見向きもしなかったにもかかわらず、この頃
きなこはIpadと急接近しているのです。そう、彼はyoutubeの動画が見たいの
です。
仕事中でも机に乗ってきてIpadの角を噛んだり画面をつついたりして要求
するので、しかたなく（というより、邪魔されないために画像を見せておこう
と思い）youtubeで「猫」を検索して見せてやりました。それがこの写真。
画面の前にしっかり座り込んで、ときどき手で画面を触ります。たまには
反応して画面が変わったりズームアップしたりするので、余計におもしろい
らしい。Ipadって、肉球でも使えるのですね。
人工物で、狩猟本能を満足させるきなこのヴァーチャル生活です。これは
「進化」かも知れません。未来には、「猫の惑星 創世記」という映画が
作られることでしょう。
「同志きなこの1タップは、猫の未来を開く大いなる一歩であったのだ」
きなこ、未来からターミネーターが来ないよう、用心しなさい。
マシンの横に置いて検索したり、音楽を流しながら作業したりもできます。
ところが、買ってから今まで見向きもしなかったにもかかわらず、この頃
きなこはIpadと急接近しているのです。そう、彼はyoutubeの動画が見たいの
です。
仕事中でも机に乗ってきてIpadの角を噛んだり画面をつついたりして要求
するので、しかたなく（というより、邪魔されないために画像を見せておこう
と思い）youtubeで「猫」を検索して見せてやりました。それがこの写真。
画面の前にしっかり座り込んで、ときどき手で画面を触ります。たまには
反応して画面が変わったりズームアップしたりするので、余計におもしろい
らしい。Ipadって、肉球でも使えるのですね。
人工物で、狩猟本能を満足させるきなこのヴァーチャル生活です。これは
「進化」かも知れません。未来には、「猫の惑星 創世記」という映画が
作られることでしょう。
「同志きなこの1タップは、猫の未来を開く大いなる一歩であったのだ」
きなこ、未来からターミネーターが来ないよう、用心しなさい。
スケルトン・イン・ザ・クローゼット・・・そう、どんな家にも衣装戸棚の中
に隠された骸骨のように、秘密があるものだ。（私は実際に骸骨を一体くらい
隠しておきたいが）
我が家にも、もちろん。ほら、クローゼットを開けると・・・きなこがいた。
48歳も年下の男子と密かに同居しているというのは、立派な秘密ではなかろうか。
それはまるで「丹夫人の鏡台」という小説を思い起こさせる、少し耽美な快楽で
ある。
私が乱雑に放り込んでいたカバン類を上手にかき分け、どうやら彼は自分の
心地よい居場所を確保したらしい。冬になると彼がここに潜伏しているであろう
ことは、裾の長い衣類を取り出したとき、下のほうにびっちりと和毛がこびり
ついていることでもわかってはいた。長く使っていなかった革のカバンを発掘
したら、表面にくっきりと爪研ぎのあとが残されていたことでも明らかであった。
私が整理整頓を怠っていることは、自分でもよくわかっているから、きなこ
よ、それをあからさまに見せつける必要はないよ。
年の瀬を迎えた、ある日の一コマであった。
に隠された骸骨のように、秘密があるものだ。（私は実際に骸骨を一体くらい
隠しておきたいが）
我が家にも、もちろん。ほら、クローゼットを開けると・・・きなこがいた。
48歳も年下の男子と密かに同居しているというのは、立派な秘密ではなかろうか。
それはまるで「丹夫人の鏡台」という小説を思い起こさせる、少し耽美な快楽で
ある。
私が乱雑に放り込んでいたカバン類を上手にかき分け、どうやら彼は自分の
心地よい居場所を確保したらしい。冬になると彼がここに潜伏しているであろう
ことは、裾の長い衣類を取り出したとき、下のほうにびっちりと和毛がこびり
ついていることでもわかってはいた。長く使っていなかった革のカバンを発掘
したら、表面にくっきりと爪研ぎのあとが残されていたことでも明らかであった。
私が整理整頓を怠っていることは、自分でもよくわかっているから、きなこ
よ、それをあからさまに見せつける必要はないよ。
年の瀬を迎えた、ある日の一コマであった。
きなこです。鎌倉御家人として相模の国に生まれた僕が、京都永久大番役を命
ぜられたのは三年ほど前のことでした。警護するのは、年老いた姫君一人だった
のですが、この姫は大学へ仕事に出かける以外、家でごろごろ本を読んだり、必死
にPCのキーボードを打っていたりして、まったく日常に変化はありません。
ところが、ある日書庫を散策していたら、やたら「後鳥羽院」や「後醍醐天皇」
という名前がタイトルにつけられた本が並んでいる一角を発見しました。
姫君には、倒幕の意志があるらしい・・・。日夜これを読んで、鎌倉を襲う
策を練るつもりなのだ・・・。姫はしばしば京都中心史観に共鳴しているような
ことを言っているし・・・（「やっぱり、おつけもんはすぐきに限るわー」）。
これはいかん。いざ、鎌倉殿に知らせねば。
ということで、最近は姫の動向を、このキャットタワーから監視しております。
朝晩のごはんと、おやつのヨーグルトをくれる姫は、きっと僕を二重スパイに
するつもりなのだ。たしかに、ダノンのヨーグルトのフタについたところは、
こってりしていてうまいけれど。
ぜられたのは三年ほど前のことでした。警護するのは、年老いた姫君一人だった
のですが、この姫は大学へ仕事に出かける以外、家でごろごろ本を読んだり、必死
にPCのキーボードを打っていたりして、まったく日常に変化はありません。
ところが、ある日書庫を散策していたら、やたら「後鳥羽院」や「後醍醐天皇」
という名前がタイトルにつけられた本が並んでいる一角を発見しました。
姫君には、倒幕の意志があるらしい・・・。日夜これを読んで、鎌倉を襲う
策を練るつもりなのだ・・・。姫はしばしば京都中心史観に共鳴しているような
ことを言っているし・・・（「やっぱり、おつけもんはすぐきに限るわー」）。
これはいかん。いざ、鎌倉殿に知らせねば。
ということで、最近は姫の動向を、このキャットタワーから監視しております。
朝晩のごはんと、おやつのヨーグルトをくれる姫は、きっと僕を二重スパイに
するつもりなのだ。たしかに、ダノンのヨーグルトのフタについたところは、
こってりしていてうまいけれど。
卒業論文作成に忙しい大学生のみなさん。
友人のNさんから、あっと驚くプレゼントを頂きました。キットカット、きなこ版
です。「卒論がんばってください。きなこ」と書かれてあります。
きなこも応援していますので、提出には「キット」間に合わせてください。
友人のNさんから、あっと驚くプレゼントを頂きました。キットカット、きなこ版
です。「卒論がんばってください。きなこ」と書かれてあります。
きなこも応援していますので、提出には「キット」間に合わせてください。
2011年も残すところあとわずかになりました。
ブログ更新を怠っておりますが、いやはや、１１月は忙しくて忙しくて。
さて、本年1月4日に父 田中尚が84歳で他界いたしましたので、新年のご挨拶は
失礼させていただきます。
日ごろのご交誼に感謝申し上げます。
喪中葉書が間に合わなさそうなので、こちらでご報告申し上げます。
父のことは、なぜか今頃しょっちゅう夢に見るようになりました。悲しいという
より、苦しいです。なぜ苦しいかということは、いつか書くこともあるかもしれ
ません。
ブログ更新を怠っておりますが、いやはや、１１月は忙しくて忙しくて。
さて、本年1月4日に父 田中尚が84歳で他界いたしましたので、新年のご挨拶は
失礼させていただきます。
日ごろのご交誼に感謝申し上げます。
喪中葉書が間に合わなさそうなので、こちらでご報告申し上げます。
父のことは、なぜか今頃しょっちゅう夢に見るようになりました。悲しいという
より、苦しいです。なぜ苦しいかということは、いつか書くこともあるかもしれ
ません。
あせって原稿を打ち込んでいる私のもとへやってきたきなこ。机の下からうずうず
と上に上がりたい気持ちを表していましたので、いつものようにキーボードと
画面の間を開けてあげたところ、一気にジャンプしてきました。
ところが、リラックスしすぎてこのような姿に・・・。
私はその間に必死でキーボードを叩いていたのですが、「F7」のキーに指を伸ばす
となにやらふんわり柔らかい感触が。
きなこのお腹を「打って」いました（＾＾；
うーん、「きなボード」ですな。これを打ってれば原稿がすぐに出来る、という
のならいいのだけど。
食事で中座した後も、きなこは夢を見ながら寝ておりました。
平和な、自宅研修日の一コマです。
と上に上がりたい気持ちを表していましたので、いつものようにキーボードと
画面の間を開けてあげたところ、一気にジャンプしてきました。
ところが、リラックスしすぎてこのような姿に・・・。
私はその間に必死でキーボードを叩いていたのですが、「F7」のキーに指を伸ばす
となにやらふんわり柔らかい感触が。
きなこのお腹を「打って」いました（＾＾；
うーん、「きなボード」ですな。これを打ってれば原稿がすぐに出来る、という
のならいいのだけど。
食事で中座した後も、きなこは夢を見ながら寝ておりました。
平和な、自宅研修日の一コマです。
田中きなこ 校注 『源氏物語』「桐壺」
平成のおほん時にか、スコ、アメショー、あまたさぶらひ給ひけるなかに、いとや
むごとなききはに生まれしが、すぐれて時めき給ふエキゾありけり。朝夕、鶏のさ
さみにのみ心を動かし給ひ、つとめて母をおどろかす事もえはばかり給はず、げに
世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。
もろこしにも、かかる事の起こりにこそ、体重も重り、あしかりけれ、と、楊貴
妃のためしも、ひきいでつべくなりゆく。「温泉水なめらかにして太き腹を洗ふ」
も、「母助け起こすに、ぎゃあと言ひて走り逃ぐ」。
そのころ、高麗人の参れる。なかにかしこき相人ありけるをしのびて家のうちに
召したりけり。相人おどろきて、あまたたびかたぶきあやしむ。「家の皇子となり
て、帝王の上なき位に昇るべき相おはします人の、そなたにて見れば、生活習慣
病の憂ひやあらむ。」
＊秋は猫の姿が美しく見える季節です。しかーし、きなこにおいては断然食欲の
秋なのでした。夏にプレーンヨーグルトの味を覚えたきなこは、より濃い味に
目覚めて、今やクリームチーズを食後のデザートに正々堂々と要求するようにな
りました。もちろん、私が人差し指にすくって舐めさせるのです。その後は
決まってTVの前に陣取り、私が電源を入れるまで待っております。このような
生活環境によって、きなこは写真のように横になると、腹のあたりがでれんと
垂れるようになってしまいました。顔は案外小顔なのですが、そのせいかより
いっそう体部のでろりん度が強調されて見えます。あやうし、きなこ。
平成のおほん時にか、スコ、アメショー、あまたさぶらひ給ひけるなかに、いとや
むごとなききはに生まれしが、すぐれて時めき給ふエキゾありけり。朝夕、鶏のさ
さみにのみ心を動かし給ひ、つとめて母をおどろかす事もえはばかり給はず、げに
世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。
もろこしにも、かかる事の起こりにこそ、体重も重り、あしかりけれ、と、楊貴
妃のためしも、ひきいでつべくなりゆく。「温泉水なめらかにして太き腹を洗ふ」
も、「母助け起こすに、ぎゃあと言ひて走り逃ぐ」。
そのころ、高麗人の参れる。なかにかしこき相人ありけるをしのびて家のうちに
召したりけり。相人おどろきて、あまたたびかたぶきあやしむ。「家の皇子となり
て、帝王の上なき位に昇るべき相おはします人の、そなたにて見れば、生活習慣
病の憂ひやあらむ。」
＊秋は猫の姿が美しく見える季節です。しかーし、きなこにおいては断然食欲の
秋なのでした。夏にプレーンヨーグルトの味を覚えたきなこは、より濃い味に
目覚めて、今やクリームチーズを食後のデザートに正々堂々と要求するようにな
りました。もちろん、私が人差し指にすくって舐めさせるのです。その後は
決まってTVの前に陣取り、私が電源を入れるまで待っております。このような
生活環境によって、きなこは写真のように横になると、腹のあたりがでれんと
垂れるようになってしまいました。顔は案外小顔なのですが、そのせいかより
いっそう体部のでろりん度が強調されて見えます。あやうし、きなこ。
今日、八月三十日は、亡きくりこの一周忌に当たります。早かったのやら、何やら
わからないままに一年が過ぎてしまいました。ずいぶん長い間くりこと暮らしていた
のに、その存在が生活から消えてしまうと、今生きているきなことの関係づくりに
精一杯になっているうちにくりこのことが頭から消えていることがありました。
それだけ、「生きているもの」の存在感が勝っているということでしょうか。小説
の『レベッカ』のように、死者が大きな存在感をもって生者を脅かすという例もあ
りますが、生前から自己主張をあまりしなかった小さなくりこは、まるで「早く
忘れて」といわんばかりに匂いを消して行きました。
それを悲しいということはたやすいのですが、あまり私が悲しみにくれると、
そっと去っていったくりこの本意にそむくような気もしないではありません。
きなこと二人で始まったこの一年。きなこはずっと自分一人でいたかのように
生活を変えていません。私はその間、父を亡くし、実家のごたごたに巻き込まれ、
命に関係ない病気をいくつかして、気がついたらたった一人になっていました。
どうやら、何かが変化しつつある時期を迎えたようです。心身が否応なく老化
してゆき、やれば何でもできるかも、などと思っていたことがままならない、
歯がゆい思い。酷な言い方ですが、もう両親の介護に悩まされることも、子の行く
末に心配することもなくなった今、私は自分のためだけに（いや、今はきなこの
タメにですが）生きて行けばよいわけです。改めて、今後の仕事と生活について
考え直す機会なのかもしれません。
そういえば、瀬戸内寂聴さんが出家したのは、私と同い年でした。私も中世に
生まれていたら、これを機に出家していたかもしれません。電光朝露の世を知る
年代なのでしょうか。
・・・などと思っている矢先、急に本と衣類の整理をしたい欲求がふつふつとわき
上がってきて、二百冊ほどの本を引き取ってもらい、もう着ないであろう衣類を
始末しました。ツイッターにも書いたのですが、居間や書斎の本の山がいくつか
減ったとたん、きなこがトイレに行かなくなりました。猫は腎臓が弱いので、一日
おしっこしないと尿毒症になる危険があります。はらはらしていたところ、どうや
ら「山」がなくなったせいで、トイレに至る「地形」が変わってしまったため、
きなこは道に迷っていたようなのです。トイレの箱に連れて行くと、ほっとした
ように盛大な水音をさせました。
写真は、押し入れケースの引きだしに入ってしまったきなこです。引きだしが
あれば必ず入るのが猫というもの。少しはきなこの好奇心を満足させられたよう
です。
君の探求心に、博士（猫学）を授与しよう。
わからないままに一年が過ぎてしまいました。ずいぶん長い間くりこと暮らしていた
のに、その存在が生活から消えてしまうと、今生きているきなことの関係づくりに
精一杯になっているうちにくりこのことが頭から消えていることがありました。
それだけ、「生きているもの」の存在感が勝っているということでしょうか。小説
の『レベッカ』のように、死者が大きな存在感をもって生者を脅かすという例もあ
りますが、生前から自己主張をあまりしなかった小さなくりこは、まるで「早く
忘れて」といわんばかりに匂いを消して行きました。
それを悲しいということはたやすいのですが、あまり私が悲しみにくれると、
そっと去っていったくりこの本意にそむくような気もしないではありません。
きなこと二人で始まったこの一年。きなこはずっと自分一人でいたかのように
生活を変えていません。私はその間、父を亡くし、実家のごたごたに巻き込まれ、
命に関係ない病気をいくつかして、気がついたらたった一人になっていました。
どうやら、何かが変化しつつある時期を迎えたようです。心身が否応なく老化
してゆき、やれば何でもできるかも、などと思っていたことがままならない、
歯がゆい思い。酷な言い方ですが、もう両親の介護に悩まされることも、子の行く
末に心配することもなくなった今、私は自分のためだけに（いや、今はきなこの
タメにですが）生きて行けばよいわけです。改めて、今後の仕事と生活について
考え直す機会なのかもしれません。
そういえば、瀬戸内寂聴さんが出家したのは、私と同い年でした。私も中世に
生まれていたら、これを機に出家していたかもしれません。電光朝露の世を知る
年代なのでしょうか。
・・・などと思っている矢先、急に本と衣類の整理をしたい欲求がふつふつとわき
上がってきて、二百冊ほどの本を引き取ってもらい、もう着ないであろう衣類を
始末しました。ツイッターにも書いたのですが、居間や書斎の本の山がいくつか
減ったとたん、きなこがトイレに行かなくなりました。猫は腎臓が弱いので、一日
おしっこしないと尿毒症になる危険があります。はらはらしていたところ、どうや
ら「山」がなくなったせいで、トイレに至る「地形」が変わってしまったため、
きなこは道に迷っていたようなのです。トイレの箱に連れて行くと、ほっとした
ように盛大な水音をさせました。
写真は、押し入れケースの引きだしに入ってしまったきなこです。引きだしが
あれば必ず入るのが猫というもの。少しはきなこの好奇心を満足させられたよう
です。
君の探求心に、博士（猫学）を授与しよう。