当記事のオリジナル作製は2007年1月11日です。データを整理して再公開することを計画していたのですが、なかなか作業が進みませんため、とりあえずもう一度このオリジナルのまま再公開することといたしました。
長期成績に関しても、もう一度データを整理していきたいと考えております。
2018年6月25日
august03
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
専門誌 Spine. 2007 Sep 15;32(20):2198-207
タイトル A prospective study of brace treatment versus observation alone
in adolescent idiopathic scoliosis: a follow-up mean of 16 years
after maturity.
思春期側弯症に対する装具療法と無治療(観察のみ)のプロスペクティブ
比較研究 : 骨成熟後平均16年間の観察
........................................................................
第二次研究の時間軸と患者背景説明 :
1985~1989 初回SRS研究 (思春期特発性側弯症患者に対する装具療法効果)
年齢 10歳~15歳 全員女子
コブ角度 25度~35度
側弯症タイプシングルカーブ (胸椎側弯症と胸腰椎側弯症)
41患者 装具療法
65患者 観察のみ(治療は何もせず検査のみ実施)
これらの患者に対して、骨成熟が完了したと記録された時点から、最小でも10年、
最大19年、平均16年後の状態を調査しました。
下記は、装具療法患者で調査できた35人の平均16年後のデータです。
年齢 平均33歳 (28.0歳~36.4歳)
経過年 平均16.3 年 (10.9年~19.4年)
装具終了時のコブ角 平均26.4度 (14度~37度)
現時点でのコブ角 平均31.9度 (19度~48度)
平均16年間中に6度以上進行例 16例 (45.7%)
同コブ角の変化 平均5.7度 (マイナス3度~21度)
45度以上進行例 1例 (3.3%)
手術例 ゼロ
............................................................
(august03より)
*スウェーデンの別の研究でも示されていましたように、側弯症は骨成熟後も
カーブ進行はありえます。しかし、それは、平均値を視点にしますと
5.7度 ÷ 16年 = 0.3度 という数値であり、非常にわずかなものです。
この研究では、1患者さんが不幸なことに48度に進行したために、全体の平均値を
押し上げていることと、約50%の確率で6度以上の進行が発生していることが
平均コブ角31.9度という結果に繋がっています。
*14度の患者さんが19度~20度に進行したとしても、本人には自覚症状のない
マイルドカーブです。思春期での装具療法開始が25度ですから、
16年後に25度前後に進行していたとしても、日常生活にはなんら不便はないと
思います。
*平均33歳ですから、それ以後の生活を考えた場合、平均値を視点にしますと
30年(63歳) x 0.3度 = 9度 平均32度+9度=41度
40年(73歳) x 0.3度 = 12度 平均32度+12度=44度
手術には微妙なコブ角度であり、おそらく腰痛等を抱えることにはなるでしょう
が、それだけの理由では手術をする必要性はないと想像します。
*注意が必要なのは、カーブ進行が大きくなる例があるので、やはり定期的に
整形外科で検査を受ける、という意識は持つべきと思います。
*さらに大切なことは、思春期の時点で、できるだけカーブを抑え込んでおくこと
仮に骨成熟後に進行があったとしても、装具治療終了時点で、たとえば20度に
抑えこめた場合と、40度で終了した場合では、当然カーブの大きいほうが、
その後のリスクも大きくなる、ということです。
///////////////////////////////////////////////////////////////////
ブログ内の関連記事
「特発性側弯症 20年後のアウトカム No.4」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/4ddf60ab567dd7231bc02f555d416ac9
長期成績に関しても、もう一度データを整理していきたいと考えております。
2018年6月25日
august03
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
専門誌 Spine. 2007 Sep 15;32(20):2198-207
タイトル A prospective study of brace treatment versus observation alone
in adolescent idiopathic scoliosis: a follow-up mean of 16 years
after maturity.
思春期側弯症に対する装具療法と無治療(観察のみ)のプロスペクティブ
比較研究 : 骨成熟後平均16年間の観察
........................................................................
第二次研究の時間軸と患者背景説明 :
1985~1989 初回SRS研究 (思春期特発性側弯症患者に対する装具療法効果)
年齢 10歳~15歳 全員女子
コブ角度 25度~35度
側弯症タイプシングルカーブ (胸椎側弯症と胸腰椎側弯症)
41患者 装具療法
65患者 観察のみ(治療は何もせず検査のみ実施)
これらの患者に対して、骨成熟が完了したと記録された時点から、最小でも10年、
最大19年、平均16年後の状態を調査しました。
下記は、装具療法患者で調査できた35人の平均16年後のデータです。
年齢 平均33歳 (28.0歳~36.4歳)
経過年 平均16.3 年 (10.9年~19.4年)
装具終了時のコブ角 平均26.4度 (14度~37度)
現時点でのコブ角 平均31.9度 (19度~48度)
平均16年間中に6度以上進行例 16例 (45.7%)
同コブ角の変化 平均5.7度 (マイナス3度~21度)
45度以上進行例 1例 (3.3%)
手術例 ゼロ
............................................................
(august03より)
*スウェーデンの別の研究でも示されていましたように、側弯症は骨成熟後も
カーブ進行はありえます。しかし、それは、平均値を視点にしますと
5.7度 ÷ 16年 = 0.3度 という数値であり、非常にわずかなものです。
この研究では、1患者さんが不幸なことに48度に進行したために、全体の平均値を
押し上げていることと、約50%の確率で6度以上の進行が発生していることが
平均コブ角31.9度という結果に繋がっています。
*14度の患者さんが19度~20度に進行したとしても、本人には自覚症状のない
マイルドカーブです。思春期での装具療法開始が25度ですから、
16年後に25度前後に進行していたとしても、日常生活にはなんら不便はないと
思います。
*平均33歳ですから、それ以後の生活を考えた場合、平均値を視点にしますと
30年(63歳) x 0.3度 = 9度 平均32度+9度=41度
40年(73歳) x 0.3度 = 12度 平均32度+12度=44度
手術には微妙なコブ角度であり、おそらく腰痛等を抱えることにはなるでしょう
が、それだけの理由では手術をする必要性はないと想像します。
*注意が必要なのは、カーブ進行が大きくなる例があるので、やはり定期的に
整形外科で検査を受ける、という意識は持つべきと思います。
*さらに大切なことは、思春期の時点で、できるだけカーブを抑え込んでおくこと
仮に骨成熟後に進行があったとしても、装具治療終了時点で、たとえば20度に
抑えこめた場合と、40度で終了した場合では、当然カーブの大きいほうが、
その後のリスクも大きくなる、ということです。
///////////////////////////////////////////////////////////////////
ブログ内の関連記事
「特発性側弯症 20年後のアウトカム No.4」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/4ddf60ab567dd7231bc02f555d416ac9