夏への扉、再びーー日々の泡

甲南大学文学部教授、日本中世文学専攻、田中貴子です。ブログ再開しました。

アーナンダーくん登場

2009年11月29日 | Weblog
 京都市内に無料配布されている朝日新聞のPR誌『あいあいAI京都』の2009年

11月25日(木)付号から再掲載させていただいたのは・・・

なんと、「アーナンダー」くんというお名前の、北区在住の猫さんです。

 アーナンダー

 もちろんご存じ、釈迦の十大弟子の一人、智恵さとく、美男でも有名な彼で

す。日本の文献では「阿難」と書かれることが多いです。これ、「女難」と書き

かえたほうがいいと思えるような、阿難に恋した女性の話がたくさんあります。

中世後期に『法華経』についてのお坊さんの談話を説話化して記録した本には、

子どもをおんぶして井戸から水を汲んでいた女が、通りかかった阿難の美貌に

つい見とれてしまい、不注意から子どもを井戸に落っことす、というひどい話

があるのですが、この女が見ていたのは阿難の「脇の下の肌」だったというの

ですから、阿難って美男の上に肉体美も持っていたようです。そんなことがない

よう、以後、お坊さんは「横被」(おうひ)という布を肩からかけて肌を隠す

ようになった、という結果になるんですが。

 しかし、このアーナンダーくん、お寺の子でもないようだし、『聖☆おにい

さん』の影響でつけられたんでしょうか? 仏像ブームでもあることだし、これ

から猫の名前は十大弟子シリーズとか、八部衆シリーズとか、二十八部衆シリ

ーズとかがはやるかもしれません。

「うちのキンナラくんが」

とか、

「今朝、早くにゴブジョウに起こされてねー」

とか・・・・。 

 女の子の場合は、「マーヤ」さんで決まりですね。「ダイバダッタ」は、まあ、

お好みでおつけください。どんな子になっても知らんけど。

きなこ日本文学全集 (第25回配本)

2009年11月27日 | Weblog
 織田作之助 『夫婦善哉』

 きな吉は「どや、なんぞ、う、う、うまいもん食いに行こか」と蝶子を誘っ

た。法善寺境内の「めおとぜんざい」と書いた、赤い大提灯のぶら下がって

いるのを見ると、しみじみ夫婦で行く店らしかった。

 きな吉はめっきり肥えて、外が見えるキャットタワーの上におっさん座り

をすると、タワーの上板がかくれるくらいであった。

「おばはん、頼りにしてまっせ」

 
(追記:森繁久弥さんが映画で演じた柳吉はよかったですね。きなこは小豆を食べませんが、くりこは好物です。もちろん、ダイエット中のきなこにはおぜんざいなど厳禁です)

森美術館「医学と芸術展」

2009年11月27日 | Weblog
 来る11月28日(土)から2010年2月28日(日)まで、東京都港区六本木にある

森美術館で「医学と芸術展」という興味深い展示が開かれます。常々、というか

ここ数年、聖遺物やら死体やらを追いかけている私としてはぜひ見に行きたい

展示であります。なお、後援に日本医師会が名を連ねているのがおかしい。い

や、「人体の不思議展」ではないのだから、おかしくないか。あれも実はまじめ

な展示なんですけどね。

 紹介サイトには円山応挙の波の上に骸骨(全身骨格)が座禅を組んでいる絵

が載っております。医学の歴史において、写真がなかった頃はもっぱらスケッチ

で解剖図や人体図が描かれていたことは周知の事実で、レオナルド・ダ・ヴィン

チの直筆解剖図も出るらしいです。さすがにフィレンツエのラ・スペコラの蝋

人形は来ないようですが、類似のものは出展される模様。

「九相図」はなかったようで、このあたりが森美術館の限界を表しているように

も思えます。ここは現代美術がお得意のようだし、図録がとっても「芸術的」で

図版に使えないし、かつとっても高いですから。展示物の説明板がなぜか足下に

あったりして、見づらいこと限りなし。しかも、53階に美術館を作ることの危険

性をいつも感じてしまいます。何かあったとき、展示物をどうやって避難させる

のでしょうか(観客のことは何も考えていない私・・・)。

 なお、医学書やそれに関連する展示は、「内藤記念くすり博物館」という、

エーザイがやっている岐阜県各務原市の博物館にもあります。ここはサイトか

ら展示物の一部を見ることができるので便利。なぜか御伽草子もいくつか持って

います。同じサイトに「簡単にできるツボマッサージの方法」などがあったり

して、楽しいのです。

 

きなこのしっぽぐせ

2009年11月24日 | Weblog
 きなこしっぽシリーズです。

 なぜかきなこは、しっぽを股の間にはさんで寝ることが多いのです。たいてい

の犬猫は、しっぽをはさむときはおびえたり警戒したりしている、といわれる

のですが、きなこはくつろいでいるときにするのです。

 なかなか写真に撮れないのですが、連休中にそっと近づいて写しました。

 猫体の神秘・・・かも。

きなこ、ダイエット指令

2009年11月22日 | Weblog
 昨日は雑事で忙しい日でしたが、きなこが朝、鼻を詰まらせているので動物病

院へ連れて行きました。ちょうど京都は紅葉の盛り、観光客で道が混んでいま

す。きなこはおとなしくキャリーに入っているのですが、外の様子がわからな

いのと、嫌いな病院へ行くことがわかっているので、時々「うううに」と小さ

く鳴いていました。

 診断は、エキゾの器質的なものと風邪でしたが、きなこは気道が細いので

鼻つまりにはなりやすいでしょう、とのこと。そして、

「肥満もいけないんですよ」

だって・・・。きなこ、現在4.1キロでやや太めなのですが、人間でも肥満し

た人が睡眠時無呼吸症候群になりやすりのと同じく、気道が圧迫されるら

しいのです。

「理想は3キロ台ですね」

と先生に宣言され、食事指導を受けたものの・・・。

 帰宅したら夕ご飯時で、きなこはすぐにご飯台へ向かうのでした。食欲が

あるのはいいけれど、どうしたもんか。カリカリの量を減らせば、またまた

朝5:50の「くれくれご飯、早くご飯」コールがひどくなるでしょう。

 思案中の私をよそ目に、きなこはぬくぬくの床に仰向いて寝転んでいます。

おなかのふくらみが、トトロ的に見えます。

 がんばろう、ダイエット めざせ,3.99キロ

「著者近影」に困る・アットファッション@わたくし

2009年11月22日 | Weblog
 昨年春にメディアファクトリーから出した、漫画家の田中圭一さんとの共著『セクシイ古文』が、このたび新書として刊行されることになった。中身は同じだが、もっとお手軽に手にとっていただけるようになる。
 ところが、編集Kさんから思わぬ依頼が。
 「著者近影」を載せるので、写真を撮る、というのである。困った。私は写真が苦手である。今までの「著者近影」でも、プロの手になるものはなく、適当に手許にある写真を提出していたのだ。
 Kさん提案はまだ続く。服装を考えるべし、というのである。これも困る。私の服はちょっと変なものばかりだからだ。いわゆるスーツというのは夏冬で一着しか持っておらず、ちゃんとした場でもジャケットとスカートを別々に合わせている。

 「たとえば、ですが、黒のジャケットに白いシャツとか」

とKさん。シューカツみたいでこの組み合わせは嫌いだし、私がシャツカラーを着るとすごくきつく見えるのである。

 実は、シャツ、というものは一枚も持っていないのだ。それには理由がある。
 白い綿シャツを着こなすのはとても格好のよいものだが、いかんせん、このメンテナンスが大変だからだ。会社員の男性が毎日着るようなシャツなら、まとめてクリーニング屋に任せてよいが、女性の白綿シャツって手でアイロンをかけないとうまくゆかないのである。そして、私がアイロンをかけるとたいがいどんないいものでもしおたれてなさけなーい姿になってしまう。また、アイロンをかける手間も惜しい。
 そういうわけで、私は十年ほど前に綿シャツというものを買わないように決めたのである。インナーに着るのは洗濯しても型崩れせず、アイロンなしで大丈夫なカットソー系で、タートルネックか丸首だ。

 ちなみに、私は以前勤務していた女子大の卒業生がカラーアドバイザーとかいう「あなたは何色が似合うか」ということをアドバイスする検定(色彩検定、だったかな)を受けるというので、検査してもらったことがある。よく雑誌などにも載っているようだが、日本人は肌と髪の色などによりほぼ四種類に分けられるという。ブルーベースのクール、ブルーベースのウオーム、イエローベースのクール、イエローベースのウオーム、である。これをどうやって決めるかというと、素顔の首の下に色々な色の布を当てて、顔色がどう映るか見るのだ。
 その結果、私はイエローベースのクールとウオームの間、という判定になった。似合う色は黒より茶色、紺より緑、赤よりオレンジ、しかもちょっとでも黄味が入っているものがよい、とのこと。
 たしかに、考えてみると私はブルー味の勝った紺色がものすごく似合わなかった。病気のような顔色になるのである。何となく避けていた色が見事に判定で当たったので、なるほど、という感じ。
 カーキ色も似合う色の一つで、私は中学生のころから何となくよく着ていた。ところがある日、冬のこととてロングブーツにカーキ色のコートで学校へ行こうとしていた私に、父が苦々しくこういった。

「国防色と長靴(チョーカ、と父は発音した)は着んといてくれへんか」

 カーキ色を見ると、戦争時を思い出すので嫌だったらしい。それもわかるけどな。父の前では、好きなグリーンが沢山入っている迷彩柄も御法度であった。
 年代ごとに色に対する感覚は違うものである。

 さてさて、当の服装についてであるが、Kさんと電話で協議した結果(スタイリスト、などがつかない悲しさ)、手持ちのジャケットを考えて4案ほどにしぼられた。広告に全身写真を使うかもしれないので、スカートも組み合わせる。インナーは「顔まわりは白で」ということになった。
 しかし、写真は魔物だから実物と映り具合がまったく違うので、これも困る。私は講演会などのとき、少しでも元気に見せようと顔周りにオフホワイト(年とってきたから、「輝く白」はかえって顔がくすむ。これは着物の半襟も同じで、先日着物の点検をしていて、長く着ていない訪問着を当ててみたら、ぞっとするくらい似合わなくなっていた。悉皆屋さんに相談したら、半襟の色を替えてみよといわれた)のインナーやネックレス、光るピアスなどをするのだが、写真ではアクセサリーなどほとんど目立たなくなってしまうのだ。
 光るピアスをすると顔が明るく見える、というのは宇野千代さんの本で知った(千代さんはピアスではなくイヤリングで、真珠とダイアモンドしかしなかったらしい)。宇野千代さんのファッションは、ちょっとかぶいたところを含めて私のあこがれである(あと、老年になったらぜひまねしたいのは草間弥生さんね。ピンクの髪に水玉の服とか。白髪がもっと進んだら脱色しないでいいから染めるのは楽かも)。
 前回の「アットコスメ」に続き、おしゃれ話でした。
 あ、そうだ。美容院にも行っておいてください、とのことだった。予約しなきゃ。

アットコスメ@わたしく

2009年11月20日 | Weblog
化粧品がわりと好きですが、あんまり高いものは使っていません。今の時期はと

ても乾燥するので、毎年「何買えばいいかな?」と思いつつドラッグストアに行

きます。

さて、写真は、今はもう売っていない(らしい)資生堂の「オイデルミン」とい

う化粧水の瓶に、特価599円の「極潤ヒアルロン化粧水」を詰め替えたもの。こ

のオイデルミンというのは、もとは薄赤い色の拭き取り化粧水で、なんと500円で

あります。どこかのドラッグストアで、「いかにも昔の資生堂」という感じの瓶

に一目惚れして購入。この、ちょっとゆがんだように見えるガラス瓶が、漱石の

「硝子戸の中」みたいでしょ? ラベルもアールヌーボー風の薔薇が素敵です。

 なお、中身の「極潤」化粧水は乾燥にかなり効きます。高い化粧水をけちって

使うより、これでコットンパックする方が私にはいいようです。あー、しぶちん。

 たまにデパートでしか売っていない化粧品も買いますが、あるとき、顔見知り

の美容部員さんからこんな話を聞きました。彼女は20代後半で、立命館大で社

会学を専攻したといい、よく化粧品マーケティングの話をします。

「最近、クリーム小豆粒くらい、とかいう表現がなくなったね」と私。

「そうなんですよ。小豆とか大豆とか、見たことない若い人が増えたからです。

小さいパール粒くらい、とか言うんですよ。でもね、米粒はほかにたとえようが

ないんです」と彼女。

「たしかにね。米粒は言い換えにくいねー」

「このあいだ、10代のお客さんにアイクリームをお勧めしたんですが、片目お

米一粒くらいです、と適量をお教えしたら、『それは炊いたお米ですか?それ

とも生のお米?』と聞かれて絶句しましたよ」

「・・・・・・(絶句)」

 「米粒」は生で、炊いたのは「ごはん粒」ではなかろうか?


*11月22日・追記
この写真のオイデルミンは正確にいえば「オイデルミンN」といい、明治30年
発売のロングセラーだそうである。現在は新バージョンの「オイデルミン」
が、中身をまったく新しくして発売中(私の「姉」的研究者Kさんからの
情報による)。

またまた微妙な距離

2009年11月20日 | Weblog
床暖房を入れてから、このような呉越同舟状態がよく見かけられます。

くりこが寝ているのは、最近よくいるキャットタワーの足下です。きなこは、床暖

房がほとんど届いていない床の端っこに寝ています。なぜだ?

くりこの毛がもつれているのに、なかなかブラシを入れさせてくれないのがとって

も気になる・・・。

少年A? 再び

2009年11月18日 | Weblog
臨時ニュースです。

本日午後8時頃、京都市某区某町○ー○の田中貴子さんから、「カーテンの陰から

なにものかが覗いている」との通報がありました。田中さんは今日、誕生日だった

ので、「特製白チゲ鍋朝鮮人参入り」を調理し、窓に近い食卓に運んで食べようと

したところでした。同居のくりこさん(14)は、お肉のお裾分けを期待して食卓の

上に登ろうとしており、いち早く「覗き」を発見して「ファー」と威嚇しました。

カーテンをめくってみたところ、覗いていたのは同居のきなこくん(1)と判明しま

した。きなこくんは、田中さんの誕生日をサプライズで祝うため、カーテンに隠れ

ていたわけではなく、単に窓の外を眺めていただけでした。

きなこくんは「ママの誕生日は、お祝いするような年齢ではないから隠れて星を見

ていた」と話しています。田中さんは「きなこの言うことはたしかに当たってい

る。朝鮮人参を食べようとしたのは年齢のためだったのだと再認識した」と反省し

ています。

その後、きなこくんは鍋には目もくれず、かりかりを食べに行ったそうです。

猫新聞ニュースがお伝えしました。

きなこもお手伝い、かな?

2009年11月14日 | Weblog
 今年の四月に購入していた、ヒューレット・パッカード製のネットノート「ヴィ

ヴィアンタム・エディション」は、ケース全体が真っ赤で、蓋の上には華麗な芍薬

の花が描かれております。最近はもっぱらこれにdocomoを繋いで持ち歩いているの

ですが、案外容量が多く、一太郎くんもパワーポイント2007も余裕で入ります。

 もともとヴィヴィアン・タムの洋服が好きだったので即購入したものですが、今日、病

院から帰って某データベースに接続しようとして立ち上げたら・・・あっという間

にきなこが手をキーボードの上に置いちゃった。

 君、お手伝いしてくれるんだったら、まずブラウザを立ち上げないとだめだよ。

 しげしげと見れば、きなこの掌は、とてもキーボードを打てるような小ささでは

ありませんでした。うーん。

 お手伝いには、まだまだ道遠し。