ニュージャージーの湿っぽい 鉄鋼の町に育った
もう朧ろげになったしまったほど何年も前の話
泥とビール、血と歓声を浴びながら来ては去ってゆく勝者達
さあ、もしも根性があるのなら 勇気があるのなら
今がチャンスと思うなら 位置について
君のレッキングボールを持ってくるといい
レッキングボールを用意して
見せてほしい 最高の一打を打ってくれ
君のレッキングボールで 最高の一打を打ってくれ
君にできることを 君のレッキングボールで
我が家はここメドウランズ
蚊が飛行機みたいにでかく育つ所
この血が滴り、アリーナは人で溢れ、ジャイアンツがプレーする所
さあ、グラスを掲げ 思い切り呼ぼうじゃないか
今夜死者も皆ここに集まっている
だからレッキングボールを用意して
明日にはここにある何もかもがなくなっている
だから怒りにしがみつくんだ
怒りを手放しちゃいけない 恐怖に屈してはいけない
鉄の骨組みも幾層もの階もいまやすべて錆と化して失せていく
俺達の若さも美しさも塵の中へと消えていくばかり
試合はかたがつき 俺達は時計を焼き払う
俺達のちょっとした勝利や栄光は駐車場の姿になってしまった
最良の希望や願いが風の中へ消えてなくなってしまっても
辛い時というのはやって来ては去っていくもの
困難な時期は訪れるけれども、それは去っていくもの
ただもう1度帰って来るため レッキングボールを持って来てくれ
大声で叫ぼうじゃないか
最高の一打を見せてくれ 君ができることを
君のレッキングボールで
*wrecking ball: レッキングボールとは建造物解体用のクレーンで吊るした鉄球のことです。
ぴったりの日本語を見つける事ができなかったのでここではそのまま片仮名表記としました。
ENGLISH
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今日ご紹介するのは取り壊しが決まっているジャイアンツ・スタジアムでの最後の一連のコンサートに合わせて、ブルース・スプリングスティーンが書き下ろした新曲です。9月30日のジャイアンツ・スタジアムでのコンサート1夜目にオープニングナンバーとして演奏されました。シーガー・セッション風の懐かしさを感じさせる音といつものように鮮やかな詩作によって、まるで自分がジャイアンツ・スタジアムに親しんで育ち、今その取り壊しを目の当たりにしようとしているかのような気持ちにさせられる作品です。ブルースにとって何度もアリーナいっぱいの観客を前に演奏してきた地元ニュージャージーのスタジアムはとても思い出深い場所だと思います。取り壊しにはきっと胸をかき乱される思いがするに違いありません。
けれど、私がこの曲において印象的だったのは、その取り壊しについて嘆いたり、物事の儚さを憂うのではなくて、そうした現実を積極的に受け止めて前向きに強かに生きていこうとするブルースの姿勢でした。取り壊しは為されるものではなく、自分自身でレッキングボールを持って来て手を下すもの。その勇気があるならば、私達は更に前進できる。若さと背中合わせの感情だった怒りは前ほど表には出てこないかもしれない。だけど、時の流れに押し流され、挫けそうになった時、その闇雲な思いはきっと恐れを追い払ってくれる。そしてその気概は持ち続けなければいけない。感傷的になるのではない力強い思いに胸を打たれました。
ジャイアンツ・スタジアムは1度だけ訪れた事があります。スタジアムの駐車場でイベントがあった際に入ってみたのです。フィールドには入ることができないようにロープが張り巡らされていましたが、一群の若い人達が監視員の目をすり抜けてフィールドに走りこみ、端から端まで全速力で駆け抜けガッツポーズをしてみせました。何だか胸の空くような光景でした。そんな挑戦さえしたくなるような可能性に満ちた場所だったジャイアンツ・スタジアム。ブルースとEストリート・バンドの最後の挑戦も残すところ後2回となりました。
もう朧ろげになったしまったほど何年も前の話
泥とビール、血と歓声を浴びながら来ては去ってゆく勝者達
さあ、もしも根性があるのなら 勇気があるのなら
今がチャンスと思うなら 位置について
君のレッキングボールを持ってくるといい
レッキングボールを用意して
見せてほしい 最高の一打を打ってくれ
君のレッキングボールで 最高の一打を打ってくれ
君にできることを 君のレッキングボールで
我が家はここメドウランズ
蚊が飛行機みたいにでかく育つ所
この血が滴り、アリーナは人で溢れ、ジャイアンツがプレーする所
さあ、グラスを掲げ 思い切り呼ぼうじゃないか
今夜死者も皆ここに集まっている
だからレッキングボールを用意して
明日にはここにある何もかもがなくなっている
だから怒りにしがみつくんだ
怒りを手放しちゃいけない 恐怖に屈してはいけない
鉄の骨組みも幾層もの階もいまやすべて錆と化して失せていく
俺達の若さも美しさも塵の中へと消えていくばかり
試合はかたがつき 俺達は時計を焼き払う
俺達のちょっとした勝利や栄光は駐車場の姿になってしまった
最良の希望や願いが風の中へ消えてなくなってしまっても
辛い時というのはやって来ては去っていくもの
困難な時期は訪れるけれども、それは去っていくもの
ただもう1度帰って来るため レッキングボールを持って来てくれ
大声で叫ぼうじゃないか
最高の一打を見せてくれ 君ができることを
君のレッキングボールで
*wrecking ball: レッキングボールとは建造物解体用のクレーンで吊るした鉄球のことです。
ぴったりの日本語を見つける事ができなかったのでここではそのまま片仮名表記としました。
ENGLISH
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今日ご紹介するのは取り壊しが決まっているジャイアンツ・スタジアムでの最後の一連のコンサートに合わせて、ブルース・スプリングスティーンが書き下ろした新曲です。9月30日のジャイアンツ・スタジアムでのコンサート1夜目にオープニングナンバーとして演奏されました。シーガー・セッション風の懐かしさを感じさせる音といつものように鮮やかな詩作によって、まるで自分がジャイアンツ・スタジアムに親しんで育ち、今その取り壊しを目の当たりにしようとしているかのような気持ちにさせられる作品です。ブルースにとって何度もアリーナいっぱいの観客を前に演奏してきた地元ニュージャージーのスタジアムはとても思い出深い場所だと思います。取り壊しにはきっと胸をかき乱される思いがするに違いありません。
けれど、私がこの曲において印象的だったのは、その取り壊しについて嘆いたり、物事の儚さを憂うのではなくて、そうした現実を積極的に受け止めて前向きに強かに生きていこうとするブルースの姿勢でした。取り壊しは為されるものではなく、自分自身でレッキングボールを持って来て手を下すもの。その勇気があるならば、私達は更に前進できる。若さと背中合わせの感情だった怒りは前ほど表には出てこないかもしれない。だけど、時の流れに押し流され、挫けそうになった時、その闇雲な思いはきっと恐れを追い払ってくれる。そしてその気概は持ち続けなければいけない。感傷的になるのではない力強い思いに胸を打たれました。
ジャイアンツ・スタジアムは1度だけ訪れた事があります。スタジアムの駐車場でイベントがあった際に入ってみたのです。フィールドには入ることができないようにロープが張り巡らされていましたが、一群の若い人達が監視員の目をすり抜けてフィールドに走りこみ、端から端まで全速力で駆け抜けガッツポーズをしてみせました。何だか胸の空くような光景でした。そんな挑戦さえしたくなるような可能性に満ちた場所だったジャイアンツ・スタジアム。ブルースとEストリート・バンドの最後の挑戦も残すところ後2回となりました。