いなかFPのつぶやき
【老齢年金開始70歳超も選択へ】
国は2020年までに公的老齢年金制度について「70歳以降の受給開始を選択可能とするなどの制度の改善を検討する」としました。
現行では年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、希望すれば60~70歳の範囲で選ぶことができます。
65歳より早く受け取るのを「繰り上げ受給」、遅く受け取るのを「繰り下げ受給」と呼び、繰り上げれば年金額は減り、繰り下げれば増えますが、これを70歳超にも広げて繰り下げられるようにする予定です。
国は経済活力を維持するために年代の高い方の就労を増やしたい考えで、70歳以降も働いてもらい年金受給を遅らせ、リタイア後に多めの年金額を受け取るという選択肢を考えています。
老齢年金は一か月繰り上げるごとに受給額は0.5%ずつ減額し、60歳まで繰り上げると30%減額になり、一か月遅らせるごとに年金の受給額は0.7%ずつ増え、最も遅い70歳なら本来の額より42%増えます。
65歳から受け取る老齢厚生年金も同様に繰り下げができます。
新たな制度は70歳超まで繰り下げた場合の増額率を0.7%より積み増す方針です。
現在の率でも仮に75歳まで繰り下げすれば年金額は84%増えます。一定の年齢を超えて長生きすれば年金の受取総額を増やせるため、長生きリスクの対策にもなると考えているようです。
しかし、繰り下げをしている人は今のところ受給者の1%程度にすぎません。
65歳以降に安定した収入や資産がない方が多い事に加え、年金制度に対する不信感から「もらえるものは早くもらいたいと考える人が多い」からです。
ただし変化の兆しも見え、繰り下げ受給制度の浸透からか、新たに受給権を得た人では繰り下げが2012年度の1.2%から2016年度は2.7%に増えました。繰り下げの新制度が導入されるのは2020年度以降ですが、公的年金の信頼回復はもちろん、雇用の受け皿づくりや高齢者の意識改革も進める必要があるでしょう。
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【釧路 AFP 佐藤】