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遠い家への道のり (Reprise)

Bruce Springsteen & I

The Who @ TD Banknorth Garden (08/10/24)

2008-10-27 14:18:02 | Live in Concert
The Whoのライブをボストンで観てきました。The Whoは2004年の初来日公演を見逃した時に最初で最後のチャンスを逃してしまったと思っていたので、まさか今になってアメリカで観られるとは思いもしませんでした。そして今回はアメリカのロックコンサートを経験するという点でも私にとって貴重な機会になりました。会場は年齢層こそ幅広かったものの(親子連れも目立って微笑ましかったです)、人種に関しては見渡す限り白人しかおらず、異様なほどでした。アフリカ系の人はもちろん、アジア人にも全然出会わなかったのです。振り返ってみると多くの人にとっては私が異様だったのかもしれない・・・と思います。

そういう意味では現在アメリカのメインストリームを支配するのは最早ロックではなく、ヒップホップであるというのは正しいのかもしれません。ヒップホップは誰もが聴くけれど(大学内で行われたLupe Fiascoのショーには白人も黒人もアジア人、ラティーノもいました)、ロックは(特にアメリカでは)白人にアピールする事だけに甘んじている傾向にあると思います。確かに私は白人ではないのだから、必ずしもロックが人種的に限定的だという訳ではないのでしょうが、会場を見た時の印象は少し考えさせられるものでした。
以下ではショーの内容についてふれていますので来月の来日公演まで詳細を知りたくない方はお読みにならない方がいいかもしれません。



“I Can’t Explain”で幕を開けたステージでまず驚かされたのは、ロジャー・ダルトリー/ Roger Daltrey)の声が思っていた以上に若々しく衰えを感じさせない事でした。声だけ聴いていると歳をとっていないかのようで、時々ライトを反射して光るメガネや昔よりは太った身体が信じられないくらいです。そして、嬉しくて笑わずにはいられなかったのは今でも彼がマイクを危険なほど振り回し、身体にぐるぐる巻きつける事でした。ウッドストックで彼を観た人の中で一体誰が40年後に60歳を越えたロジャーが同じように”Pinball Wizard”を歌いながらマイクを振り回しているなどと想像したでしょうか。今回のThe Whoのライブで感動的だったのはそうした思いと共に生じる、50年代半ばから続くロックンロールの素敵な歴史の一部に私も身を置いているのだという意識でした。

だからエルヴィス・プレスリーに捧げられた、ロックンロールがいかに若い世代を魅了し続けてきたかを教えてくれる”Real Good Looking Boy”が殊更涙を誘ったのかもしれません。エルヴィスがピートに与えたロックンロールの魔法を、今度はピートが私に受け渡してくれているのだと思う事ができたからです。また、私にとってフーが現れた60年代は遠い想像の世界でしかなく、決して体験できないものだと思っていました。もちろん2008年のフーは60年代や70年代と同じではありません。キース・ムーンジョン・エントウィッスルも亡くなり、リンゴ・スターピート・タウンゼント/ Pete Townshend)の息子がバンドを支えています。ロジャーのフリンジ付きの衣装も長くてカールした金髪もなしです。それでもそのような時代を過ごした人々と同じように、或いはそのような時代とそう変わらないように、”Baba O’Riley”のイントロを耳にした途端目を輝かせ、歓声をあげ、心を揺さぶられる。私自身も10代を生き抜くのを助けてくれたこの曲に対する強い思い入れを持っていたし、同様の思いをこの40年の間に会場中の人々が抱いてきて今ここに集まり、’it’s only teenage wasteland’と声を張り上げているのだと思うと本当に胸がいっぱいになりました。アウトロのロジャーのハープソロも圧巻でした。もちろんピートの風車ギターも健在です。特にショーの前半では、サービス精神旺盛でファンが喜ぶのをきちんと分かった上でピートが腕をぐるんと振り回す度に、オーディエンスが「わあ!!」と声を上げるのがおかしなくらいでした。

”Baba O’Riley”が比較的早い段階で演奏されてしまったのは少し寂しかったですが、その後もベスト盤的な選曲で楽しませてくれました。意外だったのは”My Generation”が他の曲に比べて特別盛り上がる前にあっという間に終わってしまった事です。私にはロジャーの口があまり回っていないように感じました。でも、やっぱりここまで多様な世代が来ている会場でこの曲を歌うと本来の意味は失われてしまうのかもしれません。通路を挟んで私の隣にいたお父さんと来ていた男の子はティーンにさえなっていないように見えました。
本編は”Won’t Get Fooled Again”で幕を閉じ、アンコールは『Tommy』からの曲で占められていました。”Pinball Wizard”の盛り上がり様は”Baba O’Riley”には敵わないものの、相当なもので多くの人が、’sure plays mean pinball’と叫んでいました。私は『Tommy』がフーの入門盤だったのでこのアンコールはとても嬉しかったです。

60年代の鋭さは最早ないけれど、日本でもきっと素晴らしいステージを来月見せてくれると思います。観られるものなら今度は日本で観てみたいです。

2008/10/24 @ TD Banknorth Garden (Boston, Mass, U.S.A.)

Setlist:
I Can't Explain
The Seeker
Anyway, Anyhow, Anywhere
Who Are You
Behind the Blue Eyes
Real Good Looking Boy
Baba O'Riley
Getting in Tune
Eminence Front
Sister Disco
Sea & Sand
5.15
Love Reign O'er Me
My Generation
Won't Get Fooled Again

Pinball Wizard
Amazing Journey
Sparks
See Me, Feel Me

Tea & Theatre


The Steps @ 原宿アストロホール (5/16)

2008-05-20 20:08:56 | Live in Concert
5月16日(金)に原宿アストロホールでThe Steps(ザ・ステップス)というバンドのライブを観ました。米テキサス州オースティン出身のニューカマーで、4人のうち最年長のベーシストが1987年生まれ、最年少のギタリストが1990年生まれという若さです。本国アメリカではまだレーベルが決まっていないようで、英国と日本でそれぞれのレコード会社と契約を結んでいます。日本のレーベルは去年の初め頃に最初のバンドThe Heightsと契約を結んだばかりのKurofune Recordsです。今回は縁があり、こちらからライブの招待券を頂いたのでした。CDも持っておらず、ウェブ上にも載っていないため今日は訳詞を載せる事ができず、申し訳ありません。

観る前は非常に若いという事も気になってしまい、もしもThe Whoの"My Generation"でも歌われた日には居場所が無いと思いましたが、ライブは良い意味でそうした若さはあまり意識させられませんでした。
確かにギタリストやドラマーの方は可愛らしいくらいであどけなさもありましたが、音楽自体は60年代のロックンロールの影響を強く感じさせるざらついた渋みのあるもので、演奏もなかなかにタイトでありました。
ボーカリスト、ウィリアムのrockin' on (6月号)でのインタビューを見るとUKロックへの思い入れがとても強く、現在のアメリカの音楽シーンについてはかなり辛口でした。ただ「ブルース・スプリングスティーンは別だけど。」という但し書きつきだったので個人的には一気に彼の株が上昇です。

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"Dagger"(↑このPVの曲です)に始まり、"Give It Up"で終わるセットリストは途中で2曲のアルバム外の新曲とローリング・ストーンズの"Dead Flowers"を含めて約50分。あっという間でした。個人的には"Townes Lane"を演奏しなかった事が残念でした。1番盛り上がっていたのはテレビでもPVが流れたりした"Cold Floor"だったと思いますが、私は"Belle"が1番良かったです。

決して悪いバンドではないし、やはり直接観ると情が湧いてしまうので、今後いい具合に活動していければ良いなあと思うのですが、それには後1歩の決め手となるステップが必要だという気がします。ウィリアムは「もっともっといい曲を書けるようになりたい」とも言っていますし、何よりまだ若いですから、これから更に才能が開花するよう祈りたいです。今更どうしようもないですが、バンド名をもう少しどうにかしてほしかったとは思います。

↓アルバムはこちらです。





John Butler Trio @ 心斎橋クラブクアトロ (4/5)

2008-04-06 12:06:23 | Live in Concert
"FIRE IN THE SKY"

空に炎が 突如上がる
そして深い赤へと染まっていく
時間だ 眠る努力をしてみよう
あてがわれたベッドの中で
ぼろぼろと 涙がこぼれる
世界は変わってしまった

分からない
どうして人が誰かを
平和の名の下で殺すことができるのか
そんなのおかしいじゃないか

奴らは目には目をと言って
空から砲撃を浴びせる
そしてどこからともなくやって来るんだ
時間だ でかいテレビをつけて
何が起きているのか見ようじゃないか
子ども達が、付随的損害というゲームの駒のように死んでいき
そして世界が狂う

クイックサンドの上に立っているようなもの
闘うほどに深みにはまっていく
復讐が希望を与えてくれる
少なくともそう俺達は考えている

復讐という埋め合わせを選んでも
何も解決されない
神が双方の味方をし
死が正当化されるなら、その名が何であれ
俺達はみな責任を負うことになる

精霊が舞う 亡くなった人々に敬意を表して
まだ時間のあるうちに 何とかしなくては
武器を深く埋めてしまえ
泣き、痛みを癒す事ができるように
そうすれば俺達はもう1度生き直せる
もう1度生きられる 何故って

復讐で埋め合わせをしても
何にもならない
疑いが増すばかりだ
神が双方の味方をし
死が正当化されるものなら、その名が何であれ
俺達はみな責任を負うことになる
でも分からない
どうして人が平和のもとに誰かを殺したりできるのか
馬鹿らしいじゃないか
だけどこれは確かだ
俺はどんな災難からも家族を守る

ENGLISH


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ジョン・バトラー・トリオのライブを観て来ました。
長いドレッドロックスをばっさり切って、顎の線に沿った髭をたくわえて
黒いタンクトップを着たジョンはそのほっそりした体型も相まって
何だか若い頃のブルース・スプリングスティーンのようでした。

この"Fire in the Sky"の歌詞からも明らかですが
ライブを観ると更に彼らが音楽を政治・社会的メッセージを伝えるための
重要な媒体とみなしている事が一層よく分かった気がします。
「ツアーでアメリカを周るたびに、アメリカのテレビは『音楽』をやっていないと感じる。」
とも言っていて、観客の「MTV sucks!」の声にも同意を示していました。
そんな発言もその通りだと思えるほど、彼らの演奏は3人とは思えないほど密で深みがあり、
そのメッセージ性も明瞭でした。

ジョンは曲間に何度も「PEACE,LOVE, and UNITY!」を繰り返し、
4日が命日のマーティン・ルーサー・キング牧師に敬意を表した"Thank You"という曲も披露しました。
ベーシストのシャノンはコントラバスに漢字で「鯨」と書いていましたが、
これについてのコメントはありませんでした。
(バンドはオーストラリア出身です。)
ライブ前の選曲やファッション、音楽、メッセージを見ると
バンドがレゲエの影響を受けている事が分かりますが、
私はどういうところに彼らが共感するのか知りたいと思いました。

今日取り上げた"Fire in the Sky"は私がアルバム『Grand National』の中でも最も好きな1曲ですが
これについては
「長い間、6カ月かそこらは演奏していなかったんだけど、ここへ来て毎回演ってるんだ。」とジョンが言っていて嬉しく思いました。
3月にイラク戦争開戦から5年目を迎えたために、再び演奏するようになったのかもしれません。

これだけ音楽の中身について書いてしまうと重たい音楽のように思ってしまいそうですが、
音楽はありとあらゆるジャンルを雑多に詰め込んだ実に楽しいものです。
ジョンの笑顔の演奏が気持ち良く、後ろの方から観ていると観客の踊る姿も見えて幸せな気持ちになりました。
どんなに強いメッセージでも受け取り手に多くの選択肢を与えてくれるという点で
音楽は本当に優れた表現媒体なのかもしれないなあと思いました。
きっと会場中が彼らのメッセージを丸ごと支持する訳ではないのに
音楽を通じて束の間の「UNITY」が確かに実現されているようだったからです。



Jimmy Eat World @ なんばHatch (3/21)

2008-03-23 22:14:34 | Live in Concert
"WORK"
もしたった1度 君が僕のするままにさせてくれれば
幸せな結果になっていただろう
今夜何が起ころうとも
ふざけているなんて思わないでくれ
愛が与え、受け取るものでない時があるだろうか
僕自身がプレイされるべき試合なんだ

僕が言えることはこれだけだ
留まっていてはいけない
車に乗せてくれないか
ここから出て行こう まだ時間があるうちに

最高のDJはみんな
1番スローな曲を最後にとっておく
ダンスの間 そこにいるのは僕と君
さあ そんなに悪い事はないんじゃないか
僕らは同じことを考えているかもしれない
でも僕はもう争わない
感情をむき出しにするのは性に合わない
信じてくれ

僕がいつも正しかったとは言えない
でも君にも責任はある
やるべきことと気晴らしを
僕らみたいに 混同しては絶対にうまくいかないんだ


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なんばHatchでのジミー・イート・ワールドのライブに3/21に参加しました。
私の中ではバンドへの思い入れが同程度の場合、1番楽しいと思える類のライブでした。
どんな類かと言うと、バンドが演奏するだけでオーディエンスが一気にヒートアップして
飛び跳ねたり、声を限りに歌ってしまうようなライブです。
この先、自分の好みがまた変わっていくとどうなるか分からないけれど
今はこういうライブを前の方でもみくちゃになりながら見るのが最も好きです。
今回は頭の上をたくさんの方々が泳いで行かれました。
彼らの歌詞は単語はそんなに難しくないのだけど前後のつながりなどのためによく分からないところもあるのですが
素晴らしいメロディセンスのためか、バンドが煽らずともオーディエンスが歌うべきところをしっかりと心得ているようで
全体を通してシンガロングが絶えない楽しくも感動的なライブでした。
今日は終わって前よりも好きになった"Work"を載せました。

私のJEWに対する興味は主に彼らのメジャーデビュー盤と言える『Bleed American』(2001)にまつわる逸話から始まります。
このアルバムは2001年の7月にリリースされ、
"The Middle""Sweetness"といったメロディのたった耳に残るシングルを飛ばしながらヒットしました。
しかし、9月に同時多発テロが起きた後アルバム名は『Bleed American』から『Jimmy Eat World』にバンド側の配慮から変更となったのです。
これもまた、社会と音楽の関係を私に強く意識させる出来事でした。
2001年の出来事とその後の社会はそれくらい人々が言動に神経を尖らす事を要求したと言えます。

そのアルバムタイトルとなった"Bleed American"の歌詞も示唆的です。
最初の部分はこう始まります。

「僕は孤独なんかではない テレビをつけているから
 僕はイカレてなんかいない 何故って毎日正しい薬を飲んで休息もとっているから」


"Work"のような内容の方が多いかもしれないけれど
歌詞を読んでいくと、政治的な含みや社会に対する疑問ともとれるような箇所もしばしば見受けられます。
アリゾナで1993年に結成されたこのバンドも今年で15年目となり、既にUSロック界では定まった位置を得ています。
良いメロディを書き、堅実なライブ活動を続け、女の子の事、成功する事、アメリカに生きるという事を歌う、
少し地味かもしれないけどJEWには1つのバンドに求めたいものがつまっている気がします。

▼セットリストを追加します

Big Casino
Sweetness
A Praise Chorus
Crush
Work
Always Be
Ten
Let It Happen
Blister
Here It Goes
Dizzy
Your New Aesthetic
Just Tonight
No Sensitivity
Bleed American
Pain

(Encore)
Hear You Me
Futures
The Middle


The Police @ 東京ドーム (2/14)

2008-02-14 22:51:51 | Live in Concert
ザ・ポリスの再結成ライブを東京ドームで観て来ました。



27年ぶりの再来日で今日が再結成ライブの100回目だったそうです。
本当に素晴らしかったです。予想以上でした。
本当に生きているといい事があるんだなあってしみじみ思いました。
物心ついた頃からスティングの声には親しんでいたのですが、
その声を生で姿を目の前にしながら聴いている事の驚きや、声やメロディの懐かしさのようなものを感じ、
更に黒のタンクトップを着たスティングの現役の艶っぽさに魅了され、胸がいっぱいになりました。

オーディエンスの方々も私が普段行くライブとは客層が違って新鮮でした。
殆ど周囲は私の親世代の方達でしたが、最初はぎこちない感じも漂っていたのに
終盤に近づくにつれてどんどん熱気が高まっていくのがはっきりと分かりました。
本編ラストの"Roxanne"ではみんなで「ロ~~クサぁヌ!」と大合唱になった事にも感激です。
アンコールの最後から2番目の"Every Breath You Take"では涙にむせてしまったほどでした。
これだけ多くの人に愛されてきた曲をそれを作り出した人と、愛してきた人々と今共有しているのだと思うと何て幸せなんだろうと思うのです。
たった数分の音楽ですが、この曲のない人生は考えられません。
この曲がこの世界に存在するようになってからどれだけ多くの人の人生に足跡を残してきたかを想像すると素晴らしい気持ちになります。

普段、音楽を聴く時にはそんなにいつもいつも一生懸命聴いている訳ではないけれど
毎日毎日聴き続けるといつの間にかそれが自分の中で欠かせない存在になっているという事を
こうした瞬間にとても実感します。
毎日良いことばかりではないけれど、私は音楽が聴ける限り幸せなんだということを忘れないようにしたいです。
それにこうして27年間待って実現する夢だってあるのです・・・!
同じイギリスの誰かさんは「年食う前に死んじまいたい」なんて言っていましたが
やっぱり生きていて損はないのかもしれません。

セットリスト追加します

SETLIST:
MESSAGE IN A BOTTLE
SYNCHRONICITY II
WALKING ON THE MOON
VOICES INSIDE MY HEAD ~WHEN THEWORLD IS RUNNING DOWN
DON'T STAND SO CLOSE TO ME
DRIVEN TO TEARS
HOLE IN MY LIFE
EVERY LITTLE THING SHE DOES IS MAGIC
WRAPPED AROUND YOUR FINGER
DE DO DO DO, DE DA DA DA
INVISIBLE SUN
CAN'T STAND LOSING YOU
ROXANNE

KING OF PAIN
SO LONELY
EVERY BREATH YOU TAKE
NEXT TO YOU