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Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

ローズ・ベルタン

2015-03-30 22:44:27 | つぶやき

 18世紀フランスでは、女性は皆、男性に経済的に依存して生きていたのだろうか?どうしてもお金が欲しければ、体で稼ぐことしかできなかったのだろうか?

 肖像画のモデルはローズ・ベルタン。マンガではもっとすっきりとしたお顔立ちだったけれど、この絵を見る限り、かなりふくよかなようで---。左右に広がった髪型も、アントワネットといい勝負。王妃お気に入りのデザイナー。本名はマリー=ジャンヌ・ベルタン。しかし仕事用の名前をローズとした。ローズは平民。しかし優れたファッションセンスの持ち主で、アントワネットの歓心を得る。王妃はローズ・ベルタンを個人的に呼び寄せて、長時間二人だけで流行やスタイルについて自室で相談することを厭わなかった。だからベルタンの別名は「ファッション大臣」。平民を重んじたアントワネットに無視される形になった貴族たちは、次第に王妃から離れ、彼女を憎むようになる。

 王妃と大変親しかったベルタンは、その立場を利用して王室一の服飾デザイナーとなり、巨額の富を蓄える。彼女の顧客として王室一家、肖像画家エリザベート・ヴィジェ=ルブラン、ラファイエット侯爵、他国の王妃が挙げられる。しかしながらフランス革命はすぐそこまで来ていた。庶民が空腹に苦しむ中、ローズ・ベルタンを「自ら腐敗し、人を腐敗させる贅沢の仕立人」とする攻撃文書が数多く出回る。

 フランス革命勃発直後、ベルタンはそれまでのように王族貴族のために豪華なドレスをデザインすることはせず、帽章をいくつか納品するにとどまった。けれど王室一家が捕らえられると、より安価ではあるものの、マリー=アントワネットのために衣装を作って送り続けた。王妃がコンシエルジュリ(パリ高等法院付属監獄)に送還されるときに着ていた最後の服は、パリにあるローズ・ベルタンの店『ル・グラン・モゴル』で作られたもの。

 マリー=アントワネットが処刑された後、ローズ・ベルタンは恐怖政治を逃れるためロンドンに亡命し、1795年2月にようやくフランスに戻る。しかしその時には、彼女の名声はフランス革命により一掃され、流行もすっかり変わっていた。こうして、ローズ・ベルタンは忘れ去られ、1813年9月22日にこの世を去った。

 アントワネットは、素晴らしい技量の持ち主であれば、相手が平民であることなどまったく問題にせず、その才能をきちんと認め評価している。そのため貴族たちの嫉妬心や反感を買ったものの、ベルタンは生涯王妃を裏切ることなく、王妃が捕えられてもなお、彼女のためにデザインしたドレスを幽閉先に送り続ける。日本で言う「御恩と奉公」の関係を見る思いがする。アントワネットが栄光の頂点に立っていた時、彼女をちやほやする輩は多数いた。しかしひとたび革命が勃発すると、さっさと彼女を裏切り国外亡命をする人が多かった中、ベルタンは最後まで忠誠を尽くした。いかにアントワネットが彼女を信頼し、重用していたかがわかる。

 ベルタンが自分の腕ひとつで稼ぎ、経済的に自立していたなら、彼女は間違いなく18世紀のキャリア・ウーマンである。アントワネットは「贅沢・軽薄・不倫」等で、評判はよろしくないけれど、ベルタンに対する接し方を見る限り、なかなか人を見る目がある女性だったと思えてくる。

 読んでくださり、ありがとうございます。



20 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-14 05:47:34
 お便りをありがとうございます。あのときの神父さまが校長先生でしたか!何と言う偶然!そしてテストはまだ続く。短期入学と言えども、なかなかハードルは高いです。ヴィルクリヒ先生、何か都合が悪いのでしょうか?ご不満の様子?
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ミーナの冒険・24 (鈴蘭の精)
2015-08-14 00:00:56
ミーオが廊下に出ると、アンナが満面の笑顔で祝福してくれました。
「ミーオ、おめでとう。さあ、三人で、校長先生の所に挨拶に行きましょう。」
校長先生の部屋は、長い廊下の一番奥です。
ヴィルクリヒ先生が、「二人は、ちょっと待っていて。」と、一人先に入って行きました。
校長室では・・・、
「やって来たな! 髪の長い女の子の様な、男の子だろ?」
「いいえ、違いますよ。短髪の坊主頭、とても感情豊かな、可愛い男の子ですよ。 ソプラノが抜群に美しい、曲の音程も、完璧ですよ。」
「よし、会ってみよう。」
ミーオは校長室に通されました。 二人は顔を合わせ、同時に 「あっ!」 驚きの声を上げました。
ミーオは、「あの時の、神父様だ! どうしよう…」
校長先生は、びっくりするぐらい、男の子になった、少女の決意に。
アンナは、驚いている二人の間に入り、
「ミーオ、こちらがここの校長先生、ヨーゼフ シュニット神父よ。 校長先生、この子がミーオ ミハイロフ 6日間の短期入学が決まりました。」
校長先生はミーオに近づき 「ところで、ミーオ 君には双子のお姉さんか妹さんがいるのかな?」
ミーオは即答で、「いません。ぼく、一人っ子です」
「そうか、君は正直者だね。明日からの、三日間のテストも頑張りなさい。」
「校長先生、本当に3つのテストに合格したら、ぼく、16日にみんなと舞台で、歌えるんですよね。」
それに驚いたのは、ヴィルクリヒ先生でした。
「校長先生、どういう事ですか?」
「まぁ、そういう事だ。明日から3日間、ミーオのテストをお願いするよ。今は、一足先に、団員達にミーオの事を伝えておいてくれるかな?」
ヴィルクリヒ先生は、困った顔で何か、ブツブツ 言いながら一人、部屋を出ていきました。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-12 23:49:44
 お便りをありがとうございます。ミーオは見事に少年合唱団への入団試験に合格しましたね。これで1つ、夢の実現に近づきました。短い歌だけれど、心をこめて歌った---そのひたむきな姿勢をヴィルクリヒ先生は見逃しませんでした。さて次はどんな出会いが待っているでしょう?
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ミーナの冒険・23 (鈴蘭の精)
2015-08-12 22:56:23
ヴィルクリヒ先生のレッスン室、ミーオは先生と二人になりました。
軽い発声練習の後、一つの楽譜がミーオに手渡されました。曲名は童謡『きらきら星』でした。
ミーオは、歌を歌う時に必ず守ろうと、思う事がありました。 どんなに簡単で短い歌でも丁寧に心を込めて、その歌の景色を思い浮かべ歌うこと。
『きらきら星』を、ヴィルクリヒ先生のピアノにのって、歌い始めました。
その目は、先生の目をしっかり見詰めています。 声は透き通る様にコロコロころがり、キラキラ輝いて部屋中に響きました。
ヴィルクリヒ先生は、この部屋が夜空になって星がキラキラ輝き出した、そんな気持ちになります。
「ミーオ、素晴らしい『きらきら星』を歌えたね。二重丸の入学合格点! 今から、短期だけれど、ウィーン少年合唱団だよ。」
「本当?嬉しい。」
ミーオは思わず、「ばんざーい!」 高~くジャンプ! そして、両手をぐーに握り、肩の横でワクワクして喜びました。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-11 23:26:58
 お便りをありがとうございます。ヴィルクリヒ先生は、ミーオがユリウスの子、それも女の子と知ったら、どんな反応を示すのでしょう?どうかこのまま何も気づかずに無事終わってほしいと願ってしまいます。そしてリヒャルトという子も、何か意味ありげな感じ。何を考え込んだのでしょう?ちょっと違う空気を、ミーオから感じ取ったのでしょうか?
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ミーナの冒険・22 (鈴蘭の精)
2015-08-11 21:28:55
ここは、ウィーン少年合唱団の学校の中、アンナがヴィルクリヒ先生の部屋の扉を開けようとした時、中から一人の少年が出てきました。
「リヒャルト、、みんなに今、言った伝言頼むよ。それから、楽譜もみんなに配っておいてくれるかな?新しい曲だよ。しっかり予習しておくように。」
続いて出てきた男性から楽譜のプリントを受け取り、リヒャルトと呼ばれた少年は、こちらに視線を移しました。
ミーオは、「はじめまして。」 しっかり少年の目を見詰め挨拶します。
二人の目が合った瞬間から、その男の子は首をかしげ、少しの間考え込みます。
ミーオと同じ短髪の髪はダークブラウン、そして暗褐色の瞳・・・、ミーオが見たことのない様な、深い深い海の底の様な色でした。
ふっと、我にかえり、少年は「こちらこそ、ようこそ。」 そう応え、廊下の向こうの方へ、去って行きました。
「ヴィルクリヒ先生、失礼するわね。懐かしいでしょ。 アマ―リエよ。」
「パリジェンヌ アマ―リエ、ようこそ、ウィーン少年合唱団ヘ。あれ、可愛い贈り物を連れて来てくれたんだね。」
「ええ、ヴィルクリヒ。ミーオ ミハイロフよ。16日のコンサートの日まで、よろしくお願いするわね。 シュニット神父から、聞いてもらっていて?」
「もちろん、歌の大好きな、綺麗な声の少年、楽しみに待っていたよ。さっそく、聴かせてもらおうかな? アマ―リエとアンナも一緒に聴くかい?」
アマ―リエは、ちらっと、時計を見て、
「わたしはもう、おいとまするわね。ちょっと、急ぎの用事があるから!シュニット神父にも、挨拶しなくては。 ミーオ・・・、」
アマ―リエはそう言いながら、ギューッと、ミーオを抱きしめました。 耳元で、「頑張ってね。」と、囁きながら。
アンナもアマ―リエと、部屋の外ヘ出ていき、しばらく耳を澄ませます。中から、美しいソプラノが聴こえてくると、アマ―リエは安心して、その場を立ち去って行きました。
アンナをその場に残して。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-11 00:34:14
 お便りをありがとうございます。もしかしてこれからミーオは寮生活を始めるのでしょうか?大丈夫?ユリウスは心配していないでしょうか?そして,おおあのヴィルクリヒ先生が登場!先生、ミーオに2世代にわたって復讐を果たそうと思っていないでしょうね。それともあのヴィルクリヒ先生とは別のヴィルクリヒさん?面白い展開になってきました。
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ミーナの冒険・21 (鈴蘭の精)
2015-08-11 00:11:04
夕方6時前、アマ―リエとミーオが、少年合唱団の学校ヘ向かいます。
ずっと遠くの高い塀の門の前で、シスターの格好の女性が二人を待っていてくれました。
にっこり、笑顔で優しそう・・・。
「お待たせ、アンナ。ユーベルって男の子の持ってきた、わたしの手紙、読んでくれたのね。
面倒だけれど、ごめんなさい。」
「面倒だなんて、とんでもないわ。 こんなに可愛い男の子のお世話ができるなんて。」
シスターの女性は、小さなミーオの前にかがんで、優しく手を握りながら、
「はじめまして、寮母のアンナよ。 これから5日間、ずっとあなたの傍にいて、守っていてあげる。 あなたの回りは全員が男の子! でも、わたしがいるから大丈夫。 安心してね。お名前、教えて。」
「ミーオ ミハイロフです。 アンナさん、よろしくお願いします。」
アンナは、ミーオの切り立てのジョリジョリした短い髪を優しく撫でながら、
「伸びるわよ、髪なんて。元通りに…。」
ミーオは、小さくうなずきました。
「さあ、ヴィルクリヒの所ヘ行きましょう。ミーオ、あなたの歌を聴きたがっている。 アマ―リエも、何年ぶり? 会うの久しぶりでしょ。」
アンナは、高い塀の中、ウィーン少年合唱団の学校の中ヘ案内しました。
ミーオはもう、夢の様な気分! 憧れの学校の中にいる自分が、信じられませんでした。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-10 15:06:33
お便りをありがとうございます。アマーリエはユーベルの耳元にどんなことを囁いたのでしょう?何かとても重要なことですよね?アマーリエは久しぶりにワクワクする時間を持てたようですね。
そろそろ帰宅しないと、大人たちが心配し始めるかな?
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ミーナの冒険・20 (鈴蘭の精)
2015-08-09 16:57:37
そして、アマ―リエはユーベルに近付き、
「ユーベルには、これから16日まで、とても大切な事を行ってもらいたいのよ。これが上手に出来れば立派なジェントルマンになれるわ。」
そう言いながら、ユーベルの耳元に顔を寄せ、手で口の回りを囲みながら、内緒で指示を与えました。
ユーベルはうなずきながら、、表情がパッと、明るくなりました。
「うん!それってとっても大切な事だよね。ぼく、絶対に上手にやってみせる。アマ―リエさん、任せておいて。」


いろいろあった、8月11日。時計はとっくに4時をまわっていました。
ちびっ子2人とアマ―リエは、食事をとるのも、忘れていました。
「何だか、くたくたね。お腹も空いてしまった…、3人で、どこかでお食事しましょ。後、ユーベルはお家に帰りなさい。わたしは、ミーオを学校ヘ連れていくわ。」
そう言いながら、ふっと気が付くと、ミーオが可愛いレースのポシェットを肩から掛けようと、しています。
「あっ、ミーオ、それは置いていきなさい。」
「はーい。」
ミーオは急いで、ポシェットの中から、ハンカチ、はな紙、小さな容器を取りだし、パンツのポケットヘ入れました。
最後に、小さなヴァイオリンをしっかりと、手に握ります。
アマ―リエは、少女の様な少年の様な、その可愛い仕草に思わず、目を細めてしまいました。
そして、心の中で『わたし、いったい何しているんだろう?でも、楽しい。』
生き生きしている自分が、何だか、信じられませんでした。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-08 06:38:18
お便りをありがとうございます。
一緒にお風呂に入る…無邪気だけれど、ストレートで大胆な発言にドキッとしました。

ミーナはほんの少し、おかあさんの10代の頃の気持ちがわかったかな?
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ミーナの冒険・19 (鈴蘭の精)
2015-08-07 23:29:25
ミーオの着替えを、ドサッと、置いたユーベルは驚きの声を上げました。
「うわぁ、ミーオ!本物の男の子になってる。」
ミーオも、得意げに、
「見て、見て、ぼくの髪、ユーベルより短いよ。頭から3センチしかないんだ。」
「ほんとだね。男の子のミーオ、これからはお風呂も一緒に入れるね。」
ミーオの心臓が、ドキッ と、しました。 尽かさず、アマ―リエは、
「なんて事言うの、この子! レディーを傷付ける様な男の子は、ジェントルマンになれなくてよ。」
「ミーオ、ごめんなさい。命より大切な髪を切った君に、意地悪を、言ってしまって。」
「ううん、いいよ。だってユーベルたくさん、ぼくに協力してくれたから。ありがとう。」
「すごい!ミーオ、男の中の男だね。」
「ありがとう。」
横で、アマ―リエがクスッと、笑いました。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-07 11:38:03
お便りをありがとうございます。今は女の子がショートヘアにしていても、全然おかしくないですが、一昔前はあり得ないことでしたね。罪人の女性が強制的に、髪を切られていました。ある意味、屈辱的なことでしたね。
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ミーナの冒険・18 (鈴蘭の精)
2015-08-07 07:37:59
アマ―リエはミーオの肩にてをのせ、
「そんな事ないわよ。ちゃんと、3センチ残しておいてあげたから。」
ミーオは頭のてっぺんの髪をつまみ上げ、鏡に顔を近づけて、
「ほんとだ!すごーい!3 センチ しかない。本物の男の子になったんだね。ありがとう。」
ミーオがそう言ったとたん、アマ―リエは涙ぐみ、
「大丈夫なの?」
「うん、ぜんぜん平気だよ。女の子ミーナとはさっき1時間かかって、しっかりお別れしたから。」
ニコッと、笑ったミーオに、アマ―リエは抱きつき、抱き締めます。
「頑張ってね。どんな事があってもくじけないでね。」
「えっ?」
その意味は、学校に行って、ずっと先に分かるのでした。 でも、アマ―リエの言葉を思い出し、乗り切る事が出来たのでした。

ドン ドン ドン ! ドアを叩く音が…。
ユーベルが帰って来たようです。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-06 13:35:06
お便りをありがとうございます。髪を切ったミーナは、かつてのユリウスと瓜二つになったのでは?もうここまで来れば、あとはやれることはすべてやるのみです。
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ミーナの冒険・17 (鈴蘭の精)
2015-08-06 07:46:15
アマ―リエはジャスト1時間で帰ってきました。そして、帰るなり、
「さあ、髪を切るわよ。ケープを付けて、私の前に座りなさい。」
ミーオはもう冷静です。朝、ユリウスに付けてもらった、リボンの髪ピンを前髪から外し、アマ―リエの前に、静かに座り目をつむります。
アマ―リエはミーオの髪を束で握り、ほとんど根元からハサミを入れます。ジョキッ!
そして、紙の上に置く音、バサッ!
ジョキッ、バサッ、 ジョキッ、バサッ・・・!
その音が繰り返されるたび、ミーオの首を優しく包んでいた、ユリウスと同じ色のブロンドの髪が無くなっていき、首と肩が、すうすうとひんやりしてきました。
頭に髪が無くなってしまった。ミーオはそう、思いました。
「切り終わったわ、まあ・・・、すっきりしたわね。 切った髪、どうする?」
「いらないよ。」
「そうね。」
アマ―リエはブロンドの長く美しい髪の束を、丁寧に紙に包み、くずかごヘ、″カサッ ″ 優しく投げ込まれた音が、ミーオの耳にも届きました。
「さようなら、ミーナ。お母さんのお揃いの長い髪、バイバイ。」
心で、お別れをしました。
「さあ、少年 ミーオ ミハイロフの出来上がり、鏡を見て!」
渡された鏡を見て、
「丸坊主になっちゃった。」
それが、男の子ミーオの最初の言葉でした。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-05 20:03:14
お便りをありがとうございます。そうです、髪を切る悲しさより、夢の実現に近づくことのほうが大事。周囲の人は驚くだろうけれど、人がどう思うかなどを気にしていてはダメですよね。アマーリエは、イザークと再会するのでしょうか?
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ミーナの冒険・16 (鈴蘭の精)
2015-08-05 08:12:00
アマ―リエは、もう半分以上男の子になってきたミーオに、
「私は今からあなたのご両親に説明して、了解を得て来るわ。 そして、ユーベルのもらってきた申込書にサインしてもらって、授業料もいただいて来なきゃ!
ジャスト、1時間で戻ってくるわ。
あなたはその間、綺麗なブロンドの髪とお別れしながら待っていなさい。
女の子のミーナとお別れをして決意をかためておきなさい。
もう、後戻りの出来ない冒険の始まりよ。」
アマ―リエはそう言いながら、部屋を出て行きました。
ミーオのは一人になりました。
そして、自分の顔を鏡に映します。小さな声でつぶやきながら…、
「さようなら、私の大切な、大切な髪。」
でも、最初は悲しかった気持ちが少しずつ変わってきました。
この髪が無くなる寂しさよりも、後戻りの出来ない冒険?そっちの方が魅力的!
何だか、ワクワクしてきました。
「この髪を短く切れば、冒険が待っている。すご~い!」
こう思いながら1時間ずーっと、ブロンドの髪を見続けました。
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鈴蘭の精さま (りら)
2015-08-05 07:12:50
お便りをありがとうございます。いよいよ計画が本格的に始まりましたね。女の子にとって、自慢のロングヘアーを切るのは物凄く勇気がいること。でもそれを乗り越えないと、夢は実現しない。大丈夫、髪はまた伸びるけれど、夢の実現は先伸ばししてはいけませんね。
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ミーナの冒険・15 (鈴蘭の精)
2015-08-04 21:25:57
「命より大切な私の髪、でも少年合唱団で歌いたい。
お父さんに教えてもらった、困った時の答えの出し方、目を閉じて心を静かにして考えてみよう。」
ミーナは目をつむります。
「命より大切な髪を切るという事は死んでしまうという事。 そうか! 一度死んで生まれ変わって男の子になるのをね。 マリアおばさんが言っていた。″女の子みたい″って言われて、お母さんは髪を短く切ったって、お母さんも頑張って男の子になったんだ。私でも出来る。
うん!やってみせる。」
それが、心で決めた答えでした。
ミーナは目を開けて、アマ―リエをしっかりと見つめました。
「アマ―リエさん、私、髪を切ります。アマ―リエさんに切ってもらいたいです。」
「じゃあ、決まりね。のんびりしている暇はないわよ。 ユーベル!」
「はい。」
「合唱団の学校ヘ行って、寮母のアンナに、今から書く手紙を渡して、入学申込書をもらってきて。そして、ミーナ、じゃなくてミーオの泊まっているホテル?」
「ホテル ザッハ。3階です。」
「そこへ、持って来てちょうだい。私もそこへ行っているから。 そのあとは、え~っと、ミーオの男の子の服、下着、靴下、靴、買ってきて。ミーオはもうすぐ8歳しては、小さいから、ユーベル、あなたと同じ大きさでいいわ。
あなたは、のんびり屋さんだから、特別、2時間あげるわ。
2時間後には必ずここに戻って来ること、いいわね!」
アマ―リエが手紙を書いている間、さっきまでクスクス笑っていたユーベルは、ミーオの神妙な顔に掛ける言葉がありませんでした。
でも、その表情は、悲しそうではありません。
決意を固めた、男の子の顔でした。
″凄いな、ミーオ! 泣き虫のぼくには、真似出来ない。″ ユーベルは、そう思いました。
アマ―リエは出来上がった手紙をユーベルに渡し、
「じゃあ、少年合唱団の寮母アンナよ。分かるわね?」
「はい。」
ユーベルは張り切って、出て行きました。
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