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★元阪神タイガース・井川慶投手応援ブログ★

【文字起こし】デイリースポーツ「井川慶 孤高左腕の真実」

2005-10-28 23:45:53 | 井川慶
第1回 「一日も早くメジャーへ」(10/28)

 井川が27日、ポスティング制度による今オフのメジャー移籍を敢行、米球界で野球人生を終えたいという、並々ならない決意をデイリーだけに激白した。
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 日本一という目標が残念な形で終わり、ここで改めて、僕の夢の話をさせてください。ファンの方も、分かっているかな思うところもありますが―。昨年からの思いは同じです。とにかく、一日でも早く、メジャーリーグでプレーをしたい。
 球団の方に、僕の気持ちを伝えたのは03年から。そして去年、ああいう形で言いました。記者会見をして…すっきりした部分はありました。自分の昔からの夢について、堂々と言えなかったことが不思議ですから。
 アメリカに渡って、世界最高のリーグでプレーをする。憧れというのは、高校の時、プロに入る前にはあった。サッカーのワールドカップを見て、世界のレベルに興味があって、野茂さんとかも行かれて。どうせやるなら、高いレベルでプレーしたいと。
 日本の野球に満足できないわけじゃない。野球は好きです。でも、昨年もわがままだとか、よく言われました。なんで、わがままになるのかなと…。僕がしていることは、ずっと言っていたように、お願いです。
 でも、こういう考えは反対されがちで。今、阪神ファンの中で、藪さんのことを誇りに思っている人は、どれぐらいいるでしょうね?もしかして出て行ったから裏切り者、とか思われたりするんじゃないですか。
 サッカー界を見たとき、僕は鹿島アントラーズが好きで、柳沢さんとかが世界に出て、すごくうれしかった。がんばってくれっていうね。そういう空気になる、ファンの気持ちがうれしい。新庄さんが行かれたときも、そうです。一緒に少しでもプレーした人が、メジャーでプレーする。とにかくすごいなと、誇りに思えます。

 1年間、とにかくケガが怖かった。先発として、チームのためにローテを守る。個人のタイトルなんて、どうでもいい。どんな形でも、優勝という目標があった。それだけを考えて、貢献度というのは別にして、優勝できて本当に良かった。
 今年のチームは、勝つことに集中できる良いチームでした。阪神には感謝してます。バックアップしてもらって、あとはチームメート、コーチ陣、トレーナーやスコアラー…道具とかももらえて、タイガースという環境に恵まれました。
 来年からメジャーに行きたい。素直な思いを、球団の方に伝えたい。もし行けるなら、マイナーであってもいいんです。実績がないのでゼロからのスタート。1からじゃなくてゼロから。球団へのこだわりもない。視察とか、見たいというのもありますが、テレビでも見られます。行ったときのお楽しみです。
 もう、26才です。とにかく旬な時に行きたい。自分は遅いです。まだ、伸びるか分からない。向こうで伸びるかも分からない。でも、対応していかなきゃいけないので、向こうで伸びないと。
 夢が叶うかどうか―。近付いているのかなと感じる部分はあります。もしメジャーに行ければ、理想は向こうで現役を終えることですが、それはまだ先のこと。日本が、もっと魅力的なリーグになっているかもしれません。ただ、夢が実現すれば、とにかく向こうでがんばるしかない。
 納得されない方もいるでしょう。申し訳ない気持ちもあります。ただ、理解してもらえれば幸せです。たった一度の人生、決意は変わりません。


第2回 「『井川ファン』に申し訳なかった」(10/29)

「井川の独白」第2回からは、Q&A方式で井川自身のファンに対するメッセージをお届けします。
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― マスコミについて。
「世論を動かせるのはマスコミだから、怖いですよね」
― あまり多くを喋らないのは?
「新聞はその日その日が勝負。ウソはダメですけど、その人の主観で書いて面白ければ良くて…。でも、それを悪いとは思わないし、楽しむ人もいるわけですから」
― 理解はしようとしてる。
「でも、野球以外のことも書くでしょう。髪の毛のこととか余計に騒がれる部分もあったのかなと。その重大さというか、分かって頂ければと思うこともあります」
― ファンからのきつい野次もあると思うが。
「試合の時はお金を払って見に来てもらっているわけなんで、仕方ないことです」
― ピッチングの楽しみ方を伝えたいという気持ちはあると思うが。
「いや、もう十分楽しんでるでしょう。それでいいんじゃないですか。そこまで自分は要求できません。お金を払って見に来られているので、そこは自由にしてもらえれば」
― 自身のホームページを見てくれるファン層は?
「女性が多い。送ってくるメールは、例えば『この試合は大変でしたね。私はこういう状況で同じように大変で、一緒にがんばりましょう』というような感じとか」
― メジャーへの夢についてはどんなメール?
「任意引退で行っては―とかありますけど、それは無理なことです」
― ファンからの応援はありがたいはず。
「車で球場に来る時に『井川、がんばって』とか書いたボードを、いつも持ってくれているファンもいました。それを見て本当にうれしかったし、逆に申し訳なかった」
― 申し訳ない?
「井川のファンということで肩身の狭い思いをした人もいたでしょうから。でも、そういうファンのためにも投げたいという気持ちはいつも持っていましたし、だから日本シリーズも勝ちたかった…」
― 甲子園はいつも満員で恵まれている。
「500人とか1000人の中で投げるより、それはいいですよ。でも、辞めた時になったら、もっとよかったかなとかありがたかったなと感じるでしょうね」


第3回 「今季の野球」編(10/30)

― 2年前にできなかったビールかけは?
「2日酔いはなかったけど、においが残ってて。服もベルトも、全部捨てました」
― セレモニーに間に合わなかったことは。
「プールから一度球場でトレーナーを降ろして、次の日から遠征だったので家でスーツに着替えて。タクシーは来たけど道が混んでたので、途中で降りてカバンを引っ張って急いだけど、間に合わなかった。遅れたことにショックでしたね」
― 技術的な話で、今シーズン、何度かフォームチェンジをしたが、ポイントは?
「いかに腕を振れるかです。この方がいいかなとか、こう投げたらどうかかるかとか」
― 見つかった?
「見つからないです、正解はないですよ」
― 今季、フォームでズレがあった原因とは?
「疲れだとか、あとは、ケガへの恐怖みたいなものはありました」
― シーズン最後の登板前(10月4日・横浜戦)に、昔のビデオを見たと聞いた。
「たまたま先発前に時間があって。生き生きとしてましたね」
― 今までで1番良かった年は?
「01年(9勝13敗)でしょう。気持ちが充実してた。02年は最初は勝ったけど、中継ぎに回されて。夏場に弱いとか言われました」
― 01年と比べて。
「フォーム的には変わっていない。腕の位置とかちゃんと2画面で見比べて、スローで1コマずつ見ても、全部一緒」
― それはいいこと?
「いいことです。体型は変わりましたよ。筋肉も体重も増えて。結果の差は、バッターが見ていないとかはあったかなと。02年は新ストライクゾーンがあって、01年はボールも飛ばなかった」
― エースと呼ばれることについては?
「エースといって、何が他のピッチャーと違うのか。ほかの先発ピッチャーとやることは一緒で、それは気にしません」
― 今年、1番悔しかったのは?
「1番と言えば2軍落ちの時ですけど、1年通して辛かったですよ」
― 岡田監督の存在は?
「あまりしゃべらないですけど、良くなくても使ってもらって。本当に感謝しています」


第4回 「自分の性格」編(10/31)

― ストレス発散は。
「1人でゆっくりしているとき。ゲームをしたり、映画を見たり」
― 人生で影響を受けた人は。
「数知れない。色々な人に、意見を聞いています。でも、1番最初は親になるでしょう。それから、小学校、中学校、高校の先生とか」
― 尊敬する人を書けと言われれば…。
「前はプロドーム(サッカーの元ベルギー代表のゴールキーパー)と書いてたけど、今は両親。でも親のまねはしなかった。お酒飲んだり、タバコ吸ったりはしない」
― タバコへの興味は?
「親は一般人、自分はスポーツやってるので。興味を持ったことも1度もない。必要ない」
― スポーツをやっていなくても?
「吸ってないでしょう。コンタクトレンズをしている人は、レンズを入れるやつを持ち歩きますよね。タバコだと、ライターも持ってないといけないし、面倒ですよ」
― 他に面倒なのは?
「時計もしないです。スーツの時は格好だけでするけど、基本的に時間も別に見られるし」
― 阪神に来て8年になるけど、関西弁がうつらないのが不思議。
「人に言われたけど、リスニングの力が弱いんじゃないかと…。聞いたことを言葉に変える力というか、だから英語もダメなんでしょう」
― 他の苦手科目は?
「国語です。国語は、答えが何通りも考えられるのに、1つにされる。数学の方が、答えがあるので分かりやすい」
― 長所と短所を書けといわれたら何を?
「長所は気長なこと、短所は時間にルーズ。友達との約束でも、1時間とか平気で待てます。全然苦にならない。その後に別の約束が入っていれば焦るけど、なければ待てますよ」
― 最大で何時間?
「それは覚えてないけど、携帯いじったりしながら待ちます」
― 短所と分かっていながら、なぜルーズに?
「分からない。ただ、練習終わってからとか、何かをやってからの約束だと遅れがち。1日でその約束だけってときには、守れてると思う」
― 団体行動は苦手?
「そんなことはないですけどね」
― 自分が女性で、井川慶と付き合える?
「付き合えますよ。気長な人だから(笑)」


第5回 「地元」編(11/1)

― 自分が家庭を持つとして、理想の家庭は?
「両親ですね。良い家庭で、すごく健全な家庭。何不自由なく親からの愛情をもらってます」
― 親孝行とは?
「何だろう。でも試合は見せたくない。ヤジとかすごいから。僕の息子が野球選手だとして、あんなヤジとかあったら嫌だから」
― 反抗期は?
「親としゃべらなかったとかもなかったです。おやじも近所の集まりとかで飲むぐらいで、毎日夜に帰ってきて、それが普通だと思ってました」
― 結婚はしたい?
「今はないですね」
― 子供はほしい?
「まだ考えられないです。人の子供と遊んだりするけど、ケガされたりしたらこわいですよね」
― いずれ地元に?
「野球をやめたら、とりあえず地元に帰るでしょう。今は出稼ぎみたいなものです」
― 高校(水戸商)の環境は?
「良かったです。変な上下関係もなくて。普通に後輩のジュースとかも買ってましたよ。先輩だから、後輩のを買っちゃダメとかないでしょう」
― 地元の友達とは。
「タイガースの井川、じゃなくて、普通の友達として扱ってくれる。価値観とか変わらないでいたいし、そういう意味でもありがたい」
― 何をして遊ぶ?
「ダーツしたりとか。カラオケは行っても歌わない。聞いてるだけでも楽しいから。そこも気長ですね」
― 普通ならできることができない窮屈さは?
「ゆっくりドライブしたり、町を歩きたいと思ったりしますけど、逆に疲れるでしょうね」
― 昨年、中学時代の友人を亡くしたと。
「舌がんでした。一緒に野球をやっていたので…。オフにお線香上げに行って、でも本当にショックですよ。写真にそいつが写ってるから」
― 何を感じた?
「野球人生は短い。40歳を超えて、大丈夫とかがない。1年先もあるか分からない。1年1年が勝負だから、切羽詰まった感じはあります。若いからとか関係ない」
― 引退後を考えたことは?
「何をするか分からないけど、今、ちょっと変わった世界にいるので、しっかりした金銭観と価値観を持ってないと。僕もヤバイとは思っていて、普通なら高級車も買えない。それを分かってないと」


最終回 「夢」編(11/2)

― 昔、誰かにファンレターを出したことは?
「ないですね。そんな子じゃないです」
― あこがれた人とかは?
「特にないです。小学校の時は『世界陸上』を見るのが好きだった。競技会とかがあって、その参考にしましたね。こうやって走るんだとか。背面跳びはどうやって跳ぶのかとか…」
― サッカーの川口能活(ジュビロ磐田)が好きだというのは聞いた。
「中学の時に、はまりました。中学校、小学校とか、遊びでキーパーをやったりして」
― どこが好き?
「キーパーって、シュートを打たれる前にボールに詰めれば、相手のシュートの範囲が狭くなる。そればっかり考えていて、誰かいないかなって思っていたら、川口さんが理想の動きだった。本当にかっこよかった。今でも高校選手権の決勝のビデオを残してますし、覚えてますよ」
― 対談したい?
「でも、川口さんの方がランクが上ですし。イギリスやデンマークにも行って…。僕はまだまだマイナーでしょう」
― 児童福祉施設の子供に、甲子園のシートを提供しているが。
「『IRON NERVESシート』として、4席。毎試合、自分が投げていないときも招待していますよ」
― 今は、人からあこがれられる立場だけど、子供たちからは、何かをもらったりもする?
「手紙とか、いろいろもらいますよ。手紙以外では、作ったものとか、寄せ書きの色紙とか、あとは織物とか。ちゃんと残してます」
― シートを用意したきっかけは?
「僕もやっと1軍に定着できて、次は子供たちに夢を与えられたらと思って」
― 子供からの手紙などで感じるものは?
「僕は、わりと客観的に見ちゃいます。自分への手紙なのに、今岡選手はどうしてますかとか。面白いなあ、子供らしいなあと。あとは阪神タイガースは、大好きだとか。良いと思いますよ」
― オフは地元で野球教室を行っている。
「あれはボランティアです。ちょっとしたお手伝いですよ」
― 夢を与えるということで、他に何か考えていることは?
「アフリカに学校を建てようかなというのは、ありましたけど」
― その発想がすごい…。学校というのは、小学校とか?
「そうですね。でも、具体的には進んでないんですけどね」
― 子供たちが、教育を受けられる場を提供するということ?
「ただ、本当にそれが役に立つのかどうか。それも勉強しないといけない。だから、もっと視野を広げないと。でも、何か人のためにしたいなというのはあります。夢は大事ですから」
(聞き手=阪神担当・道辻 歩)