17~18世紀、フランス宮廷で王侯貴族たちは、ペットを飼う習慣があったのだろうか?
数年前「世界ふしぎ発見」で、ルイ・シャルルの石の心臓について特集を組んだ時、こんなクイズが出題された。「フランス革命により華やかなヴェルサイユ宮殿から一転、暗くて狭いタンプルの塔に幽閉された国王一家。幼いルイ・シャルルの心を和ませようと、周囲の大人たちはどんな心づかいをしたか?」というものだった。正解は「王子にペットとして子犬を与えた。」だった。ルイ・シャルルはアントワネットから強引に引き離されたのち、非常に悲惨な仕打ちを受け、暗く衛生状態の悪い独房のような部屋で亡くなる。そんな王子に対し束の間でも、彼の心を明るくしよう、勇気づけようとした大人がいたことに救いを感じる。
さてロココの時代、王侯貴族はペットを飼っていただろうか?ルイ15世の寵姫ポンパドール夫人の肖像画。よく見ると足元に黒い犬がいて、夫人をじっと見ているらしい。夫人もそこに犬がいることを、ごく自然に受けとめている様子。王族たちは趣味で狩りをするから、宮殿の敷地内に狩猟犬を飼っていただろう。でも狩猟犬はペットではないから、室内(=生活空間)では飼っていなかったと思う。
こちらはメトロポリタン・ミュージアムにある、18世紀フランスの芸術・文化を再現したコーナー。この素敵な部屋に、何ともゴージャスなドッグ・ハウスが置かれているのにお気づきでしょうか?
もう少し焦点を絞ってみると…
これです。青いヴェルヴェットで覆われ、木枠は金色に塗られている。内装は縞模様の絹布で覆われ、外側と同じ素材のヴェルヴェットの快適なピローベッド付き。このドッグハウスは王家で飼われている犬のために、マリーアントワネット御用達の家具職人が作ったもの。
マリー・アントワネットに献上することが許された職人のみが押すことのできる刻印が、このドッグハウスに見られる。
ルイ15世も犬を飼っていたらしい。先ほどポンパドール夫人の足元にいた犬は、もしかしたらルイ15世の飼い犬だったかもしれない。次の2つのドッグハウスはルイ15世のペット犬用。シルクカーテン付き。
このドッグハウス、よく見ると家というよりもスツールみたい。実はこれ、フットレストも兼ねたドッグハウス。主(あるじ)はゆったりとフットレストに足を伸ばし、その下でわんちゃんが安心しきってお休みしていた様子が目に浮かぶ。ある意味、フランス版犬公方。
「ベルばらkids」では、ジェローデルが無類の猫好きで登場。昨年発売された絵本には、こんな場面があった。
ジェローデルの邸にも、素敵なキャットハウスがあっただろうか?
オスカルは激務の合間にペットに触れ、心を癒す時間があったかなぁ。えっ、まさかアンドレがペット!?オスカルは犬派or猫派?どうせなら新作エピ オスカル編は「ペットと戯れるオスカル」でも良かったなぁ。
読んでくださり、ありがとうございます。
この一言には吹きました。『きみはペット』というドラマが昔ありましたが、イケメンをペットにしたいのは女性の深層願望かもしれませんね。
デュ・バリー夫人の肖像画に、側で珈琲を給仕する黒人の少年が描かれているものもあります。当時の西欧社会では黒人の少年少女を使用人にすることもありましたが、実態は奴隷であり、ペット同然と見ていたようです。
>オスカルは犬派or猫派?
アントワネットに対しては犬派でも、アンドレに対しては猫派の傾向が出てくるように見えます。前者は女主人なので当然ですが、プライベートでは猫のように甘えています。ヴァイオリンの弦を切った時の「G線が~」の表情。ワガママお嬢様そのものでも、私的には好きです。
>イケメンをペットにしたいのは女性の深層願望かもしれませんね。
オスカルはどうだったでしょう?最終的には「二人で一人」と言っていいくらい、アンドレの存在感は大きくなりましたね。
>実態は奴隷であり、ペット同然と見ていたようです
そうでしょうね。以前見た18世紀に作られた燭台かサイドテーブルに、黒人が重い荷を背負っているデザインがありましたが、あまりいい感じがしませんでした。でも当時の上流階級の人々は別に何とも思わず、日常的にこのデザインを眺めて暮らしていたと思うと、彼らは黒人を自分たちと同じ「人間」とは見ていないと感じました。
>ヴァイオリンの弦を切った時の「G線が~」の表情。ワガママお嬢様そのものでも、私的には好きです。
アンドレには自分の弱みやつらさを隠すことをしない。オスカルにとって懐かしい故郷のような存在、それがアンドレでしょうか?
コッポラの映画は見ているのですが、犬が登場していたことはすっかり忘れておりました。教えてくださりありがとうございます。パピヨンは大きな耳をした犬ですよね。あの犬種が18世紀にいたとは!!日本でも今、とても人気がある犬ですね。アントワネットの肖像画で、ペットも描かれているものはないかと探しているのですが、まだ見つかりません。でもこうした検索も楽しいです。ルーベンスの絵も言われてみれば犬が描かれているものがありますね。高貴な人物の肖像画は顔形はもちろんのこと、小道具?もじっくり眺めるといろいろ想像できて、その人がどんな好みの持ち主かわかって興味深いです。
ピレネー犬、スピッツに似た白い犬ですね。子供の頃、飼っていたので懐かしいです。スナオミノルさまは何かペットを飼っていらっしゃいますか?昔からペットは人の心を癒す、大切な友だったと改めて感じました。
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私もこのMETのドッグハウス、1月に見にいってブログに書きました!偶然、一緒だったので嬉しくなって今更ながらコメントしてしまいました。
http://blog.livedoor.jp/michiyomikage/archives/54579791.html
みちよさまはアメリカ在住なのですね。METはもう何回か、訪れたことがおありでしょうか?私はずっと昔、一度だけ行ったのですが、残念ながら18世紀コレクションを見逃してしまいました。まさかここに、アントワネットゆかりの品々がたくさんあるとは!METは18世紀のヨーロッパ宮廷ドレスも多数所有しています。
みちよさまのブログを読ませていただきました。たくさんの写真が添付されていて、館内の様子がよくわかりました。METにもう一度行きたくなりました。今年のアメリカの夏は、いかがでしたか?そちらも猛暑なのでしょうか?東京ではこの秋から冬にかけて「マリー・アントワネット展」が開かれます。もしみちよさまがこの期間に一時帰国されますなら、ぜひ足をお運びになるといいと思います。
こんなブログですが、どうかよろしくお願いいたします。私もみちよさまのブログにお邪魔させていただきますね。
アメリカは先月までで、帰国していまは日本です。アントワネット展、もちろんチケット買ってありますよ!!楽しみですね!
MET、アントワネットの部屋もあったりして見ごたえあります。しかもメインの展示ではないのでこの辺りの展示はかなり空いています!
これからもよろしくお願いいたします
みちよさま、猛暑の夏、お体は大丈夫ですか?お子さまたちは夏を楽しんでいるでしょうか?
>しかもメインの展示ではないのでこの辺りの展示はかなり空いています!
そうなんですよね。アントワネットゆかりの地というとまずウィーンのシェーンブルン宮殿やフランスのベルサイユ宮殿を思い浮かべますが、意外とアメリカの博物館にも素晴らしい展示があるのですよね!しかも空いているのなら行く価値ありですね。みちよさま、貴重な情報をありがとうございます。METに行かなくては!
まだまだ知らないことがたくさんあります。どうか教えてくださいね。まだまだ暑い日が続きます。小さなお子さまたちと元気にお過ごしください。