仕事の結び目

コンサルタント&ファシリテーターの朝尾直太が仕事に関係するテーマについて記すコラム。

拡大質問と限定質問  メールでは限定質問を

2007年01月23日 | 組織・リーダーシップ
「あの人はAさんですか?」と尋ねるのを「限定質問」、
「あの人は誰ですか?」と尋ねるのを「拡大質問」と言う。

「限定質問」は「はい/いいえ」(Yes/No)で答えられる形式の質問で、それ以外が「拡大質問」。
それぞれ、クローズド・クエスチョン、オープン・クエスチョンとも言う。

■面談では「拡大質問」
相手にたくさん話してもらいたいとき、多くの情報を引き出したいときは、拡大質問が有効だ。例えば、営業活動のとくに初期に効果的と言える。

このとき大事なのは、実際に会って話をすることだ。拡大質問の回答は話題が広がりやすいので、わからない点を「その場」で確かめる必要があるからだ。

■メールでは「限定質問」
したがってメールは限定質問で十分な状況に絞るべきだろう。例えば営業活動なら、訪問予定など事務的な連絡などだ。

とはいえ、面談のアポどりができずメールに頼らざるを得ないこともある。そんなときは、漠然とした拡大質問をしないように気をつけたい。回答の的を絞りこみやすいように、メールでは限定質問の形をとるとよい。

具体的には、
 「今回の研修の対象者はどういう方ですか?」
のように尋ねるのでなく、きちんと仮説を立てて、
 「今回の研修の対象者は、入社2-3年目の若手技術職の方ですか?」
というように尋ねるのだ。
仮に仮説(質問)が的を外していたとしても、「違います」とだけ返してくる人はいないので、
 「今回は5-6年目の社員が対象です。」
というような回答が得られるだろう。

もっとも、これで済むからといって、メールでいくつも質問すべきではない。事務的なものでなければ、1つか2つまでではないか。

「フューチャー・オブ・ワーク」

2007年01月19日 | 組織・リーダーシップ
『フューチャー・オブ・ワーク』 トマス・W. マローン, 高橋 則明[訳], 2004/09. [ランダムハウス講談社, ISBN 4270000368]

組織の形態・意思決定構造について、さまざまな示唆に富む一冊。2年近く前、私はこの本を通じて「組織のデモクラシー」というコンセプトに出会った。

基本のメッセージは、ITによる情報伝達コストの低下が、組織の意思決定構造を集中化から分散化に向かわせる、というもの。「分散化の連続体」として、「集中化された階層制」「ゆるやかな階層制」「民主制」「(組織内・外の)マーケット」が同列に並べられている(集中化から分散化の順)。

ここでいう「民主制」は投票による意思決定を指しているに過ぎない。それでも「民主制」が「階層制」と「マーケット」の間に配置されていることに、当時は驚いた。

「民主制」は社会に適用される意思決定のしくみだと、漠然と思い込んでいたが、その鱗(うろこ)が剥がれたとたん、組織の中にある民主制の要素が次々と目に映るようになった。人間の認識はパラダイムやフレームワークの制約を受けていることを、つくづく痛感する。

最近読み返してみて、2年前よりはるかに深く理解できることに気づき、改めて内容の価値の高さを感じている。

■原題: The Future of Work: How the New Order of Business Will Shape Your Organization, Your Management Style, and Your Life

■著者: トーマス・W・マローン(Thomas W. Malone) マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院、パトリック・J・マクガヴァン記念講座教授。MITコーディネーション・サイエンス・センターの設立者であり、代表を務める。(カバー折り返しより抜粋)

相関から因子分析までの統計学をウェブで学ぶ

2007年01月12日 | Weblog
今どきはビジネス実務の世界にいるからといって、相関分析や検定のことを知らないでは済ませられないことが多い。自分でデータ処理までできなくても、結果を理解・検討するだとの力はつけておきたいものだ。

私も大学で勉強しなかったツケが、社会人になってから入った大学院で論文を読むときに回ってきた。当時はにわか仕込みで乗り切ったが、きちんと勉強しておきたい。

〈アイスクリーム統計学にようこそ〉
これは一緒に仕事をしている仲間から教えてもらったサイト。相関から因子分析までの統計学をウェブ上で学べる。しかも無料なので、お勧めしたい。

以前のブログ記事〈「学習0,1,2」とビジネスゲーム研修〉で登場した向後千春助教授(教育学博士)の研究室が公開している。