側弯症と脊髄空洞症

(添付写真は、岡山市立市民病院脳神経外科ホームページより借用させていただきました)
(左図上矢印はキアリ奇形部 chiari malformation　下矢印は空洞 syrinx)
(右図はダブルカーブ側弯症)

今回は、側弯症と脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)についてです。
ただし、この脊髄空洞症は脳外科に関与する病気であり、私 august03が説明できる
類の病気ではありませんので、詳細は、下記に示しましたような専門のサイトや
これ以外にも多くの患者ブログ、患者友の会のサイトがございますので、ネットにて
検索のうえ、そちらをご参照下さい。

august03より皆さんへの注意喚起は、
思春期特発性側弯症のなかには、脊髄空洞症を発症している患者さんが10%程度は
含まれていること、10歳以下の患者さんの場合は25%程含まれているということが
専門医より指摘されています。専門医師の精密な検査を受けることなく整体などの
民間療法者の施術により、脊髄障害、ときには命に関わることになってしまいます
素人判断や、整体の無責任な言説にはくれぐれも注意して下さい。
側弯症のかげに隠れた病気がある、ということを決して忘れないで下さい。

某掲示板でときに、頭痛を訴える患者さんや手足のしびれや温感の異常感を訴える
発言を見ます。以前にも書きましたが、多くの掲示板はあなたの病気を診断したり
治してくれたりはしません。すべきことの第一は、専門医師のいる病院にいき、
しっかりと検査してもらい、確定診断をしてもらうことです。
身体の異常のなにもかもが、側弯症に由来するものではありません。時には、
側弯症に対する過剰な精神の興奮や不安が体調不良に繋がっている場合もあります
お母さんが過剰に心配しすぎて、側弯症とは無関係の症状をすべて「側弯症だから」
というように過剰反応している例もあります。
そのような神経過敏になることから解放される為にも、すべきことの第一にして
唯一のことは、専門医師の病院でレントゲン撮影はもとより、MRI等により検査を
行い、側弯症のかげに隠れた病気がないことを確認してもらうことです。

ネット検索をすると、側弯症をいとも簡単な病気で、いとも簡単に「治す」という
宣伝を踊らせている整体が氾濫していますが、彼らは、皆さんのこどもの人生と
命にはまったく関心のない、無責任な存在だということを忘れてはいけません。


日本側弯症学会 ホームページ Q&Aより
http://www.sokuwan.jp/QandA.html
Q.神経系に異常を認めることがありますか?
A.神経系に異常のある側弯症と、異常のない側弯症があります。
以前には特発性側弯症と診断されていた患者さんのなかに、脊髄空洞症を有する人
が混じっていることが、ＭＲＩという検査法の発達により分かってきました。
このような原因による側弯症は、正しくは、神経・筋性側弯症に分類されます。

Mymed 側弯症より
http://203.138.161.166/wiki/index.php/%E5%81%B4%E5%BC%AF%E7%97%87
一部引用させていただきます
「(前半略)......キアリ奇形・脊髄空洞症は思春期側弯症では10%前後だが、
10歳以下の側弯では25%程度ある。キアリ奇形(きけい)・脊髄空洞症は頭痛や手足の
しびれなどさまざまな症状を引き起こすこともあるが、側弯症が唯一の症状である
ことも少なくない.....(後半略)」

医療法人鉄蕉会　亀田メディカルセンター
http://www.kameda.com/faq/examine/examine_04.html
一部引用させていただきます
Q もともと側湾症で診療していますが、最近になってキアリ奇形にともなう脊髄
空洞症と言われました。進行を予防するために手術を考えています。

A 脊髄空洞症とは、脊髄内に空洞（水たまり）を形成する慢性進行性の疾患で、
１．キアリ奇形（小脳の一部が脊柱管内に落ち込んでしまっている状態）、
２．脊髄腫瘍、３．脳底部および脊髄くも膜炎、４．脊髄外傷、５．脊髄髄膜瘤、
６．その他などの原因が知られています。
腕から手にかけての痛みやしびれなどの不快感で発症する事が多く、せき込んだ時
やトイレでいきんだ時など、腹圧がかかる動作に伴う頭痛も特徴の一つとされてい
ます。小児期に発症した場合脊椎側弯症を合併する症例が多く、学校の検診で側弯
症を指摘され、その精査中に発見されることも少なくありません。
現在でも、手術療法が唯一の治療法です。脊髄空洞症に伴う症状があり、MRI等の画
像診断で空洞が確認された場合には手術をお勧めしています。
空洞症に対する手術はあくまでも症状の進行を予防するものであり、病状が進行し
てから手術を行っても、運動麻痺や知覚障害の回復はあまり期待できません。早期
に診断・治療を受けることが重要です。

日本脊椎脊髄病学会ホームぺージより
http://www.jssr.gr.jp/jssr_web/html/sick/index.html
一部引用させていただきます
「脊髄空洞症とは、色々な原因で起こりますが、簡単に言えば、脊髄の中に水
（脳脊髄液）が貯まり、脊髄の中に「ちくわ」のように空洞ができる病気です。
この貯留した水溜まりが、大きくなると脊髄を中から圧迫するので、手足のしびれ
や運動障害、排尿障害などの脊髄障害が起こる可能性があります (後半略)」

岡山大学整形外科ホームページより
http://www.onitaiji.com/spine/disease/dis16.html
一部引用させていただきます
「(前半略)...治療法として、小さいものや症状のないものは様子をみるのみで十分
です。症状が高度になれば多くは手術療法の対象となります。手術法には、大後頭
孔減圧術など脊髄液の流れを改善させる方法（髄液バイパス術）と空洞内に細い
チューブを入れ貯まった水を空洞外へ流すシャント術があります。適切な時期に手
術を行えば、空洞症を縮小させ進展を予防する事が可能です。」

岡山市立市民病院脳神経外科部長 中嶋裕之先生のホームページより
http://www.city.okayama.okayama.jp/byoin/simin2001/nousinkei/sekizui/sekizui_top.htm
一部引用させていただきます
「(前段略)...症状は多彩ですが、上肢の筋萎縮・痛み、歩行障害、色々なパターンの
知覚障害などが見られます。また、脊椎側弯（そくわん）を呈することもあり、
特発性脊椎側弯症とされているなかにみられることもあります。上述のキアリ奇形
と共に認められることが多く、その他、脊椎外傷後の後に認められることもあります。」

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august03より追記 :
日本の医療システムでは、大半の病院ではチーム医療は組まれていないため、
整形外科(脊椎外科)と脳外科とでタイアップした診察/治療は行われていません。
脊髄空洞症は、側弯症専門医師(整形外科/脊椎外科)および脳外科も診察、治療を
行っています。脊髄空洞症や二分脊椎等を併発する側弯症の場合は、医師とよく
相談し、どのような治療方針であるか、いずれの科での手術治療が最適であるか等
を十分に考えられて下さい。
脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)は、側弯症専門医師(整形外科/脊椎外科)が
治療(手術)する分野です。

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