仕事の結び目

コンサルタント&ファシリテーターの朝尾直太が仕事に関係するテーマについて記すコラム。

経営シミュレーションに必要なリーダーシップ(その2)

2006年07月20日 | 組織・リーダーシップ
前回、経営シミュレーションで「うまくいかないチームの特徴」をいくつか挙げた。しかし、「どのようなリーダーシップが必要とされるのか?」は、

「メンバーが(うまくいかないチームに見られる)問題を意識したうえで、互いに働きかければ克服できる。必要なのはそういうリーダーシップだ。」

と記しただけで、あまり具体的に示さなかった。実はこの問いに答えるのは難しいのだ。

いろいろなチームを観察していると、ぼそぼそと小声で話し合うだけで、誰が議論を仕切っているのか判然としないチームがあり、なぜかしばしばそういうチームがトップになることに気づいた。
しばらくはそういうチームもあるんだな、ぐらいにしか思っていなかったが、徐々に、それが一つの強いチームワークのスタイルだと確信するようになった。

そういうチームの特徴は、次のようなものだ。

1)とくに仕切る人はいないが、メンバーの発言力・発言量にあまり偏りがない。
2)議論に終始せず、分析や試算などの作業もきっちりやる
3)(分析や試算にもとづいたものも含め)意見や視点の違いは見られる
4)なぜか4名 (3名以下で実施することはまれ。5名以上でこのバランスを保つのは物理的に難しいのかもしれない)。

4名という点を除けば、「うまくいかないチーム」の特徴として挙げたa)b)c)d)の裏返しでもあるので、理にかなっているように思う。

考えてみれば、脳ミソも手も人数分あるわけだから、それを最大限活用する方が強いに決まっている、と言えないか?
明晰な頭脳に豊富な知識と経験の持ち主であっても、一人の脳ミソと作業量では、複数の脳ミソと作業量にはかなわない。おまけに一人では視点が限られやすい。

つまり強いチームというのは、 見た目のやりとり(コミュニケーション)の様子は違っても、

メンバー全員の脳ミソ(異なる視点を含む)と手(作業)を、うまく活用するチームワークスタイルをとるチーム

だと考えている。
そのために必要なリーダーシップは、結局やや抽象的になるが、メンバー全員の参加 を促し、力を引き出すタイプのものだろう。