エンタメモンスターのひとりごと

エンタメ好きが綴る感想ブログです。

ゴーリーのシュールな世界へお邪魔します。

2015-07-25 10:10:32 | 
初めてエドワード・ゴーリーの作品を
読むならばどれがいいんだろうと
悩みに悩んだ末、
『華々しき鼻血』をセレクト。


まず、タイトルが秀逸。
思わず「華々しき鼻血って何だろう?」
と考え込んでしまうくらいで、
表紙の絵も意味深...

そんな一度見たら忘れられないキャッチーさに
強烈に惹かれた。
今後の記事タイトルに生かしたいと
思ったほど(笑)


そしていざ中身を拝見。

左側には原文と訳文が、
右側には文に添ったモノクロの線画が
描かれている。


この絵本は『副詞』にスポットを当てた
アルファベット・ブックと呼ばれる
絵本なのだそう。
味わい深く語呂の良い言葉と
シュールな線画が最高にマッチしていて
思わず"くすっ"と笑ってしまった。


とくにお気に入りなのが以下の6つ。

『C』
いかにもやる気がなさそうな
猫背のメイドの表情がじわじわ来る(笑)
そしてプディングが可哀想なことに。

『G』
ゴーリーは生前筋金入りの
バレエファンだったのだそうで、
この絵を見ていると今にも
しなやかに踊り出しそうな
バレリーナの雰囲気を感じた。

手や足の動きの繊細さ、
衣装のヒラヒラ具合が躍動的で
文章と共にとても素敵なページ。

『H』
まるで今の自分自身を見ているような
不思議な感覚に陥った。
片隅にいるネコも何か悩んでいるのかな?

『L』
お気に入りの中でも1番目に好きなページ。

男はコートの下に
スーツを着ているようなので
露出狂ではなさそうだけど、
(もしかしたら局部だけ...)
この訳文がするりと目に飛び込んできた瞬間
しばらく笑いが止まらなかった。

普通だったらとんでもない行為なのに
妙に惹き付けられるので不思議なページ。

『T』
目がチカチカしそうな廊下の壁紙。
涙をハンカチで押さえながら
部屋を飛び出す女性の絵。

部屋の奥で見切れているのは、
長椅子のようなものに横になった
男性らしき足。

多分この男性は亡くなっていて、
涙を流している女性は
第一発見者なのかな?

涙の女性のエレガントな衣装や
アクセサリー、廊下の壁紙、
大きな植木鉢といい、
裕福な暮らしをしている人なのかも。

『W』
きっとこの絵本の中で一番悪趣味なページ(笑)

いいなと思う所は倒れている人(恐らく女性)の
足元の部分だけを描いていること。

Tのページでも同じ手法が取られていて、
生きている者にフォーカスを当てる
というのが素晴らしいと感じた。

それだけで「何があったんだろう?」と
含みが持てると思うので非常に好きなページ。


初めてのエドワード・ゴーリー、
この「華々しき鼻血」を選んで良かった。

遊び心を持って尚且つ言葉を巧みに扱う姿勢は
とても尊敬する。

これから益々ゴーリーのシュールな世界へ
どっぷりと迷い込んでいきそう。