仕事の結び目

コンサルタント&ファシリテーターの朝尾直太が仕事に関係するテーマについて記すコラム。

リーダーを育成する方法についての本

2007年03月30日 | 組織・リーダーシップ
「ハイ・フライヤー ――次世代リーダーの育成法」
モーガン・マッコール 著
金井壽宏 監訳、リクルート ワークス研究所 訳
2002年(原著1998年)、プレジデント社

昨年から社外のパートナーと組んで、リーダーシップなどテーマにした研修プログラムの開発に取り組んでおり、この分野の本をいくつか読んでいる。この本は――実はまだ読み終えていないのだが――最新刊でもなく、出版当時話題になった記憶もないが、人材育成に携わるものにとっては非常に刺激的だ。

著者の主張は一言で言えば、リーダーの育成は、リーダーシップを持つタイプの人材を選抜することによってではなく、リーダーシップが開発される「仕事経験」を積ませることによって行うべき、というもの。つまり、リーダーシップに先天的な資質のようなものは重要でなく、また研修などの教育プログラムで開発されるものではない、ということだ。

おいおい、研修はダメなのかとなるが、無駄だと言っているわけではない。仕事経験が最も重要だから、リーダー育成はそこに焦点を当てないとダメだよ、という話だ。

研修や外部から支援を行う立場にとっては、次のような教訓が得られるのではないか。

1)研修は、その前後の実務経験と結びつけられなくてはならない。

実務に結びついた内容の研修をやる、という話ではない。研修の場において、参加者が研修内容を自らの経験と結びつけるための支援を積極的に行う、という意味だ。多くの研修で当たり前になりつつあることではあるが、とくにリーダー育成に関わるものの場合、その要素を大きくすることが重要だろう。

2)外部のファシリテーターやコンサルタントは、リフレクションを促す役割を果たすべきである。

研修参加者などが自らの過去の経験からより多くを学べるように、適切な質問などをして、リフレクション(省察)を促すことが大切だ。また、将来の経験からも学べるように、「経験からより多くを学習する」手法を身につけてもらうことも大切だろう。

興味を持たれた方は、ぜひ本をご覧になって、ご感想、ご意見をお聞かせください。