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★元阪神タイガース・井川慶投手応援ブログ★

【文字起こし】2003年リーグ優勝・井川独占手記(スポーツ報知)

2003-09-16 15:47:38 | 井川慶
 正直いってまだ実感はないけど、今は素直にうれしい。確率は6分の1だし、まあ、6年に1回は優勝できるかなと思っていた。僕が入団して6年目だから、思ってたとおりでした。今年は伊良部さんや下柳さん、金本さんら補強もうまくいったし、チャンスはあると思っていました。
 開幕から調子が上がらずいろんな人に心配してもらったけど、自分の中では自信はありました。夏にピークを合わせると言っていたのは、一年を通じて勝ちたいと思ったから。1月の自主トレをきつめにやって、2月のキャンプではそんなに肩をつくらない。トレイ(ムーア)ら外国人選手は、キャンプで球数を多く投げたりハードにやらなくても、シーズンにはきっちり合わせてくる。彼らを参考にしながら調整した。誰も責任を取ってくれないし、自分を信じてやってきたから。
 考える野球を教えてもらったのは中学、高校時代。中学の時は自転車通学で毎日坂ばっかりの道を4、5㌔ずっと立ちこぎしていた。遅刻ギリギリが多くて、苦肉の策だったんだけど。その成果で太ももが異常に発達して、今はアスリートみたいに肉割れしています。
 高3の時に腰を痛めたこともあって、プロ入りするか迷いました。大学に行きたかった。大学で野球を終わって会社に勤めて、社会人で野球ができたらいいけど、できなかったら趣味で続けられればいいかなと思っていた。でも、プロに入って正解でした。一度しかない人生だから、悔いを残したくない。だから、今は遊びたいとも思わない。

 入団した年に山村さん(現近鉄)がチェンジアップで簡単にストライクを取るのを見て、うらやましかった。それで2年目の春のキャンプで八木沢さん(元1軍投手コーチ)に教わりました。改良を加えたけど、こんなに空振りが取れるとは思わなかった。広島とのオープン戦(99年3月6日、山口)で金本さんから空振り三振を取れたのが自信になった。「真っ直ぐとカーブしか投げないと思っていたところにチェンジアップが来て振っちゃった」と言われました。
 最多勝より2年連続で逃した最優秀防御率のタイトルが欲しい。勝ち星はチームの力。野手の方のおかげで勝ちがついているだけ。だから防御率にこだわりたい。大野豊さん(元広島)が1点台でタイトルを取った(88年、防御率1.70)のはすごい。狭い広島球場が本拠地だから、より価値がある。ピッチャーとしては理想です。
 オフのご褒美は何がいいかなあ。1人で旅行に行ってみたい。今まで行ったことないけど、本場のヨーロッパで好きなサッカーが見たい。雰囲気が独特でお客さんとか、怖いけど、やっぱり何でも生で見たほうが迫力が伝わってくるから。

 日本シリーズは短期決戦だし、もちろん勝ちにいく。対戦していない打者ばかりなのでピッチャーが有利だと思う。できるだけ失点を少なくして1回でも多く投げたい。ストッパーは無理だけど、先発投手が早い回に崩れた時のロングリリーフ要員とか、連投も辞さない覚悟でしっかり準備します。