エンタメモンスターのひとりごと

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『ブロークバック・マウンテン』20年にわたる男2人の熱い愛と家族の葛藤

2017-12-28 20:00:00 | 洋画
観たあとの余韻が長く、物語に引きずり込まれて息を呑むような映画にまた出会ってしまった。

舞台は1963年、ワイオミング州 シグナル。
仕事を求めてそれぞれ行動していた若い男イニス(ヒース・レジャー)ジャック(ジェイク・ギレンホール)が、"ブロークバック・マウンテン"と呼ばれる山でひたすら羊を獣から見守り続ける仕事を与えられることから物語は始まる。

山では何匹もの羊や移動の馬や牧羊犬や山羊などと過ごし、実質人間は2人だけ。
山での生活や仕事は過酷なものだったが、たまたまこの地で出会ってこの仕事を共同ですることになり、互いの話をし合って寝食を共にする内に仲間を越えた感情を抱くようになる。

それは決定的な体の結び付きで関係性が明確なものとなるのだが、それぞれ同性愛者ではなかったし時代背景も手伝って抱いた感情の行き場を無くす。
やがて仕事の終了と共に、後ろ髪を引かれる思いを静かに抑えながら別れることに。

それから4年の歳月が流れ、互いに家庭を持ったものの生活に疲れ始めていた頃に再会を果たすが..._


偶然の出会いから約20年間に渡る男たちの繊細で激しい愛、その家族や周囲の戸惑い怒り悲しみ、そして変わらない想いが絶妙に絡み合った作品だった。

山という広大で閉鎖的な環境が彼らを引き合わせたのか、はたまた環境はただの環境であって惹かれる気持ちは事故なんかではないのかと恋愛感情が生まれるプロセスが一筋縄では語れないものだと感じた。

また互いの妻や子どもの目線も随所に散りばめられており、特にイニスの妻アルマ(ミシェル・ウィリアムズ)が徐々に2人の関係性に気づき始めて葛藤する様には複雑な気持ちになった。
愛して愛されて一緒になり子どもをもうけたはずなのに、今まで過ごした時間は一体何だったのかとアルマの表情から苦しいほど伝わってきてひたすら胸が痛かった。

本当に愛って何だろう。
今までどれほどの人間が愛によって救われ、狂わされてきたのだろうと見終わってグッと考え込んでしまうほどの作品だった。

Brokeback Mountain Trailer