(2015/4/4)
検索ワードにて、「脊柱側弯、学校保健、検診」というような用語で調べますと
各県での側弯症検診の取組みの資料が PDFでダウンロードできます。
それらの幾つかを読みながら、あらためて「特発性側弯症」の環境、ということ
について考えていました。
特発性側弯症を考える場合、幾つかの切り口がありますので、そのことについて
何回かに分けて、記載していきたいと思います。
「学校 (地域)における 側弯症検診」
ここに記載しますのは、あくまでも私august03の個人的意見です。
日本の場合、幸いにも「側弯症検診 .....学校でのスクリーニング」が制度化され
実施されている環境にいることは、幸いだと思います。実施には決して
少なくはない予算が用いられているわけで、この検診があることで、
早期に発見できた方々も大勢おられるはずです。
一方、この検診があまり生かされていない、という側面もあるのも事実ですし
また、この検診が「本当に医学的に効果があるのか?」という側面から、
クエッションがあることも、海外の医学誌では研究されています。
SPINE Volume 35, Number 10, pp 1061–1071
A Meta-Analysis of the Clinical Effectiveness of School
Scoliosis Screening
Study Design.
A meta-analysis that systematically reviewed
the evaluation studies of a scoliosis screening
program reported in the literature.
中略
Conclusion.
The use of the FBT alone in school scoliosis
screening is insufficient. We need large, retrospective
cohort studies with sufficient follow-up to properly assess
the clinical effectiveness of school scoliosis screening.
上記の文献で述べられている結論のひとつとしては、
スクリーニングで「forward bending test (FBT)」だけで、判定することには
精度が低すぎる。ということです。
宇野耕吉先生の書かれた文献にも、類似の記載があります。
「側弯症診察におけるAdam's test(Adam's forward bending test)」
......略...... このテストで診断できるのは背骨の回旋変形である。
しかし、スポーツの中で、テニスや野球などの片方の背筋がより発達する
競技を行っている児童の場合、ないしは肋骨の変形のみが存在する場合
にも、bending testが陽性になってしまう。また、側弯の定義は、
全脊柱立位正面X像撮影で10度以上の弯曲を有するものとされており、
回旋変形と側弯の程度とは必ずしも一致しない。略
非常にfalse positive例が多い。以前、側弯症学校検診において
著者自身がすべてbending testを行い側弯ありと診断しX線検査を
行った児童を調べた際、約半数が10度未満(すなわち側弯なし)
の弯曲であった。側弯症の正確な診断には、立位、臥位全脊柱正面像
での比較が必須である。
備考by august03
・テストが陽性とは、つまり、検査の結果「何々と診断されます」という意味。
この場合は、側弯症の疑いあり、と診断された。という意味になります。
・false positiveとは、「本当は、陽性ではないのに、陽性の結果になった」
という意味。つまり、誤診断と同義。
・bending test等の方法については、下記のサイトからも見ることができます。
http://www.orthopro.co.za/orthotics/spinal-orthosis/what-is-scoliosis/
上記ふたつの文献だけで判断はできませんが、教訓的なものを引き出すとしますと、
①利用できるものを否定する必要はありませんので、
学校検診は受けるほうが得策です。
②ただし、学校検診だけで、確定はできません。
③疑いあり、と診断されたら、必ず専門医にて、
レントゲン写真撮影をしてもらい専門医の診断を受ける。
閑話休題
この記事を書くために、ネット検索をしていて、ひとつのブログが目にとまりました。
学校検診で側弯症と言われた。という内容に対して、数多くの同様の経験を持たれる
方々からのコメントが書かれていました。
それを読みながら、8年前のインターネットの書き込みとは、
ずいぶんと様相が変わった、という印象を持ちました。
あの頃は、本当にひどかったものです。
書かれたコメントには、必ず、「東京の〇〇整体がいいです」「〇〇整体で治りました」
という書き込みの多かったこと。
時代が変わり、正しい認識が広がっていると信じています。
august03
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?
検索ワードにて、「脊柱側弯、学校保健、検診」というような用語で調べますと
各県での側弯症検診の取組みの資料が PDFでダウンロードできます。
それらの幾つかを読みながら、あらためて「特発性側弯症」の環境、ということ
について考えていました。
特発性側弯症を考える場合、幾つかの切り口がありますので、そのことについて
何回かに分けて、記載していきたいと思います。
「学校 (地域)における 側弯症検診」
ここに記載しますのは、あくまでも私august03の個人的意見です。
日本の場合、幸いにも「側弯症検診 .....学校でのスクリーニング」が制度化され
実施されている環境にいることは、幸いだと思います。実施には決して
少なくはない予算が用いられているわけで、この検診があることで、
早期に発見できた方々も大勢おられるはずです。
一方、この検診があまり生かされていない、という側面もあるのも事実ですし
また、この検診が「本当に医学的に効果があるのか?」という側面から、
クエッションがあることも、海外の医学誌では研究されています。
SPINE Volume 35, Number 10, pp 1061–1071
A Meta-Analysis of the Clinical Effectiveness of School
Scoliosis Screening
Study Design.
A meta-analysis that systematically reviewed
the evaluation studies of a scoliosis screening
program reported in the literature.
中略
Conclusion.
The use of the FBT alone in school scoliosis
screening is insufficient. We need large, retrospective
cohort studies with sufficient follow-up to properly assess
the clinical effectiveness of school scoliosis screening.
上記の文献で述べられている結論のひとつとしては、
スクリーニングで「forward bending test (FBT)」だけで、判定することには
精度が低すぎる。ということです。
宇野耕吉先生の書かれた文献にも、類似の記載があります。
「側弯症診察におけるAdam's test(Adam's forward bending test)」
......略...... このテストで診断できるのは背骨の回旋変形である。
しかし、スポーツの中で、テニスや野球などの片方の背筋がより発達する
競技を行っている児童の場合、ないしは肋骨の変形のみが存在する場合
にも、bending testが陽性になってしまう。また、側弯の定義は、
全脊柱立位正面X像撮影で10度以上の弯曲を有するものとされており、
回旋変形と側弯の程度とは必ずしも一致しない。略
非常にfalse positive例が多い。以前、側弯症学校検診において
著者自身がすべてbending testを行い側弯ありと診断しX線検査を
行った児童を調べた際、約半数が10度未満(すなわち側弯なし)
の弯曲であった。側弯症の正確な診断には、立位、臥位全脊柱正面像
での比較が必須である。
備考by august03
・テストが陽性とは、つまり、検査の結果「何々と診断されます」という意味。
この場合は、側弯症の疑いあり、と診断された。という意味になります。
・false positiveとは、「本当は、陽性ではないのに、陽性の結果になった」
という意味。つまり、誤診断と同義。
・bending test等の方法については、下記のサイトからも見ることができます。
http://www.orthopro.co.za/orthotics/spinal-orthosis/what-is-scoliosis/
上記ふたつの文献だけで判断はできませんが、教訓的なものを引き出すとしますと、
①利用できるものを否定する必要はありませんので、
学校検診は受けるほうが得策です。
②ただし、学校検診だけで、確定はできません。
③疑いあり、と診断されたら、必ず専門医にて、
レントゲン写真撮影をしてもらい専門医の診断を受ける。
閑話休題
この記事を書くために、ネット検索をしていて、ひとつのブログが目にとまりました。
学校検診で側弯症と言われた。という内容に対して、数多くの同様の経験を持たれる
方々からのコメントが書かれていました。
それを読みながら、8年前のインターネットの書き込みとは、
ずいぶんと様相が変わった、という印象を持ちました。
あの頃は、本当にひどかったものです。
書かれたコメントには、必ず、「東京の〇〇整体がいいです」「〇〇整体で治りました」
という書き込みの多かったこと。
時代が変わり、正しい認識が広がっていると信じています。
august03
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?