"Post Acid"
マジで惨め
慰めてくれない?
俺が必要としている時には
分かってくれる?
理解してくれんの?
俺が必要としている時には
分かってくれる?
俺は楽しんでるだけ
楽しい思いをしてるだけなんだって
君とね
君とだよ
手を握ってよ
手をとってくれない
俺が必要としている時には
分かってくれる?
ENGLISH
3月3日には、渋谷クラブクアトロでWavvesのコンサートがありました。
Wavvesはカリフォルニア、サンディエゴ出身のネイサン・ウィリアムスを中心とするプロジェクトです。ブルース・スプリングスティーンやガスライト・アンセムなんかとは大分毛色の違うアーティストですが、偶然、去年12月に日本盤がリリースされた最新アルバム『King of the Beach』(2010)を聴く機会があり、割と好きになった人でした。1曲目のタイトル曲から活きが良くて、掴みも良くて、中には"Baseball Cards"のようにBeach Boysを思わせるようなコーラスやウォール・オブ・サウンドっぽいプロダクションがあったりしてなかなか楽しい1枚でした。寒い日に聴くとなんとなく暖かくなる気がして時々聴いていました。
でもそれ以上に、もしかするとWavvesのような人なり、音楽なり、というのは私にとってはブルース・スプリングスティーンと対極にあって、だからこそ時々必要になるようなものなのかもしれません。ブルースの音楽は私にとって時に厳しいまでの誠実さを強いるもの、つまり自分や自分の生き方との妥協のない向き合い方を強いるものだと思うのです。でも時にはそういうこともできないくらい気持ちが弱くなってしまうこともある。人のせいにしたり、もうどうでもいいやという気持ちでいろいろなことを放り出したくなってしまうことももちろんある訳です。Wavvesは私にとってはそういう時のための音楽という向きが強いかもしれないです。気怠い歌とうるさい楽器の音の組み合わせはとても気持ち良く、繰り返しの多い歌詞も難しいことを言わない。「俺の真後ろで俺のことを笑い者にしてただろう/でも俺は不死身だし/頭の中でサーフィンしに行こう」("Idiot")というような開き直っているのか逃げているのかよく分からないような態度。
高校生の頃、Babyshamblesというバンドの"Fuck Forever"という曲がとても好きで、どうしようもなくつまらない気分で学校に行くバスに朝早く乗りながら、イヤホンでこの曲を大きな音でかけていたのを今でもとても鮮明に思い出すことができるのだけど、それは、なんてつまらないんだろう!という気分と同時に、でもある種の逃げ場か解放感を与えてくれるものでもあったのです。中心メンバーのピート・ドハーティの生活も含めて頽廃的で破壊的なものに自分の気持ちを代弁させていたということなのかもしれません。Wavvesのもたらす心地良さというのはどことなく、その時の感情を思い出させるものでもあるな、と思うのです。3日の日に彼のコンサートを観たいと思ったのは、2月最後の日にSuze Rotoloの訃報を聞いてからというもの、どうにも心が晴れなかったから、というのが1つの理由でした。
コンサートはもう少し手頃なチケット価格で小さな会場でお客さんとぐちゃっと親密さを感じられると良かったなとは思うけれど、期待外れということもなく楽しめました。特にアンコールの最後にものすごい勢いで演奏された"Post Acid"は確かに何とは言えない憂鬱をさっぱり吹き飛ばしてくれるくらい良かった。短いコンサートだったので(1時間くらい)、これで終わるのは惜しいなという思いがあった半面、これ以上良い終わり方はないとも思えるくらいかっこ良かったです。聞いたところでは、ネイサンくん(と言いたくなるくらい見た目が若かった。たぶん同い年くらいだと思うのだけれど)は結構とんでもない人らしいということだったので、どんなことになるのか、どんな人なのか少し不安に思いながら来たけれど、ステージに現れた様子は本当に普通の男の子という感じで留学中に大教室で受けていたアメリカ史の授業にあんな男の子がいたな…と思ったくらいでした。着ているものも、本当に今時の普通のアメリカの白人の男の子という感じです。曲と曲の間でチューニングをしながらMCとも言えないような小声の独り言のような話をしたり、よく分からない冗談を言って、こちらも応え方に戸惑って微妙な雰囲気になったり、ということもあって、不慣れな感じは否めなかったけれど、演奏は結構安定しているようで(出だしで間違ったりはしていたけれど)自然と身を任せて没頭しているうちにあっという間に終わってしまいました。途中で挟まれたBlack Flagの"Nervous Breakdown"のカバ-は1番Wavvesらしさがなくて、素人が好きでカバーしているみたいだったのが印象的でした。
セットリストはこちらをご覧ください。
マジで惨め
慰めてくれない?
俺が必要としている時には
分かってくれる?
理解してくれんの?
俺が必要としている時には
分かってくれる?
俺は楽しんでるだけ
楽しい思いをしてるだけなんだって
君とね
君とだよ
手を握ってよ
手をとってくれない
俺が必要としている時には
分かってくれる?
ENGLISH
3月3日には、渋谷クラブクアトロでWavvesのコンサートがありました。
Wavvesはカリフォルニア、サンディエゴ出身のネイサン・ウィリアムスを中心とするプロジェクトです。ブルース・スプリングスティーンやガスライト・アンセムなんかとは大分毛色の違うアーティストですが、偶然、去年12月に日本盤がリリースされた最新アルバム『King of the Beach』(2010)を聴く機会があり、割と好きになった人でした。1曲目のタイトル曲から活きが良くて、掴みも良くて、中には"Baseball Cards"のようにBeach Boysを思わせるようなコーラスやウォール・オブ・サウンドっぽいプロダクションがあったりしてなかなか楽しい1枚でした。寒い日に聴くとなんとなく暖かくなる気がして時々聴いていました。
でもそれ以上に、もしかするとWavvesのような人なり、音楽なり、というのは私にとってはブルース・スプリングスティーンと対極にあって、だからこそ時々必要になるようなものなのかもしれません。ブルースの音楽は私にとって時に厳しいまでの誠実さを強いるもの、つまり自分や自分の生き方との妥協のない向き合い方を強いるものだと思うのです。でも時にはそういうこともできないくらい気持ちが弱くなってしまうこともある。人のせいにしたり、もうどうでもいいやという気持ちでいろいろなことを放り出したくなってしまうことももちろんある訳です。Wavvesは私にとってはそういう時のための音楽という向きが強いかもしれないです。気怠い歌とうるさい楽器の音の組み合わせはとても気持ち良く、繰り返しの多い歌詞も難しいことを言わない。「俺の真後ろで俺のことを笑い者にしてただろう/でも俺は不死身だし/頭の中でサーフィンしに行こう」("Idiot")というような開き直っているのか逃げているのかよく分からないような態度。
高校生の頃、Babyshamblesというバンドの"Fuck Forever"という曲がとても好きで、どうしようもなくつまらない気分で学校に行くバスに朝早く乗りながら、イヤホンでこの曲を大きな音でかけていたのを今でもとても鮮明に思い出すことができるのだけど、それは、なんてつまらないんだろう!という気分と同時に、でもある種の逃げ場か解放感を与えてくれるものでもあったのです。中心メンバーのピート・ドハーティの生活も含めて頽廃的で破壊的なものに自分の気持ちを代弁させていたということなのかもしれません。Wavvesのもたらす心地良さというのはどことなく、その時の感情を思い出させるものでもあるな、と思うのです。3日の日に彼のコンサートを観たいと思ったのは、2月最後の日にSuze Rotoloの訃報を聞いてからというもの、どうにも心が晴れなかったから、というのが1つの理由でした。
コンサートはもう少し手頃なチケット価格で小さな会場でお客さんとぐちゃっと親密さを感じられると良かったなとは思うけれど、期待外れということもなく楽しめました。特にアンコールの最後にものすごい勢いで演奏された"Post Acid"は確かに何とは言えない憂鬱をさっぱり吹き飛ばしてくれるくらい良かった。短いコンサートだったので(1時間くらい)、これで終わるのは惜しいなという思いがあった半面、これ以上良い終わり方はないとも思えるくらいかっこ良かったです。聞いたところでは、ネイサンくん(と言いたくなるくらい見た目が若かった。たぶん同い年くらいだと思うのだけれど)は結構とんでもない人らしいということだったので、どんなことになるのか、どんな人なのか少し不安に思いながら来たけれど、ステージに現れた様子は本当に普通の男の子という感じで留学中に大教室で受けていたアメリカ史の授業にあんな男の子がいたな…と思ったくらいでした。着ているものも、本当に今時の普通のアメリカの白人の男の子という感じです。曲と曲の間でチューニングをしながらMCとも言えないような小声の独り言のような話をしたり、よく分からない冗談を言って、こちらも応え方に戸惑って微妙な雰囲気になったり、ということもあって、不慣れな感じは否めなかったけれど、演奏は結構安定しているようで(出だしで間違ったりはしていたけれど)自然と身を任せて没頭しているうちにあっという間に終わってしまいました。途中で挟まれたBlack Flagの"Nervous Breakdown"のカバ-は1番Wavvesらしさがなくて、素人が好きでカバーしているみたいだったのが印象的でした。
セットリストはこちらをご覧ください。