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側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

大人の側わん症 装具治療後 23年間の結果 

2008-06-12 01:25:38 | 大人の側弯症進行
大人の側わん症シリーズとして:


掲示板:脊柱側わん診察より引用

投稿者:ゆう 投稿日:2008年 6月 8日(日)13時12分43秒
私は今年の春に高校入学をしました。 入学後すぐに行われた健康診断で"側わん症"
とお医者さんに言われました。今までの同じような健康診断では何も言われなかっ
たのですが、急にそう診断されてしまいました。お医者さんに行くのも嫌だし、
まぁ良いか。と思っていたのですが、やっぱり気になって、学校の保健の先生に聞
きました。"姿勢を良くすれば治るものもあるし、進行性のものは命に関わるものも
ある。" と言われてとても不安です。ここに書いてあることを見ると、手術とか書
いてあって何だかとても怖いです。 明日接骨医院に行って来ます。

→高校で脊柱側わん検診? 内科検診"側わん症"の診断?
 その健康診断で指摘した医師にしても、保健の先生にしても、整形外科で診て
 もらうように指示をしなかった ?

投稿者:ゆう 投稿日:2008年 6月 8日(日)14時58分47秒
私は腰の側わん症なんですが、左右比べると高さが違うのがすごくわかります。
一生治らないと他のサイトにも書いてあって、これから悩まされるのかと思うと悲しくてなりません...。

→健康診断で「腰の側わん症」と指摘されている? レントゲンも撮らずに誰が
 確定診断しているの ?
 
投稿者:ゆう 投稿日:2008年 6月 9日(月)16時57分19秒
今さっき整形外科に行って来ました。 外から見ただけじゃわからないと言われ、
レントゲンを撮りました。やっぱり背骨が曲がっており、突発性側湾症でした。
でも、ぴおぴおさんの言う通り、もう高校生だし身長も伸びないと思うからこの
ままで大丈夫だと言われました。 姿勢良く生活して下さいとのことです。

→「もう高校生だし身長も伸びないと思うからこのままで大丈夫だと言われました
  姿勢良く生活して下さいとのこと」
 もし、これが本当に整形外科医師の診断であるとすれば、その整形外科医師は
 医師として失格でしょう。
 少なくとも、
 「進行はしないと思うが、経過観察のために3ヶ月後にもう一度レントゲンを
 撮って確認しましょう。進行しているようであれば、装具療法も考えなければ
 なりません」 と、指導するのが一般的です。
 高校一年生だから成長期が終了したとは確定できません。
 後日、誤診をしていれば、訴えられる可能のある時代に、一度レントゲン撮影
 しただけで、もう来なくて良い。などとは怖くて言えない時代です。 


(august03より)
イントロとして ↑ をもってきました。矢印の→は私のコメントです。
この投稿者が本当に患者であるとしたら、リスクを背負ったままこれからの人生を
歩むことになります。その理由は、このブログを読んでおられる皆さんには十分に
おわかりだと思います。
でも、私は、この投稿者は整体が患者のフリをして書いていると見ています。
話の経過が不自然すぎます。いかに側彎症に疎い整形外科医であっても、上記の
ような診断と最終判断はしないはずです。いま、先生がたにとって一番怖いのは
医療裁判なのですから。

この投稿者以外にも、かなり患者のフリをしたこども達が登場しています。
なぜ、そういうことをするのか? それは、善意で回答してくれる人たちがレスを
してくれることで、この整体の掲示板が回転して、ネット上で「何も事情を知らな
い人たち」にそれっぽく見えるからです。人の目に触れる イコール 大塚整体の
宣伝になる。という図式を狙っているのです。

なんであれ、この掲示板に、ふたつの「誤解を生むタネ」がまかれてしまいました

1. 側わんしょうは身長(成長)が止まって骨が大人になれば進行しない病気だ
  そうです。もう高校生なのならば、ねじった姿勢での勉強やTV鑑賞などには
  気をつけて

2. もう高校生だし身長も伸びないと思うからこのままで大丈夫

こういう間違った情報がネットに残るから、本当の患者(そのお母さん)に大きな
被害を及ぼすことになるのです。 正しい知識と正しい情報が患者(そのお母さん)
に届く事が大切です。
レスをつけている人たちは善意のつもりなのでしょうが、善意が決して人(患者)の
ためにならないことのあることも、考えなければ、この日本の側彎症患者さんを
取り巻く環境は改善しません。


話を本題に戻します。
思春期特発性側弯症は、骨成長の終了とともに、カーブが進行しない。というのは
医学的事実ではありません。そこで全てが解決した、とはならないところにこの
側彎症という病気の辛い現実があります。

添付の写真は、今回取り上げた海外文献に掲載されていたレントゲン写真です。

   初診時         14歳 コブ角29度
   骨成長終了(装具終了)時 20歳    53度
   9年後          31歳    58度

ひとつの典型的な例ですが、骨成長終了後も、じわじわとカーブが進行する患者
さんが存在します。この患者さんの場合ですと、約0.5度/年 ということで
この0.5度/年という数値は、他の研究と一致しています。

私、皆さんを恐怖に陥れるのが目的ではありません。
上記の例もさらに解説しますと、この文献はスイスにおける研究なのですが、
調べている患者さんは、1940年~1990年までの間に診察した人たちで、装具または
理学療法を施された患者さんがたです。そのような相当に古い時代の治療ですから
装具の程度も、装着時間に対する考え方もいまとはまったく異なっていたと考え
られます。理学療法だけしか施されていない患者が半数には存在します。
上記例で、考えなければならないのは、20歳の時点ですでに53度であった。という
点です。現代であれば、この時点で手術適応として、医師と患者さんの間で話合い
がもたれることでしょう。この患者さんのその後のことは書かれていませんが、
31歳で58度ということは、40歳68度、50歳78度...... 中年以降で手術実施という
経過をたどることが予測されます。

前回も記しましたが、大人の側彎症にも次のような法則が見られます

大人の例 : いったん成長がストップした後は、カーブ進行のリスクは最小であり
50度以下の胸椎側わんや30度以下の腰椎/胸腰側わんではほとんどリスクはない。
50度以上の場合は、ゆっくりと年に0.5度~1度ほど進行するかもしれない。


装具療法により、できるだけカーブを小さくする/大きく進行しないように抑える
こと。せめて装具終了時点で30度台で収まってくれれば、その後のリスクはかなり
小さくすることできるでしょう。それと、全ての患者さんが、進行するわけでは
ありません。
どれくらいの患者さんで、骨成熟後も進行することがあるかについては、今回の
文献で説明したいと思います。

.......この続きは、後日追記していきます。


専門誌 Spine. 2006 Feb
タイトル Nonoperative treatment for adolescent idiopathic scoliosis:
a 10- to 60-year follow-up with special reference to health-related
quality of life. (スイス)

STUDY DESIGN: Retrospective study on patients 10 to 60 years of age after
nonoperative treatment for adolescent idiopathic scoliosis (AIS).
OBJECTIVES: To investigate long-term outcome with regard to pain,
disability, psychological disturbance, and health-related quality of life
(HRQOL) in nonoperatively treated patients with AIS. SUMMARY OF BACKGROUND
DATA: Only little is known on the long-term quality of life and disability
in patients nonoperatively treated for AIS. A detailed knowledge of the
nonoperative treatment results is important when advising patients for
surgery. METHODS: A total of 135 nonoperatively treated AIS patients with a
minimum follow-up of 10 years were included in this investigation, 121 of
whom responded to a questionnaire containing questions on pain, disability
(Oswestry Disability Index [ODI], Hannover Functional Ability Questionnaire
[HFAQ], psychological general well-being [PGWB], and health-related quality
of life [WHOQOLBREF]). Eighty-one patients participated in a
clinical/radiologic follow-up examination. Nonoperative treatment consisted
of bracing (n = 60), physiotherapy (n = 59), and electrical stimulation (n
= 2). The overall follow-up rate was 89.6%. The mean age at follow-up was
38.0 years (range, 20-73 years.). RESULTS: In general, patients achieved a
satisfactory outcome 10 to 60 years (mean, 23 years) after nonoperative
treatment with regard to pain, disability, and HRQOL. The average curve at
first diagnosis measured 29.5 degrees (range, 15 degrees -59 degrees ) for
the thoracic spine, 21.3 degrees (range, 15 degrees -28 degrees ) for the
thoracolumbar spine, and 26.8 degrees (10 degrees -44 degrees ) for the
lumbar spine. Thirteen patients showed a substantial change in curve size
(+/-10 degrees ) between first diagnosis and end of growth: 11 curves
progressed more than 10 degrees showing an average increase of 19.0 degrees
(range, 12 degrees -30 degrees ) and 2 patients presented with less severe
curves at follow-up (-10 degrees and -13 degrees ). After end of growth, 7
patients showed a substantial average increase of 16.3 degrees (range, 10
degrees -31 degrees ). Five of eight patients with thoracic curves greater
than 80 degrees had restrictive pulmonary disease. Patients with curves
greater than 45 degrees reported significantly higher pain levels than
those with smaller curves. Patients only showed a minimal absolute
disability (Oswestry and HFAQ), and no significant correlation was found
between curve size and curve type, respectively. Compared with a healthy
control group that was matched for age and gender, no significant
differences were found in terms of HRQOL as assessed by the WHOQOLBREF
questionnaire. No significant differences in pain, disability, or HRQOL
were found between patients with and without brace treatment. CONCLUSIONS:
Although pain, disability, HRQOL, and psychological general well-being are
quite satisfactory on an absolute level, curve size was found to be a
significant predictor for pain in a long-term follow-up.

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